結束! 雷門とエルドラド!!
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ぷっつん――。
「ふざけんな!!」
「「「「「!?」」」」」
神童よりも天馬よりも、誰よりも先に声を上げたのは……――なんと瑞貴だ。しかもキレている。
今までにない感情を高ぶらせた彼女の姿に雷門メンバーは驚いていると、もともと雷門メンバーの前に出ていた瑞貴は一歩ずつ、さらに前を歩く。静かだが確かにある怒りが、彼女に特殊な能力がないとわかっているのにトウドウとサカマキは恐怖を感じた。
「世界最高意思決定機関…タイムジャンプ……俺たちの時代にはない権力と技術を持っていながら、てめぇは何をしていた?」
「っ、どういうことだ?」
「話を聞く限り一年前の宣戦布告以前から、彼らの存在を知っていたはず。そしてタイムジャンプがあればセカンドステージ・チルドレンが戦争を起こす前に行き、戦争を止めることだってできた。さらに彼らが生まれる前に行ってこの時代に連れて行くことはできなくても、当時の権力者に彼らを受け入れる準備をさせることだってできた」
「っ、過去を簡単に変えるなど――」
「できないとは言わせねぇぞ? サッカーを排除するためサッカー禁止令を出したり、マインドコントロールをして当事者を操ったり、もしくは関わる者たちを利用する……。俺たちの時代やさらに昔の時代、挙げ句に絵本の世界の結末まで変えようとしておきながらな」
「「っ!」」
瑞貴は瞳を少し細くした上に声音を低くして言うと、トウドウとサカマキは言葉に詰まる。雷門メンバーを含め、瑞貴の一人称や口調が変わったのも気づかないくらい、今の瑞貴の迫力は別物だった。
「俺は正直、てめぇよりフェーダの気持ちがわからないわけじゃない。彼らはただ『特別な力を持って産まれた人間』に過ぎないのさ。それに子供の彼らがこんなことをするのは、彼らが世界を否定したからじゃない……先に世界が彼らを否定したんだ!」
「「…………!」」
「……沈黙は肯定と受け取るが、やはりフェーダは過去に迫害を受けていたのか。その原因を全て『サッカーによる遺伝子』と、そして『過去』だと決定し、自分たちが今までした行いである『今』を否定している。そのせいで過去の人々の人生がどれほど狂わされたかわかるか!?」
サッカーがなくなって自分たちが持っている記憶と現状の違いに混乱した天馬と瑞貴、サッカーを続けることで弟がサッカーをやめたことに悩んだ優一、サッカー禁止令でサッカーを愛する者たちが涙したこと。挙げ句に自分たちがサッカーでできた絆と思い出さえもエルドラドは奪おうとしたのだ。
天馬たちもそれを思い出してなんとも言えない気持ちになった。たとえ歴史は修復しても、今までの記憶が消えたわけじゃないからだ。
「子供の皮を被った恐怖の軍隊? だったら俺もほとんど変わらねぇな。俺だって中身はもう成人した大人だ。――大事な教え子たちを、俺たちの時代を、てめぇらの時代の都合にこれ以上巻き込むんじゃねぇ!」
「っ……――やはり、フェーダのマリアか」
ボソリと呟かれたトウドウの言葉は瑞貴の耳に届かなかった。ただでさえ瑞貴は自分にとって全てといえるサッカーと、愛する者を一気に失ったのだ。怒りもひとしおだろう。
本当は殴りかかりたい気持ちもあるが教え子たちの前なので抑えているが、怒りを表すように拳を握り締めていると――。
ギュッ。
「!」
そんな彼女の握りしめた拳をそっと包んだのは……――天馬だった。
「ありがとうございます、瑞貴さん。俺たちのこと、サッカーのことをそんなに考えて怒ってくれて」
「天馬……」
「でも、俺はやりたいです」
「えっ」
「俺たちの目的は『サッカーを守ること』ですよね? そしてセカンドステージ・チルドレンはサッカーの未来が生み出すモノ。その彼らが世界を破壊してしまったら、サッカーを守ったことにならないんです!」
天馬は瑞貴の手から自分の手を離すと、怒りを込めた瑞貴とは反対に決意を込めて拳を握りみんなに思いを伝える。
「だったら、セカンドステージ・チルドレンに勝って、サッカーのせいで未来に悪いことが起きないようにするべきですよ!俺、サッカーを守りたいんです!」
「天馬……!」
「天馬の言う通りだな。みんな、この試合受けて立とう!」
それでこそ天馬だというように葵が嬉しそうに声を上げると、少し考えて神童も一つ頷いた。そしてみんなもまた笑って頷く。
「ハァ……」
それを見た瑞貴は先ほどの迫力はどこに行ったのやら溜息を吐いた。それに天馬は自分で言っておきながら申し訳なさそうに言う。
「瑞貴さん、すみません。俺たちを守ろうとしてくれたのに」
「ううん。そうだよね、サッカーに生み出されたこの状況を放っておくなんてしたら私が守に怒られちゃう。……なんだか、天馬のほうが大人だね」
「違いますよ」
「えっ?」
「瑞貴さんが俺たちの分まであいつらに怒ってくれたから、俺はこの決断ができたんです。それに俺たちをここまで支えてくれて、ありがとうございます!」
「…………!」
天馬の言葉は心からのモノだと礼を言う笑顔が物語っていた。それを見た瑞貴は息を飲んで揺らした瞳を一度閉じ、次いで開けたときに浮かべた表情は、みんなが大好きな瑞貴の優しい微笑みだった。
「わかった。そうとなれば私は試合に勝てるよう協力は惜しまない。みんな、よろしくね」
「「「「「はい!」」」」」
「よーし、決まりだな! クゥ~~ッ!! とうとうこのクラーク=ワンダバット様にも、監督としての腕を見せるときが来たか――っ!!」
「「「「「…………」」」」」
クラーク=ワンダバットはエキサイティングゲージで体がピンク色になったが、それを通り越したやる気が爆発したのを見て三国たちは呆気に取られていた。