アーサー王とマスタードラゴン
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――それから谷も抜けて森も抜け、平地に腰を落としてしばしの休息を取る雷門メンバー。アーサー王は崖のそばで嘆きの洞窟のある方向へ体を向けて立っていた。
「瑞貴さん! さっきの魔法、カッコよかったぜ!」
「白いローブに杖を振るう姿、本物の魔法使い……!」
「ハハッ、ありがとう。――……」
「「?」」
先ほど炎から自分たちを守ってくれた瑞貴の姿に感動した水鳥と茜。しかし当の本人である瑞貴はどっか浮かない表情だ。
「どうしたんですか?」
「白いローブをまとっていると、ちょっと幕末のことを思い出しちゃって」
ザナーク=アバロニクが率いるザナークドメインを倒したあと、少なくともクロノストーン化された円堂守は取り返すことができると思った。しかし途中で現れた白いローブの老人により、円堂の行方はまたわからなくなった。
(もしあれがエルドラドの手の者じゃなく、第三者だったら……!)
ザナークはもともとエルドラドに属していながら無法者のような感じだ。老人がエルドラドの者だったら最終的に倒すべき相手だから間違いないが、エルドラドの者じゃなかったら行方がわからない。
ますます離れていく夫であり相棒である円堂。本当に彼と再会出来るのかと瑞貴は不安になって首から下げる結婚指輪を握りしめた。
一方、こちらもまた浮かない表情をする天馬を葵が声をかける。
「どうしたの?」
「葵……」
何かを考えているような天馬の姿を見て、葵はドレスを整えつつ隣へ両膝を着く。
「ここんとこ天馬、ずーっと考え込んでるよね」
「そうかな?」
「フェイも瑞貴さんも心配してたよ。天馬に元気がないって」
「…………」
「『このまま自分がキャプテンで居続けていいのか……』――そんな感じ?」
「えっ……どうして……」
「幼馴染だもん。そのぐらいわかるよ」
「そっか……」
確かにフェイや瑞貴に相談したが、直接的なことは言っていない。しかしそれを葵は見事に見抜いたので、天馬は驚いて目を見開くと、葵はさも当然のように言う。
「天馬っていっつもそうだよね。自分のこと、全然見えていない」
「えっ、どういうこと?」
「――出発だ!」
天馬がどういうことかと問うと、答えを聞く前にアーサー王から出発の合図が出た。それを聞いた葵は立ち上がる。
「急ぎましょ。こうしている間にも黄名子ちゃん、心細い思いをしているわ」
「…………」
まるでヒントをもらったかのような気がしたが、やはり考えても天馬にはわからなかった。
☆☆☆☆☆
アーサー王と神童たちの度はそれからも続き、ついに下層に洞窟が見える場所までやって来た。
「着いたぞ。『龍の谷』だ!」
「嘆きの洞窟の入口は、この谷にあるんですね」
「マスタードラゴンはそこにいるはずだ」
「黄名子ちゃん……!」
道中でずっと葵は黄名子の安否が気になっており、無事でいるようにと願いを込めて手を組んでいる。
「面白いじゃない。この先どうなるのか見せてもらうよ、天馬くん。――そして」
離れた岩場の陰で両腕を組んで壁にもたれかかっているのは、幕末でザナーク=アバロニクの前に姿を現した白髪の少年だ。その少年は天馬を見ると、続いて瑞貴に視線を移す。
「もうすぐ迎えに行くから待っててね、母さん」
そう言った少年のゴーグル越しにある瞳は、とても愛おしそうに瑞貴を見ていた。
――まるで鍾乳洞のような洞窟の中は薄暗く、少し周囲が見える程度の状態だ。過去にここに来たことがあるアーサー王は迷いなく進みながら信助や狩屋たちに声をかける。
「みんな離れるな。ここはかつて、数多の冒険者の命を奪った嘆きの洞窟。迷ったら最後、永久に日の光を見ることはできない」
「えっ!」
「そんな大変な洞窟なんですか!?」
「みんな足元と頭に気を付けて」
「ウホホホッ! ――ガッ!」
天馬が注意するように言ったものの、元気いっぱいなトーブは注意散漫で額を鍾乳石にぶつけてしまった。
「イッテテテ……頭ぶつけた!」
「シッ! 静かに」
「オ、オウッ。わかったぞ……」
大声で魔物に気づかれないように、神童は声を上げたトーブを制した。しかし不気味なのは変わりないと水鳥は呟く。
「感じ悪い洞窟だぜ……」
バサバサバサバサ――!
〈〈〈〈〈ギャギャギャッ!〉〉〉〉〉
その音と鳴き声と共に大量に何かが来たので、全員口に両手を当てて息を止めたり、両腕で顔を覆ったりなどして身をかがみ、先ほどの正体がコウモリだとわかった葵が声を上げる。
「瑞貴さん! さっきの魔法、カッコよかったぜ!」
「白いローブに杖を振るう姿、本物の魔法使い……!」
「ハハッ、ありがとう。――……」
「「?」」
先ほど炎から自分たちを守ってくれた瑞貴の姿に感動した水鳥と茜。しかし当の本人である瑞貴はどっか浮かない表情だ。
「どうしたんですか?」
「白いローブをまとっていると、ちょっと幕末のことを思い出しちゃって」
ザナーク=アバロニクが率いるザナークドメインを倒したあと、少なくともクロノストーン化された円堂守は取り返すことができると思った。しかし途中で現れた白いローブの老人により、円堂の行方はまたわからなくなった。
(もしあれがエルドラドの手の者じゃなく、第三者だったら……!)
ザナークはもともとエルドラドに属していながら無法者のような感じだ。老人がエルドラドの者だったら最終的に倒すべき相手だから間違いないが、エルドラドの者じゃなかったら行方がわからない。
ますます離れていく夫であり相棒である円堂。本当に彼と再会出来るのかと瑞貴は不安になって首から下げる結婚指輪を握りしめた。
一方、こちらもまた浮かない表情をする天馬を葵が声をかける。
「どうしたの?」
「葵……」
何かを考えているような天馬の姿を見て、葵はドレスを整えつつ隣へ両膝を着く。
「ここんとこ天馬、ずーっと考え込んでるよね」
「そうかな?」
「フェイも瑞貴さんも心配してたよ。天馬に元気がないって」
「…………」
「『このまま自分がキャプテンで居続けていいのか……』――そんな感じ?」
「えっ……どうして……」
「幼馴染だもん。そのぐらいわかるよ」
「そっか……」
確かにフェイや瑞貴に相談したが、直接的なことは言っていない。しかしそれを葵は見事に見抜いたので、天馬は驚いて目を見開くと、葵はさも当然のように言う。
「天馬っていっつもそうだよね。自分のこと、全然見えていない」
「えっ、どういうこと?」
「――出発だ!」
天馬がどういうことかと問うと、答えを聞く前にアーサー王から出発の合図が出た。それを聞いた葵は立ち上がる。
「急ぎましょ。こうしている間にも黄名子ちゃん、心細い思いをしているわ」
「…………」
まるでヒントをもらったかのような気がしたが、やはり考えても天馬にはわからなかった。
☆☆☆☆☆
アーサー王と神童たちの度はそれからも続き、ついに下層に洞窟が見える場所までやって来た。
「着いたぞ。『龍の谷』だ!」
「嘆きの洞窟の入口は、この谷にあるんですね」
「マスタードラゴンはそこにいるはずだ」
「黄名子ちゃん……!」
道中でずっと葵は黄名子の安否が気になっており、無事でいるようにと願いを込めて手を組んでいる。
「面白いじゃない。この先どうなるのか見せてもらうよ、天馬くん。――そして」
離れた岩場の陰で両腕を組んで壁にもたれかかっているのは、幕末でザナーク=アバロニクの前に姿を現した白髪の少年だ。その少年は天馬を見ると、続いて瑞貴に視線を移す。
「もうすぐ迎えに行くから待っててね、母さん」
そう言った少年のゴーグル越しにある瞳は、とても愛おしそうに瑞貴を見ていた。
――まるで鍾乳洞のような洞窟の中は薄暗く、少し周囲が見える程度の状態だ。過去にここに来たことがあるアーサー王は迷いなく進みながら信助や狩屋たちに声をかける。
「みんな離れるな。ここはかつて、数多の冒険者の命を奪った嘆きの洞窟。迷ったら最後、永久に日の光を見ることはできない」
「えっ!」
「そんな大変な洞窟なんですか!?」
「みんな足元と頭に気を付けて」
「ウホホホッ! ――ガッ!」
天馬が注意するように言ったものの、元気いっぱいなトーブは注意散漫で額を鍾乳石にぶつけてしまった。
「イッテテテ……頭ぶつけた!」
「シッ! 静かに」
「オ、オウッ。わかったぞ……」
大声で魔物に気づかれないように、神童は声を上げたトーブを制した。しかし不気味なのは変わりないと水鳥は呟く。
「感じ悪い洞窟だぜ……」
バサバサバサバサ――!
〈〈〈〈〈ギャギャギャッ!〉〉〉〉〉
その音と鳴き声と共に大量に何かが来たので、全員口に両手を当てて息を止めたり、両腕で顔を覆ったりなどして身をかがみ、先ほどの正体がコウモリだとわかった葵が声を上げる。