パーフェクト・カスケイドとの再戦をする雷門イレブン。特訓の成果もあって相手のスピードに追い付き、数人がミキシマックスをして今度こそ勝てると思ったが、レイ＝ルクたちは強力な必殺タクティクス・オプティカルファイバーや人工化身プラズマシャドウなど、次々と隠された力を出して雷門を追い詰めていく。

さらにマインドコントロールされた恐竜の乱入というサカマキ＝トグロウが仕掛けた作戦により、雷門は疲労が増しているのだが、対して同じように恐竜に襲われたパーフェクト・カスケイドは全く息の一つも乱れていなかった。得点は８対０でパーフェクト・カスケイドのリードである。

《未だ無得点の雷門！　このままパーフェクト・カスケイドの圧倒的な力を前に成す術もなく崩れ去ってしまうのか――っ!?》


バシュンッ！


｢｢｢｢｢うわああっ！｣｣｣｣｣


レイがボールをけるとそれは必殺シュート並の威力があり、そのまま雷門イレブンは吹き飛ばされてしまう。


「ぐっ……ううっ……！」

「つ…強い……！」

「っ…まだだ！」


フェイ＝ルーンや松風天馬だけでなく、雷門イレブンは肩で息をしながらも立ち上がった。しかしボールはまだレイの足元にある。


「何度立ち上がろうと無限ループ」

｢｢ぐっ！｣｣

〈ピュ～……〉


確かにこのままではレイの言う通りだ。それでも立ち向かう天馬やフェイたちの姿に、ビッグはベンチから見守りつつ危惧していた。

次にパーフェクト・カスケイドが動き出した。ドリブルするレイを中心にオフェンス陣が次々上がって行く。


「ディフェンス！　俺たちのうしろを守ってください！」

｢｢了解/任せろ！｣｣

「――ダメだ！」

「えっ!?」


天馬が菜花黄名子や霧野蘭丸たちディフェンス陣に指示を出したが、それを制止し否定したのは神童拓人だ。


「サイドがガラ空きになる！」

「あっ！　しまった！」


神童に言われて天馬は初めて気づくが、その隙を逃さないレイはブル＝レクスにパスを出した。


「好きにはさせない！　――わっ！」

「あっ！」

「くっ……僕はまだやれるはずなんだ！」


ボールを取りに行こうとフェイが走るも、ブルは素早く体をターンしてフェイをかわした。どこかムチャしているフェイを黄名子はずっと気にかけている。


｢｢シュートコマンド20｣｣

【双飛遊星弾】

「うおおおっ！　――わあああっ！」


ブルとグラ＝フォムがシンクロしてアクロバティックな動きをすると、空中に上げたボールを同時にオーバーヘッドして撃ったシュートが流星のようになると、西園信助ごとゴールに叩き込んだ。


《追加点が決まってしまった――っ!!　雷門、このまま突き放されてしまうのか――っ!?》

「クッ……！」

「なんでやんね、フェイ！」

「!?」

「なんで全力で戦わないの!?」

「た、戦ってるさ！　全力で戦ってる！」

「フェイ！」

「…………」

「……そうかな」


黄名子の叫びにフェイは否定して走り出した。ミキシマックスもしているし息が上がるほど動いている。その上で黄名子はフェイが全力で戦っていないと否定しつつも、どこか悲しそうに眉を下げた。


「フッ。すでに勝負は見えている。少し遊んでやるか」


パーフェクト・カスケイドの圧倒的な試合状況を見ているサカマキは、左手首に巻きついている装置を動かした。


〈ブオオォォオオオオ!!〉

｢｢｢｢｢!?｣｣｣｣｣

「あっ！　あの声は、デスホーン！」


また恐竜の鳴き声がしてトーブたち雷門イレブンが振り向くと、獣の谷のボスの座を狙っているトリケラトプスのデスホーンが現れた。


「嘘だろ!?　次はあいつかよ！」

「っ、もしかして……！」


狩屋マサキにしがみつかれながら円堂瑞貴は隣のベンチにいるサカマキを見る。その視線に気づいたのかサカマキは口角を上げたので、瑞貴は怒りを込めて歯を食いしばった。