「レイ＝ルク、オプティカルファイバー実行せよ！」

「了解」

「何っ!?」

「実行」


サカマキの指示により、レイはグラと共に前線へ自分たちの前を走る六人の選手に合図を出す。すると前にいるメンバーは三人で分かれて交互に進み、天馬たちを弾き飛ばした。これがパーフェクト・カスケイドの必殺タクティクス・オプティカルファイバーだ。

そしてボールを取ったレイがグラと共にゴールへ向かうと、そのままシュートを信助にぶつけた。必殺技も使わないノーマルシュートとはいえ、信助はそのままゴールへ叩きつけられてしまう。


「うわあっ！」

《ゴ、ゴォ――ルッ!!　信じられない攻撃で、パーフェクト・カスケイド追加点!!》


それから雷門イレブンはなんとか突破しようと試みるが、パーフェクト・カスケイドのオプティカルファイバーに手も足も出ない。


「っ、どうして通じないんだ!?」

「フェイ」

「！」

「フェイのサッカーへの想いは、そんなものなの？」

「えっ……？」


隣を走る黄名子が突然思いがけないことを言ったので、フェイは驚いて目を見開いた。その間にパーフェクト・カスケイドが再びオプティカルファイバーを使って６点目を取る。

黄名子がフェイの前に走り出し、横目を向けてうしろにいるフェイに向かって言う。


「ウチを見て！」

「っ!?」

「暁ノ巫女アマテラス！　光輪の矢！」


空中から暁ノ巫女アマテラスが放った光の矢と共に黄名子が足を伸ばすと、鋭くも確実にファ＝ニールからボールを奪った。文字通り一矢報いろうとする黄名子のプレーを天馬は褒め称える。


「ナイスカット！」

「フェイ！　フェイは優秀なプレーヤーなのに、なんで化身出せないの？」

「っ……」


ドドドドド――!!


「なんだ!?」


黄名子の問いにフェイが戸惑う中、突然の騒音に天馬たちは動きを止めて顔を向けると、ティラノサウルスやトリケラトプスやプテラノドンが二匹ずつこちらに向かって突進して来る。


「ええっ……えー!?」

《な、なんと！　恐竜が乱入!?　いったいどうなっているんだ――っ!?》

「これはどういうことだ!?」

「あっ！　みんな、上を見て！」


前回と違って雷門もパーフェクト・カスケイドも関係なくフィールドを暴れまわる恐竜たちに、速水たちは慌てて逃げ回る。

何がなんだかわからない神童が戸惑っていると、ふと顔を上げた瑞貴が上空を指差しながらフェイたちに向かって叫ぶ。そこにはマインドコントロール波を出しているスフィアデバイスがあった。


「洗脳されている！」

「その時代にあるモノを使えば、歴史への影響は少ない。豊富なリソースは使わせてもらうとしよう」


どうやらこれは雷門を確実に倒すため、サカマキたちパーフェクト・カスケイドが仕掛けたようだ。容赦なく暴れまわる恐竜たちを相手に手も足も出ないと錦やトーブは歯を食いしばる。


「クッ！　サッカーどころじゃないぜよ！」

「卑怯だぞ、オメーら！」

「条件は我々も同じ。むしろ我々の経験値を上げる絶好の機会となる」


確かにパーフェクト・カスケイドも恐竜たちに襲われている。しかしレイたちはそれをなんなくかわし、オプティカルファイバーも速やか且つ的確に恐竜たちの間を通って行った。


ドドドドドッ！


「えっ？　う、うわー！」


シュートしたレイに信助は止めようと構えたが、突進してきたトリケラトプスに弾かれてしまいゴールを許す結果となってしまった。矢嶋もティラノサウルスとトリケラトプスに追われながら実況する。


《ゴ、ゴォ――ルッ!!　このとんでもない状況の中、レイ＝ルクが追加て――んっ!!》

「まずは恐竜たちの洗脳を解くんだ。魔神ペガサスアーク！　アームド！　うおりゃああっ！」


天馬が化身アームドしてシュートを撃つと、それが顔に当たったトリケラトプスはマインドコントロールが解けて正気を取り戻すことができた。

それから剣城や雨宮も恐竜たちに向かってシュートを撃ち、六匹共に正気を取り戻して自分たちがどうしてここにいるかびっくりしている。


「普通の恐竜では太刀打ちできんというわけか。フッ……まだまだネタは尽きんぞ」


まだ策が残っているようでサカマキはフッと笑う。これで元の通り試合ができるが、先ほどの恐竜騒動で雷門イレブンの大半の息は上がっていた。しかし同じ状況に遭ったパーフェクト・カスケイドは全く息が乱れていない。


「これで決定的となった。君たちが勝利する確率は……――０だ」

「まだだ！　まだあきらめないぞ！」










☆コーチの　今日の格言☆



サッカーは何も力が強かったり足が速かったり優れた技術だけが全てじゃない。



以上!!