「今の……！」

「うん……！」

「――目標を再補足」

｢｢！｣｣


咄嗟のこととはいえ予想外のパワーに天馬もフェイも目を見開いていると、機械的な声が響き渡る。そして横を向けば瞬間移動したレイ＝ルクが現れた。


「お前は！」

「レイ＝ルク！」

【ムーブモード】


警戒する雷門メンバーに対し、レイはスフィアデバイスを出すと青いボタンを足で押した。

ムーブモードによりトーブたちは先日と同じ獣の谷のフィールドに瞬間移動させられる。そしてレイのうしろには十人の少年たちと、隣にはサカマキ＝トグロウもいる。パーフェクト・カスケイドがそろっていた。


「またここか！」

「プラン16(ｼｯｸｽﾃｨｰﾝ)に従い行動を開始する。目的、雷門の殲滅」

「ハンッ！　この前のわしらだと思ったら大間違いぜよ！」

「みんな！　特訓の成果を見せるんだ！」

「おおおっ！　今度はぜってぇ勝つぞー！」

｢｢｢｢｢オウッ！｣｣｣｣｣


前回と同様にトーブが入るため狩屋はベンチに下げられる。狩屋とビッグと瑞貴とマネージャー組がベンチにつくと、何故かワンダバはキョロキョロと辺りを見回していた。


「よし、いないな！　ということで、今回の監督はこの――」


ドオンッ！


「えー！」

〈クアアアアッ！〉


レイが広場から瞬間移動したのでトーチャンではなく自分が監督を務めると意気込んでいたワンダバだが、その隣にあっという間にトーチャンが空から現れた。そして監督をやる気満々である。


「やっぱり……？」

「だよな～……」


涙を流して悔しそうにするワンダバの姿に、あまりにも可哀そうだったので狩屋もからかうどころか苦笑して同情していた。

続いて目の前に瞬間移動して現れた矢嶋陽介は、手に持ったマイクの光により実況者へと変わる。


《おおーっと！　またもや恐竜時代！　雷門とパーフェクト・カスケイドの試合が再び行われるぞ――っ!!　雷門にとってはリベンジマッチ、まもなくキックオフだ――っ!!》

「天馬。この試合、負けられないぞ！」

「はい！　みんな、絶対勝ちましょう！」

「君たちが勝利する確率は、やはり限りなく０に近い。戦闘開始を要請する」

「潰せ、雷門を。徹底的にな」


サッカーを取り戻すため勝つと意気込む神童や天馬たち雷門イレブン、そして任務のため雷門を潰すレイとサカマキたちパーフェクト・カスケイド。

パーフェクト・カスケイドのボールでキックオフ。ブル＝レクスがグラ＝フォムにボールを渡し、二人が走り出すとワンツーパスでブルにボールが戻った。


「ダイ＝ロード」

「だあっ！」


ブルがダイ＝ロードにパスを出すと、その間に天馬が右足を伸ばしてボールを弾くことに成功した。特訓の成果が出ているとフェイも喜ぶ。


「やった！」

「いいぞ、天馬！」

「ボールはまだ我々のモノだ」

「止める！　ふっ！」

「ナイスカット、太陽！」


雨宮もまたドリブルするグラにスライディングして攻撃を止め、神童がプレーを褒め称える。

天馬や雨宮だけでなく、他のメンバーもパーフェクト・カスケイドの攻撃を食い止める。ボールが取れても取り返されるが、前回の試合と比べて一進一退の攻防が続く。