八の力の候補だったロックスターを失い、その子供であるビッグと心を通わせるフェイ＝ルーン。

しかし雷門イレブンの前にエルドラド最後のルートエージェントである、パーフェクト・カスケイドが現れた。新たにトーブを加えるも、彼らの圧倒的な力に雷門イレブンは大量得点差で負けてしまう。

キャプテン・レイ＝ルクの手によってマインドコントロールをかけられる――と思いきや、トーブの育ての親である恐竜・トーチャンが大声を上げると、数多の恐竜の大群が砂塵を舞い上がらせながらやってきた。そして雷門メンバー全員はいつの間にか洞窟に移動されると、そこにいたのはクロスワード＝アルノ博士だった。


「危ないところだった……。アルノ博士が助けてくれなかったら、俺たちはレイ＝ルクにマインドコントロールを……」

「パーフェクト・カスケイド……」

「あんなに差をつけられるなんて……」

「もうムリですよ……あんな人たち相手に戦うなんて……」

「――いーや！　オラは燃えてきたぞ！」

｢｢｢｢｢えっ？｣｣｣｣｣


先ほどの試合結果に神童拓人も松風天馬も雨宮太陽も速水鶴正も意気消沈している中、逆の言葉を上げたのは両腕を組んで目を閉じているトーブだ。


「あんなつえー奴ら倒せたら、スゲーウホウホだと思うんだ。なっ、天馬！　オラもっともっと強くなりてぇ！　で、ぜってぇ勝つぞー、あいつらに！　ウッホー！」

「トーブ……！」

「あの気持ち、俺たちも見習わないとな」

「そうだよ。パーフェクト・カスケイドに勝てなきゃ、サッカーを取り戻せないんだ。ここであきらめるもんか！」


明るく前向きなトーブの姿に、天馬や神童だけでなく雷門イレブンの心が少し軽くなった。どんなに相手が強大だろうと、倒さなければ自分たちの目的は達成できないのだから。


「それに、まだ七番目と八番目のミキシマックスもできていない」

「ああ。『七の力――自由自在に空間を生かす、空を生かすフライング・ＤＦ』！」

「『八の力――太古の力を宿し、その牙の力は海を割る。ダイナミックＭＦ』やんね！」

「まだまだ僕らは強くなれるはずだ！」

｢｢｢｢｢うん！｣｣｣｣｣

「ハァ～……がんばるしかないですよね……」


フェイに続き霧野蘭丸と菜花黄名子がこの時代で得る力を言うと、みんなも力強く頷いた。対して溜息を吐いた速水も渋々ながら了承する。


「よし！　みんな、特訓だ！」

「特訓!?　ウホー！　オラ、やっぞー！　ん～……――ガオー！」



☆☆☆☆☆


雷門メンバーは特訓をするためビッグと共に、先日特訓に使った広場へ移動した。そして監督(?)のクラーク＝ワンダバットとコーチの円堂瑞貴を中心に雷門メンバーは円状に囲んで具体的な特訓メニューを考える。


「パーフェクト・カスケイドに勝つには、まずあのスピードにどう対抗するかだ」

「相手はスピードだけでなく、パワー、テクニック、全てがみんなより上なのは火を見るより明らかだった……。付け焼刃な特訓じゃ意味は成さないよ」

「どうすれば……」


ドドドドド――……!!


｢｢｢｢｢ん？｣｣｣｣｣

「なんだ？」


どこからか音が聞こえたので振り向くと、十匹の恐竜たちが砂塵を舞わせながらこちらに来ると、いつの間にか速水たちは囲まれてしまった。


「えっ！　え――っ!?」

「スッゴーい！　トロオドンだ！　こんなにたくさん！」

「か、感動してる場合じゃねぇだろ！　囲まれたんだぞ！」


ピンチだというのに目をキラキラと輝かせている西園信助に、瀬戸水鳥は注意しながら警戒するが……。