時代を作る男たち
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「お前に頼みたいことがある」
「頼み、ですか?」
「俺が言うのもおかしいかも知れないが……――俺の代わりに、瑞貴を頼む」
「えっ?」
戸惑う剣城を見て沖田はフッと笑うと、天馬たちの輪から少し外れて顔をうつむける瑞貴のそばに向かう。
(もしかして沖田さん、瑞貴さんのこと……)
剣城がそう思う中、沖田がやって来た気配を感じたのか瑞貴も顔を上げる。
「沖田さん……」
「行くんだろう? お前の大切な人を取り戻し、サッカーを守るために」
「はい。京介くんに力を貸してくれて、本当にありがとうございました」
瑞貴は改めて礼を言うと深々と頭を下げる。あの試合は沖田が幕府と対峙する形になっても雷門イレブンに力を貸したいという気持ちが、ミキシマックスを成功させた理由の一つかもしれない。
「聞きたいことがある」
「?」
「俺がお前たちと出会ったことは、未来に伝わるのだろうか?」
「……いいえ。私たちは本来この時代に存在しない者です。今回のことも私たちのことは歴史に記されることはないでしょう」
「そうか……」
まるで瑞貴たちが幻のような存在になった気分だ。生きることの大切さも気づけたのに、そのキッカケが伝わらないことに沖田は寂しそうに呟くと「でも」と言葉を続ける。
「たとえ歴史がどう紡がれようと、自分の目で見て感じたことは紛れもない真実です。私も、沖田さんも」
「ああ」
ふと沖田は坂本が錦と握手を交わしている姿を思い出し、右手を瑞貴に差し出す。
「瑞貴。お前が大切な人と幸せになれるように、俺は祈っている」
「ありがとうございます……!」
瑞貴はその言葉に心から嬉しく思い微笑みを浮かべて握り返すと、それを見た沖田もまた少し目を細めた。
少し離れた場所からその光景を見ていた剣城は、沖田が瑞貴を見る目がとても愛おしそうだということに気づいた。そして同時に彼の気持ちにも……。
(もしかして沖田さん、瑞貴さんのこと……)
剣城は昔を思い出す。たった一回だけ兄・剣城優一と瑞貴と三人でサッカーをしたことがあったが、幼い自分にとってあのときの瑞貴は輝いて見えて、自分はその輝きに惹かれている。そして十年ぶりに会った彼女の輝きは小さくなるどころか、むしろ大きくなっているのだ。
今の瑞貴は当時の姿と同じであり、さらに戻る方法もわからないと聞いたとき、無意識の内に『もしこのままだったら』と考えてしまうこともあった。――だけど彼女が求めているのは自分ではない。
(……瑞貴さんが一番輝いているときは、円堂監督のそばなんだ)
沖田のように自分も彼女の幸せを願おうと剣城はそう誓う。――初恋として、想い出として、この気持ちをフタに閉じて大切に心の棚に仕舞うのだった。
☆☆☆☆☆
二条城を去ったザナークはそのまま未来に帰らず、フードの老人のあとを追っていた。それから森の中にいるのを見つけると、さっきの行動について食いかかる。
「どういうつもりだ! 何故あんな真似をした!?」
「これは必要なモノ……君はこの石の本当の価値をわかっていない」
「――それに、やはり君は自分の力を理解していないようだね」
「!?」
老人とは違う別の声にザナークは警戒して周りを見渡すと、白髪の少年が木から降りてきた。彼が言うザナークの力というのは、何度も暴走したあの強大な力のことだとザナーク本人も気づく。
「なんだと!? 俺のあの力のことがわかるのか!?」
「もちろんだ。君は僕らと同じ『才能』を持つ者だからね」
「才能?」
「才能……そう、それは『フェーダ』の一員となる資格」
「フェーダ……?」
聞いたことのない組織名にザナークは不思議に思うが、少年は「ああ、そうそう」と思い出したように言う。
「それと、円堂瑞貴に危害を加えてはダメだ。彼女は倒すべき相手じゃない……僕らフェーダにとって守るべき者だよ」
「エルドラドのジジイもそうだったが、円堂瑞貴はそんなに特別な存在なのか?」
「そうだ。彼女は僕らのマリア――『母』だからね」
☆コーチの 今日の格言☆
たとえ歴史がどう紡がれようと、自分の目で見て感じたことは紛れもない真実です。
以上!!
「頼み、ですか?」
「俺が言うのもおかしいかも知れないが……――俺の代わりに、瑞貴を頼む」
「えっ?」
戸惑う剣城を見て沖田はフッと笑うと、天馬たちの輪から少し外れて顔をうつむける瑞貴のそばに向かう。
(もしかして沖田さん、瑞貴さんのこと……)
剣城がそう思う中、沖田がやって来た気配を感じたのか瑞貴も顔を上げる。
「沖田さん……」
「行くんだろう? お前の大切な人を取り戻し、サッカーを守るために」
「はい。京介くんに力を貸してくれて、本当にありがとうございました」
瑞貴は改めて礼を言うと深々と頭を下げる。あの試合は沖田が幕府と対峙する形になっても雷門イレブンに力を貸したいという気持ちが、ミキシマックスを成功させた理由の一つかもしれない。
「聞きたいことがある」
「?」
「俺がお前たちと出会ったことは、未来に伝わるのだろうか?」
「……いいえ。私たちは本来この時代に存在しない者です。今回のことも私たちのことは歴史に記されることはないでしょう」
「そうか……」
まるで瑞貴たちが幻のような存在になった気分だ。生きることの大切さも気づけたのに、そのキッカケが伝わらないことに沖田は寂しそうに呟くと「でも」と言葉を続ける。
「たとえ歴史がどう紡がれようと、自分の目で見て感じたことは紛れもない真実です。私も、沖田さんも」
「ああ」
ふと沖田は坂本が錦と握手を交わしている姿を思い出し、右手を瑞貴に差し出す。
「瑞貴。お前が大切な人と幸せになれるように、俺は祈っている」
「ありがとうございます……!」
瑞貴はその言葉に心から嬉しく思い微笑みを浮かべて握り返すと、それを見た沖田もまた少し目を細めた。
少し離れた場所からその光景を見ていた剣城は、沖田が瑞貴を見る目がとても愛おしそうだということに気づいた。そして同時に彼の気持ちにも……。
(もしかして沖田さん、瑞貴さんのこと……)
剣城は昔を思い出す。たった一回だけ兄・剣城優一と瑞貴と三人でサッカーをしたことがあったが、幼い自分にとってあのときの瑞貴は輝いて見えて、自分はその輝きに惹かれている。そして十年ぶりに会った彼女の輝きは小さくなるどころか、むしろ大きくなっているのだ。
今の瑞貴は当時の姿と同じであり、さらに戻る方法もわからないと聞いたとき、無意識の内に『もしこのままだったら』と考えてしまうこともあった。――だけど彼女が求めているのは自分ではない。
(……瑞貴さんが一番輝いているときは、円堂監督のそばなんだ)
沖田のように自分も彼女の幸せを願おうと剣城はそう誓う。――初恋として、想い出として、この気持ちをフタに閉じて大切に心の棚に仕舞うのだった。
☆☆☆☆☆
二条城を去ったザナークはそのまま未来に帰らず、フードの老人のあとを追っていた。それから森の中にいるのを見つけると、さっきの行動について食いかかる。
「どういうつもりだ! 何故あんな真似をした!?」
「これは必要なモノ……君はこの石の本当の価値をわかっていない」
「――それに、やはり君は自分の力を理解していないようだね」
「!?」
老人とは違う別の声にザナークは警戒して周りを見渡すと、白髪の少年が木から降りてきた。彼が言うザナークの力というのは、何度も暴走したあの強大な力のことだとザナーク本人も気づく。
「なんだと!? 俺のあの力のことがわかるのか!?」
「もちろんだ。君は僕らと同じ『才能』を持つ者だからね」
「才能?」
「才能……そう、それは『フェーダ』の一員となる資格」
「フェーダ……?」
聞いたことのない組織名にザナークは不思議に思うが、少年は「ああ、そうそう」と思い出したように言う。
「それと、円堂瑞貴に危害を加えてはダメだ。彼女は倒すべき相手じゃない……僕らフェーダにとって守るべき者だよ」
「エルドラドのジジイもそうだったが、円堂瑞貴はそんなに特別な存在なのか?」
「そうだ。彼女は僕らのマリア――『母』だからね」
☆コーチの 今日の格言☆
たとえ歴史がどう紡がれようと、自分の目で見て感じたことは紛れもない真実です。
以上!!