〈今だ！　剣城と沖田をミキシマックスだ！〉

「よーし！　ミキシマーックス！」


ワンダバもベンチから離れてちょうどいい位置につくと、ミキシマックスガンを沖田と剣城にそれぞれ向かって撃った。


「ミキシマックスコンプリート！」

「うおおぉぉおおお！」


剣城は沖田よりも濃い紫色の髪となってあちこちが少し伸び、白い肌が濃くなっている。さらに吊り上がった瞳は刀のように鋭く研ぎ澄まされているかのようだ。


「やった！　成功よ！」

「電光石火のスピードを持つ、強力な五人目の時空最強イレブン！」


葵と瑞貴が嬉しそうに声を上げる中、剣城は力を貸してくれた沖田に感謝をする。


「沖田さん……！」

「ん」

「あなたの力、使わせてもらいます！」


飛び出した剣城は先ほどとはケタ違いに早くなっており、あっというまにヤシャもオーグもゴウズもかわした。そして一気にゴール前向かってシュテンと対峙する。


「菊一文字！」

「ぐああっ！」


沖田の刀である菊一文字を現した必殺技は、斬るように一瞬の如く蹴り抜かれて菊が鮮やかに散った。そのスピードに反応できずシュテンも必殺技を出す暇もなかった。


《雷門が１点を返した――っ!!》

（俺は今日ハッキリとわかった……守るべきモノがなんなのか！　ならば残り少ないこの命、その守るべきモノに捧げる！）

「沖田、ようやく腹を決めたか！」


もう迷いはないと決意して愛刀に手をかける沖田の表情を見て、龍馬は嬉しそうに笑った。……対して慶喜たち幕府側はとてもおもしろくなさそうだったが。


「なるほど。これが新選組１の使い手、沖田総司の力か……。だが所詮は悪あがき！　俺の敵じゃないぜ！」


ディフェンスを抜かされ、シュテンが止められず１点返されたというのにザナークは全くの余裕の表情でいた。

ザナーク・ドメインボールで試合再開。ゴブリスがドリブルをして行くと、再び狩屋が前に出る。


「今度は止める！　ハンターズネットＶ２！」

《狩屋が止めたー！》

「何っ!?」

「太陽くん！」


剣城がゴールを決めてくれたおかげで勢いがついたのか、狩屋は必殺技を進化させて見事ゴブリスを止めた。今度こそザナークは驚かずにいられず、狩屋は雨宮にパスを出す。


「天馬！」

「どういうことだ……!?」


雨宮のパスを受け取った天馬がドリブルで駆け上がる。今までの雷門イレブンとは違う様子にザナークは訝しげに見る。


（剣城と沖田さんの想い、ムダにはしない！）

「バカな！　あいつのプレーが雷門に力を与えたというのか!?」


ザナークはこの勢いはミキシトランスを解いた剣城が火を点けたことがわかった。


「調子に乗ってんじゃないよ！　スクリュードライバー！」

「うわあっ！」


しかし天馬の速攻をヤシャが必殺技を使って止めた。そしてボールはヤシャからシュラ、そして前線を走るラセツへ繋がる。


「３点目だ……オーガブレード！」

「雷門のゴールは僕が守る！　護星神タイタニアス！　アームド！」


化身アームドした信助が、ラセツのシュートを正面からガッチリとキャッチした。さっきまで化身アームドしても止められなかったはずなのに、予想外の事態が起こってザナークはまたもや驚く。


「俺たちのシュートが止められただと!?」


ドクンッ！


「ぐっ！　今のは……？」

「天馬！」

「っ！」


ザナークが体に走った衝撃に困惑している間、信助のロングパスが上がる。


「ふっ！」

《ザナークがカットしたー！》


天馬に渡る前にザナークがジャンプしてボールを奪い、着地すると同時にそのままドリブルで上がって行く。本人は気づいているのか無意識なのか、その体にオーラをまとわせている。