サッカー対決! 坂本VS沖田!!

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「この度のお目通り、誠にありがとうございます!」

「ウ、ウム。苦しゅうない」


沖田より少し離れているが状況をこの目で見るために慶喜もやって来ると、坂本は一応表向きでは招待してもらったので深々と礼をした。もちろん万が一のこともフェイは考えてある。


「龍馬さんの身に何かあったら、僕らはすぐこれで帰ります」

「どういう意味だ?」

「もし『罠だ』ってことが人々に知られたら、誰も幕府を信用しなくなるんじゃないかなって」

「グッ……!」

「やっぱり罠だったんだ」


目の前にいる慶喜や臣たちだけでなく近くに隠れている剣士たちにも含め、フェイが牽制も兼ねてそう言うと別の老臣は言葉に詰まってしまう。その反応を見れば一目瞭然なので、キャラバンの窓から見ていた狩屋マサキは呆れるように言った。


「龍馬さんの話を聞いてあげてください! お願いします!」

「……っ」

「手短に離せ」

「な……っ!」


天馬まで深々と頭を下げたことに沖田は目を見開いたが、慶喜がまさか発言の許可を出したのでさらに驚いた。


「ハッ! 単刀直入に申し上げます! ――日本を、もっと開かれた国にしたいのです!」

「な、何を言い出す!?」

「『大政奉還』であります!」

「ハァ?」

「た、大政奉還!?」


坂本の発言に怪訝そうな顔をする慶喜に対し沖田は声を上げた。しかし一番驚いているのはキャラバンから様子を見ていた信助や錦である。


「歴史の授業で習った!」

「とんでもない瞬間に立ち合ってるぜよ、わしら!」


これまでの日本のあり方が変わる大政奉還の言葉が出たのだ。まさか坂本が二条城に来た理由がこれを申すためとは思わなかった。


「鎖国を辞め世界に目を向けるのです。みんなが平等の社会を作り、日本人が一つになる……そうすれば『外国に負けぬ強い国・日本』ができるに違いありません!」

「武士が町人と一つになるだと? たわごとよ! フッ、さすが田舎侍の考えることだな」

「田舎侍じゃと!?」

「そんな……!」

「…………」


坂本の提案に呆れるように笑う慶喜。その態度に錦は怒り天馬はショックを受ける中、幕府側の人間で沖田だけは笑いもせずただ真剣に聞いていた。


シュンッ!


「ザナーク!」

「今度はなんだ!?」


天馬たちに聞き覚えのあるバイクの音共に現れたザナーク。彼は驚く慶喜たちを無視して大広間の中にバイクを止めると、スフィアデバイスを取り出し、バイクから降りると黄色いボタンを足で押した。


【マインドコントールモード】

「……フム、近藤か」


スフィアデバイスのマインドコントロール波により、慶喜たちはザナークを新選組の近藤と認識したようだ。


「俺に考えがあるぜ。大政奉還をかけてサッカーで勝負するってのはどうだ?」

「「「「「!」」」」」

「さっかー?」

「こいつらと俺たち新選組が対決する……それだけの話だ」


まさか歴史上で重要となる大政奉還をサッカーで決めるとは思わず、天馬たちは驚くがサッカーを知らない慶喜は不思議に思うとザナークはそう言った。


「勝てるのか?」

「愚問だぞ、当然だ」

「ホォ……」


老臣の問いにザナークは自信満々に言うと、面白そうに笑った慶喜は再び坂本に体を向ける。


「よし。この勝負でお前たちが勝利したら、大政奉還を認めてやろう」

「おおっ!」

「よろしいのですか、上様!?」

「よい」


慶喜から許可ももらい、大政奉還の一歩を踏み出せるということで雷門メンバーもやる気満々になった。

スフィアデバイスで広場にサッカーフィールドができ上がると、ザナークの周りにザナーク・ドメインのメンバーが現れた。そして、沖田もザナーク・ドメインのユニフォーム姿になっているので慶喜が尋ねる。


「そちも出るのか?」

「必ずや幕府をお守りいたします! たとえこの命が燃え尽きようとも!」

「「…………」」


慶喜に礼をしながら幕府のために命を懸ける沖田の姿に、瑞貴は心配するように眉を下げ、剣城は何かを思うように見ていた。

そして大政奉還を進言したのは張本人であるため、坂本もユニフォームに着替えて影山輝の代わりに出場することになった。もちろん雷門イレブンも異論はない。


「大政奉還がかかってるんだ! 絶対に負けられねぇ!」

「はい! 気合い入れていきましょう!」

「「「「「オウッ!」」」」」


坂本の言葉を胸に天馬がみんなに声をかけた。すると反対側のベンチで沖田が坂本を睨みながら叫ぶ。


「お前の好きにさせるか! この勝負、勝つのは俺たちだ!」

「ハッ、どうだかな?」

「!?」


坂本にも信念があるように、沖田もまた信念がある。この試合は大政奉還だけでなく二人の信念の強さの証明ともなるため二人は睨み合っていた。
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