坂本龍馬! 登場!!
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☆☆☆☆☆☆
町の人々は相変わらず新選組を恐れているし、マトモな情報がないので水鳥たちは行き詰っている。
「新選組の屯所、どこにあるんだ?」
「わからなければ聞けばいいやんね!」
「でも、新選組のこと調べてて危なくないですか?」
「確かに迂闊には動けないな……」
「すみませーん!」
「「「「「ん? あー!」」」」」
狩屋と霧野が慎重に行かなければ危ないと考えていたのに、いつの間にか黄名子が別の人に尋ねて行った。
「どうした? 娘」
「新選組の屯所はどこ――」
「トーントン! トーン!」
「アハハハ……」
黄名子は同じ羽織を着た二人組の男に訊こうとしていたので、水鳥は慌てて黄名子の口を塞ぎ、瑞貴が二人の前に出て苦笑して必死に誤魔化す。しかし相手にはしっかり『新選組』という言葉は聞こえていたらしい。
「新選組になんの用だ?」
「アハハ……」
「なんでもないです……」
「沖田総司に会いたいやんね!」
再び水鳥と瑞貴が笑って誤魔化そうとするが、水鳥の拘束からアッサリ脱出した黄名子がこれまたアッサリと目的を言った。おかげで相手の声音が心なしか低くなっている。
「沖田殿に?」
「お前たち、薩摩や長州の回し者じゃあるまいな? 怪しい奴!」
「「「「「っ!」」」」」
二人の内一人の男が刀に手をかけたので、恐れながらもみんなを守るように両手を広げる瑞貴を始め、あとから合流して来た剣城たちも含めて全員マズいと焦った。しかし……。
「待てい!」
「「わああっ!」」
突然現れた男の迫力により、水鳥と魂を飛ばしかけた狩屋は思わずうしろに倒れた。しかし相手の二人組はこの男を知っているようだ。
「きょ、局長!」
「近藤さん……」
「「「「「!」」」」」
二人組が『局長』や『近藤さん』と呼んだことで瑞貴たちは見合わせた。それに気づかず男は二人組に事情を問う。
「何をしておる?」
「敵の手のものかどうか、取り調べを」
「ん?」
「「「ヒイッ!」」」
再び鋭い眼力を男から向けられたので、水鳥と狩屋と黄名子は思わず瑞貴のうしろに隠れてビクビクしていた。
「油断せぬのは良い心がけだが、こんな子供相手に騒ぐようでは武士の名折れだ」
「「申し訳ありません……」」
「屯所で頭を冷やして来い!」
「「ハッ!」」
男の指示で二人組がどこかに行ったので、少し緊張感が抜けたのか瑞貴のうしろにいた三人はホッとしながら出てきた。
「「フゥ~……」」
「怖がらせて悪かったな」
「一番怖いのは、あなたですけど」
ゴンッ!
「ん?」
「いえ、なんでもありません。ありがとうございました」
「~~っ!」
「「…………」」
小声とはいえ相手を刺激するようなことを言った狩屋に、瑞貴は殴って黙らせたあと男に礼を言った。そのおかげで狩屋の頭にはタンコブができたので、自業自得とはいえ瑞貴の行動に剣城やフェイは若干目を見開いた。
先ほどの二人組との会話からして、男の正体がなんとなくわかった水鳥は両手を組んで尋ねてみる。
「あの、あなたが近藤勇さんですか?」
「いかにも。私が新選組局長・近藤勇だ」
「この人が……!」
「くぅ~! お会いできて感激です!」
「オ、オウッ……」
男――本物の新選組の局長・近藤勇が目の前にいるので嬉しく思う霧野たち。特に水鳥は興奮して詰め寄ると、近藤は体が少し引いてもさすがというか顔色は全く変わらない。……またもやザナークが屋根の上にいてその様子を見ていたが、誰も気づかなかった。
「では、拙者はこれで。このご時世、都は何かと物騒だ。気をつけてな」
「「「「「はい!」」」」」
そう忠告して去って行った近藤の背を見ながら、水鳥は憧れの人に会えたかのように顔を輝かせている。
「さすがは新選組を束ねる男!」
「確かに……」
「ん? もしかして近藤さんに訊けば、屯所の場所がわかるんじゃ……?」
「「「「「あっ!」」」」」
ふと思い出した瑞貴の呟きに、さっきの刀を抜かれそうになった恐怖と近藤の迫力に忘れていたのか他のみんなも思い出して声を上げた。