「よーし！　この試合は、クラーク＝ワンダバット様の名采配を見せてやる！」

「劉備さん！　監督をお願いします！」

「お願いします！」

「いいだろう！　任せておけ！」

「ハイ、キター！」


エキサイティングゲージが上がってピンクになったワンダバが意気込んだが、天馬と信助は監督を劉備にお願いしたのだ。劉備もまた了承したので、半ば予想していたのかワンダ場は元の色に戻ると滑り込むようにズッコケるのだった。

そしてこちらも恒例の如く、海の家から矢嶋陽介を呼び出した。先ほどまで調理していた彼は目の前の状況とザナークたちに驚いて逃げて行ったが、ザナークのマインドコントロールにより三国時代の衣装を身に包んでマイクを手に取り、実況者になって元に戻って来た。


《ついに登場！　ザナーク＝アバロニク！　その実力は!?　彼のチームはどんなプレーを見せるのか!?　天空を昇るここ、孔明の園でまもなく雷門対ザナーク・ドメインの一戦が行われようとしている――っ!!》


ユニフォームに着替えてベンチでウォーミングアップする雷門イレブン。天馬はザナーク・ドメインを見る雨宮に声をかける。


「太陽、今度の相手は今までより手強そうだ」

「ああ。確かに強敵みたいだね。でも、僕らならやれるさ！」

「気をつけて。相手は何をして来るかわからない」

｢｢うん/ああ｣｣


フェイもまたザナーク・ドメインを見ながら天馬と雨宮に注意を促すと、二人は心得たというように頷いた。


「信助、キーパーとは最後の砦だったな？」

「うん」

「しっかりな。お前がゴールを守りきれよ！」

「はい！　がんばります！」


ほとんど信助から一方的だが、もう劉備と信助の間に悪い空気が流れていないのを瑞貴は感じながらワンダバに話しかける。


「この試合で信助の成長過程によっては、ミキシマックスが成功するかもしれないね」

「ウム！　あとは孔明の力を誰に受け継がせるかだが……」


ワンダバが顔を向けた先には、東屋に戻って試合を見学する孔明だ。劉備に対してもあまりい印象を持っていないようだし、このままでは歴史通りにはいかない。この試合では課題がいろいろある。


「おい、ザナーク。この試合どうする？」

「フッ。――遊んでやるさ」

「遊びねぇ……へへへへっ」

｢｢｢｢｢フッ｣｣｣｣｣


エンギルから話しかけられたザナークがそう答えると、他のザナーク・ドメインのメンバーも笑っていた。

矢嶋が手持ちできる銅鑼を鳴らして試合開始。先攻は雷門イレブンからで、剣城からボールを受け取った倉間典人がドリブルで上がって行く。


「二人……」

「倉間さん！」

「三人……」


ザナークが何かを呟いている中、シュラと接触する前に倉間は雨宮にパスを回してザナークも抜ける。雨宮はそのままドリブルでエンギルを抜いた。


「ちっくしょー！　――フッ、なんてな」

「？」


最初は大袈裟に悔しがっていたエンギルが、次いで振り向いてなんてことのないように言ったので、それに反応した瑞貴は目をパチクリする。


「いいぞ、太陽！」

「天馬！」

「四人……」

「さっさとパス出しな！」

「!?」


またもやザナークが呟くと、今度はヤシャがスライディングで雨宮からパスを受け取った天馬からボールを離した。


「五人……」

「でやっ！」

「ふんっ！」


弾かれたボールをフェイが拾ってノーマルシュートを撃つと、オークがゴール前に出て止めた。