劉備さんは面白い!
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キャラバンはワームホールを抜け、西暦207年の後漢・現代の中国へやってきた。
「着いたぞ、諸君!」
「ここが、1800年前の中国か……」
「このどこかに劉備がいる……」
窓の外には広大な自然と大きな岩山がたくさんあり、その景色を見つつ神童や信助は自分たちの求める力を探すため意気込んだ。
「ではさっそく! 劉備と孔明探しに出発だ!」
「「「「「オウッ!!」」」」」
キャラバンを隠してワンダバスイッチでこの時代の服装に合わせたあと、雷門メンバーは竹林に入った。
「とは言ったものの、これじゃどっちに町があるのかすらわからんぜよ……」
「空に浮かんだときも、町は見えなかったしね」
「……あっ!」
錦と瑞貴たちが頭を悩ませる中、天馬は竹林の奥からの声が耳に入った。
「向こうに誰かいる!」
「行ってみよう!」
「うん!」
この時代の人なら何か知ってるかもしれないとフェイが会いに行こうと提案し、天馬を先頭にして雷門メンバーは竹林を駆けて行く。何故か歌は「シッシシ」や「シシシ~」というフレーズが多いので水鳥は呆れる。
「あっちだ!」
「さっきから『シシシシ』ばっかだな、この歌……」
「シシシシッシ~! シシシのシ~!」
「いた!」
フェイたちはついに歌を歌っている男を見つけたので、天馬はさっそく彼の前に出る。
「あのー! すみませーん!」
「ん? ――危ない!」
「「「「「わあああっ!!」」」」」
なんと竹林を抜けて道に入ったと思ったら、男は大砲を運んでいたのだ。しかも天馬たちはちょうど大砲の前に出たので、撃たれるのではと危惧すると――。
「ワッハハハハッ! 冗談だよ、冗談! びっくりしたか? ワハハハハッ!」
「なんだこのおっさん……」
「人騒がせな……」
「ダバ~……」
大きく叫び声を上げたと思ったら、次に大きな声で高笑いをするので、狩屋マサキも瑞貴もワンダバも大袈裟なリアクションをする男に呆れた。
「ちょうどいいところに来た! ちょっと、手伝ってくれないか? こいつがハマって動かないんだ」
男が運んでいる大砲の車輪がぬかるみにハマっていた。そこから脱出するために歌いながら押していたのだろう。
雷門メンバーで一番体格がいい錦が先頭の持ち手から引っ張ることにし、次いで男はフェイと天馬に指示を出し、自分は信助と共に反対側を押すと言う。
「お前とお前はそっちを押してくれ。わしはこいつとこっちを押す」
「それにしても大きな大砲ですね。こんな大砲、何に使うんですか?」
「これか? 亀を捕まえんのよ!」
「「「「「亀?」」」」」
「「「「「亀!?」」」」」
瑞貴と黄名子とマネージャー組が思わず巨大な亀を大砲で倒す姿を想像すると、選手たちも想像して大きな声を上げた。この時代にはそんな怪物がいるのかと……。
「ワッハハハハッ! 冗談だよ!」
「えっ……?」
「そんなデカい亀いるはずないだろ。ワハハハハッ!」
「勘弁してくれよ……」
アッサリ嘘だと否定した男に天馬たちは苦笑したが、狩屋はいちいち驚かせて来る男に再び呆れた。
「本当は、龍を捕まえるのよ!」
「龍? 冗談ですよね?」
「いーや、本当だ。この中にはデッカい網が入ってて、それで龍を捕まえるのよ!」
「「ええっ!? ホントに!?」」
「それじゃみんな、頼んだぞ!」
また冗談だと思った葵だが、男はどうやら本気らしく今度は高笑いすらしなかったので天馬も信助も驚いた。
とにかくまずは大砲をぬかるみから脱出させることが必要なので、男を始め錦と天馬とフェイと信助は大砲に手を当てて押し始める。
「そーれ! そーれ!」
男の掛け声に合わせて錦と天馬とフェイと信助は大砲を押してみるが、男が一人でやったときは幾分かはマシでもなかなかぬかるみから動かない。
「あの……それ、一旦下げたらどうですか? うしろの車輪はハマってないみたいですし……」
「ん?」
神童の言う通り、ハマってしまった車輪は前だけなのでうしろは無事だ。一度下げればぬかるみから脱出できるかもしれないし、できなくても勢いを出すために一度引いて一気に押し出すという手もある。しかし男は……。
「いや、このまま押し出す! 押し出すと決めたら押し出すんだ!」
「!」
「一度こうと決めたら曲げねぇのか」
「ずいぶんと一本気な性格なんだね」
男は神童の提案に乗らず、最初に『押してぬかるみから出す』と決めた通りにやるのだと言う。その真っ直ぐな気質に水鳥も瑞貴も嫌いじゃないのでどこか感心した。
「いくぞー! みんなー! 今度こそー! そーれ!」
もう一度男の掛け声に合わせて大砲を前に押す中、狩屋は男がそこまでこだわる理由に「訳わかんない……」と呟いた。
しかしついに車輪はぬかるみから出たので、ついにできたと男は拳を大きく上げて大喜びする。