劉備さんは面白い!
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「今回のアーティファクトは……――『孔明の書』だ」
「孔明の書……ってことはもしかして、三国志ですか!?」
〈その通り!〉
豪炎寺が持って来たアーティファクトを見てどこか興奮している様子の速水鶴正が推測した時代を、大介は正解だというように肯定した。
〈『三の力――未来をも見通す状況推理能力で敵の急所を突く、正確無比のMF』には『諸葛孔明』! 『四の力――大国を治める力、強靭な行動力と実力行使を持つ、鉄壁のキーパー』には『劉備』こと『劉玄徳』だ!〉
「…………!」
ついにGKのオーラを手に入れるときが来たせいか、信助は静かに気を引き締めていた。
「劉玄徳! 俺大ファンなんですよ!」
「誰ぜよ? その、劉玄徳って」
「えっ? 誰って……もしかして錦くん、『三国志』を知らないんですか!?」
「知らんぜよ」
「ウチも知らんね」
「えっ……嘘ー!? 三国志を知らない人がいたなんてー!?」
錦龍馬だけでなく黄名子までも「三国志を知らない」と言われた。そのことに速水は盛大にショックを受け、一度喉を鳴らして説明する。
「三国志というのはですね……――今から1800年ぐらい前の中国で、『魏』、『呉』、『蜀』っていう三つの国ができるまでのことを書いたお話なんです。劉備っていうのは、その中に出てくる英雄の一人で『関羽』と『張飛』っていう兄弟の契りを交わした二人と軍を率いて、圧倒的な兵力を誇る『曹操』の軍と戦うんです! そのときに軍師として劉備に仕えたのが三の力の所で出た『諸葛孔明』なんです! うん!」
「あんなに熱い速水見るの、初めてだな……」
「俺も……」
いつもネガティブな速水だが、三国志のことになるとメチャクチャ強く語ったので青山俊介も一乃七助も顔を見合わせて唖然としていた。
速水に質問すればまた熱く語られると思ったのか、信助は豪炎寺に質問をする。
「劉備ってどんな人なんですか?」
「劉備はとても義理堅い義の人で、人望も厚く曹操の軍に攻められたとき、逃げる劉備を慕って十万もの民衆がついて来たと言う。だがそれだけの人が一緒だと素早く逃げられないため、『民衆を捨てていくべきだ』と進言する部下もいた。けれど劉備は『自分に付いて来た人たちを置き去りにはできない』と、最後まで全員を連れて行ったんだ」
「…………!」
「ねっ! スゴい人でしょ!?」
「はい!」
歴史にこうして伝えられた劉備の人徳に、信助は興奮する速水に同意して頷いた。タイムジャンプすることで本物の劉備に会えると速水はワクワクが止まらない。
「楽しみです~! 劉備に会えるんですね~……!」
「なんか難しそうなお話やんね……」
「確かに諸説ではいろいろあるけど、劉備の人柄についてはそんなに難しくないよ。例えば……――黄名子ちゃんがとあるチームでサッカーをしていたとするよ? その中で一人だけオフェンスもディフェンスもできず足手まといの子がいるの。他のみんなは『あいつをチームから外せばいい』と言っているけど、そしたら黄名子ちゃんもその子をチームから外す?」
「絶対しないやんね! 仲間外れはよくないし、オフェンスもディフェンスも苦手なら、他に何かできることを一緒に探すやんね!」
「うん。そんな風に劉備は仲間外れなんてしない人だったってこと。自分も元は平民と同じ暮らしをしていたから、平民の辛さも見捨てられる怖さもわかっていたんだろうね」
「もしかして、瑞貴さんも三国志のファンなんですか!?」
「あっ、いや、私は昔授業で習った程度だから、鶴正くんには負けるよ……」
勢いよく詰め寄ってきた速水に瑞貴は戸惑いつつ、そこまでのファンじゃないと苦笑しながらも否定した。
〈それでは今回タイムジャンプするメンバーを伝える! ――瑞貴とマネージャー三人と、松風、フェイ、神童、剣城、錦、霧野、倉間、狩屋、菜花、そして雨宮と西園! 以上だ!〉
「えっ!? 俺、居残りー!?」
〈わしらの目的は劉備と孔明の力をもらいにいくこと。アイドルに会いに行くわけではないからな!〉
大介の言うことはごもっともなのだが、劉備のファンとしてはぜひとも会いたかった速水は肩を落とすのだった。
「瑞貴さん! 同じ劉備のファンとしてサインをもらってきてください!」
「その色紙、どこから出したの……?」
せめてサインだけはと速水は色紙を出して瑞貴に詰め寄る。劉備のこととなると本当にいつもと違うので、瑞貴は戸惑うばかりであった。
「がんばれよ」
「あっ……」
「お前ならできる! 劉備とのミキシマックス、必ず成功させて来い!」
「はい!」
GKは一人だけしかタイムジャンプできないので、信助が選ばれたのは大介が劉備の力を受け取るにふさわしいと思われたからだ。それがわかっていた信助は拳を握って意気込むと、三国は片膝を地に付けて信助の肩にポンッと手を置いて応援する。
「タイムジャンプ5秒前! 4…3…2…1! ターイムジャ――ンプッ!!」
孔明の書をアーティファクトにし、他の雷門イレブンに見送られながら天馬や瑞貴たちは、諸葛孔明の力と劉備の力を手に入れに三国時代へタイムジャンプするのだった。
「孔明の書……ってことはもしかして、三国志ですか!?」
〈その通り!〉
豪炎寺が持って来たアーティファクトを見てどこか興奮している様子の速水鶴正が推測した時代を、大介は正解だというように肯定した。
〈『三の力――未来をも見通す状況推理能力で敵の急所を突く、正確無比のMF』には『諸葛孔明』! 『四の力――大国を治める力、強靭な行動力と実力行使を持つ、鉄壁のキーパー』には『劉備』こと『劉玄徳』だ!〉
「…………!」
ついにGKのオーラを手に入れるときが来たせいか、信助は静かに気を引き締めていた。
「劉玄徳! 俺大ファンなんですよ!」
「誰ぜよ? その、劉玄徳って」
「えっ? 誰って……もしかして錦くん、『三国志』を知らないんですか!?」
「知らんぜよ」
「ウチも知らんね」
「えっ……嘘ー!? 三国志を知らない人がいたなんてー!?」
錦龍馬だけでなく黄名子までも「三国志を知らない」と言われた。そのことに速水は盛大にショックを受け、一度喉を鳴らして説明する。
「三国志というのはですね……――今から1800年ぐらい前の中国で、『魏』、『呉』、『蜀』っていう三つの国ができるまでのことを書いたお話なんです。劉備っていうのは、その中に出てくる英雄の一人で『関羽』と『張飛』っていう兄弟の契りを交わした二人と軍を率いて、圧倒的な兵力を誇る『曹操』の軍と戦うんです! そのときに軍師として劉備に仕えたのが三の力の所で出た『諸葛孔明』なんです! うん!」
「あんなに熱い速水見るの、初めてだな……」
「俺も……」
いつもネガティブな速水だが、三国志のことになるとメチャクチャ強く語ったので青山俊介も一乃七助も顔を見合わせて唖然としていた。
速水に質問すればまた熱く語られると思ったのか、信助は豪炎寺に質問をする。
「劉備ってどんな人なんですか?」
「劉備はとても義理堅い義の人で、人望も厚く曹操の軍に攻められたとき、逃げる劉備を慕って十万もの民衆がついて来たと言う。だがそれだけの人が一緒だと素早く逃げられないため、『民衆を捨てていくべきだ』と進言する部下もいた。けれど劉備は『自分に付いて来た人たちを置き去りにはできない』と、最後まで全員を連れて行ったんだ」
「…………!」
「ねっ! スゴい人でしょ!?」
「はい!」
歴史にこうして伝えられた劉備の人徳に、信助は興奮する速水に同意して頷いた。タイムジャンプすることで本物の劉備に会えると速水はワクワクが止まらない。
「楽しみです~! 劉備に会えるんですね~……!」
「なんか難しそうなお話やんね……」
「確かに諸説ではいろいろあるけど、劉備の人柄についてはそんなに難しくないよ。例えば……――黄名子ちゃんがとあるチームでサッカーをしていたとするよ? その中で一人だけオフェンスもディフェンスもできず足手まといの子がいるの。他のみんなは『あいつをチームから外せばいい』と言っているけど、そしたら黄名子ちゃんもその子をチームから外す?」
「絶対しないやんね! 仲間外れはよくないし、オフェンスもディフェンスも苦手なら、他に何かできることを一緒に探すやんね!」
「うん。そんな風に劉備は仲間外れなんてしない人だったってこと。自分も元は平民と同じ暮らしをしていたから、平民の辛さも見捨てられる怖さもわかっていたんだろうね」
「もしかして、瑞貴さんも三国志のファンなんですか!?」
「あっ、いや、私は昔授業で習った程度だから、鶴正くんには負けるよ……」
勢いよく詰め寄ってきた速水に瑞貴は戸惑いつつ、そこまでのファンじゃないと苦笑しながらも否定した。
〈それでは今回タイムジャンプするメンバーを伝える! ――瑞貴とマネージャー三人と、松風、フェイ、神童、剣城、錦、霧野、倉間、狩屋、菜花、そして雨宮と西園! 以上だ!〉
「えっ!? 俺、居残りー!?」
〈わしらの目的は劉備と孔明の力をもらいにいくこと。アイドルに会いに行くわけではないからな!〉
大介の言うことはごもっともなのだが、劉備のファンとしてはぜひとも会いたかった速水は肩を落とすのだった。
「瑞貴さん! 同じ劉備のファンとしてサインをもらってきてください!」
「その色紙、どこから出したの……?」
せめてサインだけはと速水は色紙を出して瑞貴に詰め寄る。劉備のこととなると本当にいつもと違うので、瑞貴は戸惑うばかりであった。
「がんばれよ」
「あっ……」
「お前ならできる! 劉備とのミキシマックス、必ず成功させて来い!」
「はい!」
GKは一人だけしかタイムジャンプできないので、信助が選ばれたのは大介が劉備の力を受け取るにふさわしいと思われたからだ。それがわかっていた信助は拳を握って意気込むと、三国は片膝を地に付けて信助の肩にポンッと手を置いて応援する。
「タイムジャンプ5秒前! 4…3…2…1! ターイムジャ――ンプッ!!」
孔明の書をアーティファクトにし、他の雷門イレブンに見送られながら天馬や瑞貴たちは、諸葛孔明の力と劉備の力を手に入れに三国時代へタイムジャンプするのだった。