誓いはこの旗の元に
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――ハーフタイムに入り、雷門イレブンはベンチに戻った。前半の内に同点すらも取れなかったので勢いが微妙な状態だ。
「確かに王子の作戦はうまく行ったと思いますけど、これじゃあ後半が……」
葵の言う通り、オフェンス陣がシャルルの作戦によって体力が消耗し肩で息をしているのだ。
「確かに。この短いハーフタイムでみんなの体力は充分回復できないね……」
「これじゃ、攻められない……」
両腕を組んで瑞貴も難しい顔をして茜が不安そうに両手を組んでいるが、対して天馬やフェイはこのくらいなんでもないというように声を上げる。
「大丈夫! まだまだいける!」
「ああ! せっかく相手の隙を突けたんだ!」
「でも、このままじゃ体力が厳しいだろ?」
「案ずるな、次の策は考えてある。フッフッフッ」
「「「「「?」」」」」
作戦があると不敵に笑うシャルルに雷門イレブンが不思議そうにする中、彼らの輪から離れた場所に立っている霧野は、拳を握りつつも自分の苛立ちを抑えようとしていた。
(何を苛立ってる、俺は……!?)
「おい、霧野」
「っ! あ、ああ。悪い」
「……?」
シャルルの作戦が発表されるので神童は霧野を呼び出した。彼は普通に応じて輪の中に戻ったものの、その様子に神童は不思議そうにしていた。
――ハーフタイムが終了し、両チームがピッチに入ってそれぞれポジションに着くのだが……。
《なんと! 雷門はここでポジションチェンジ! DFとFWを入れ替えて来たぞー!?》
「ん? フフフッ、さすがの俺もそう来るとは思わなかったぜ」
ディフェンスの霧野と黄名子と浜野海士と速水鶴正を前線に上げ、オフェンスの天馬と神童と剣城とフェイと輝龍馬と錦を下げる……GKの西園信助以外の思い切ったポジションチェンジに、ザナークも少なからず驚いていた。
「これぞ『先の先の先の先を読む作戦』だ。エッヘン!」
「大丈夫でしょうか? こんなにフォーメーションを変えるなんて……」
「ちゅーか、やるしかないっしょ」
「大丈夫です! なんとかなります!」
「うん! ここはシャルル王子に賭けてみよう!」
「「「「うん!」」」」」
「あとはジャンヌさえ……」
速水や浜野のように天馬もフェイも不安がないわけではないが、なんだかんだでシャルルの指揮が前半に思わぬ展開を見せたことは確かだ。そしてその決定力になるのはミキシマックスが必要だとワンダバは壁の上にいるジャンヌを見上げる。
☆☆☆☆☆
ジャンヌが動けないままでも戦いは続いている。ずっとフランスの兵は圧されているので、ジャンヌはふと先ほど自分の前に来た兵士の言葉を思い出す。
『お前を信じて、よかったのか!?』
「あっ……」
すると次々とフランスの兵がこちらを見上げているので、ジャンヌには自分を責めるような声が聞こえてくる。
『ジャンヌ! 本当に聴こえたのか!?』
「えっ……?」
『幻聴じゃないのか!?』
『本当に!?』
『聞こえたのか!?』
『神の声が!』
もちろんこれこそが幻聴だろうが、まるで兵たちの胸の奥にある言葉のようでジャンヌは目を閉じて十字架を握りしめた。
☆☆☆☆☆
心の支えでもある神の声も今は聞こえないのだろう。このままではミキシマックスどころかフランスも負け、ジャンヌの自信が本当になくなってしまうと黄名子も霧野も危惧する。
「どうしたら、ジャンヌさんの力が目覚めるんだろう? 今のままじゃ……」
「…………」
『私が逃げたら、フランスの人々の苦しみは終わらない……』
『ジャンヌ……』
『私は選ばれたんです……』
ジャンヌの言葉を思い出した霧野は、彼女が神から選ばれたとはいえフランスを救いたいという気持ちが確かにあると感じていた。
「俺はジャンヌを信じている。彼女は、誰よりも強い心を持っている。だから、必ずミキシマックスは完成するはずだ」
「うん……!」
霧野の言葉に黄名子は深く頷いた。ジャンヌが未来に名を残す救世主とか、神の声が聞こえるからとかではなく、まずは彼女自身を信じないといけない。
『君には、君にしかできないことがある。だからこそジャンヌ……君が選ばれたんじゃないかな』
『私にしかできないこと?』
あのとき霧野はジャンヌに向けてそう言ったが、今思えばそれは自分自身に言い聞かせているように感じる。
(俺も見つけなければ……俺だけにしかできないことを……!)
霧野が心の中で奏意気込む中、ジャンヌは幻聴と目の前の光景の恐ろしさに剣を離して耳を塞いでしまった。……自分を否定する声だけじゃなく、自分を肯定する声すらも、もう何も聞きたくないというように。
――そして後半開始のラッパが吹かれ、霧野からボールを受け取った黄名子が走り出す。
「ウチ、元FWなんよ。本領発揮やんね!」
「待て待て待てーい! 作戦通りに行け!」
「え~」
「何っ!?」
《おーっと、パスミスか!?》
シャルルに止められた黄名子はボールをラインの外に出した。それは事故ではなく意図的に出したものなのでガンマは驚く。
「確かに王子の作戦はうまく行ったと思いますけど、これじゃあ後半が……」
葵の言う通り、オフェンス陣がシャルルの作戦によって体力が消耗し肩で息をしているのだ。
「確かに。この短いハーフタイムでみんなの体力は充分回復できないね……」
「これじゃ、攻められない……」
両腕を組んで瑞貴も難しい顔をして茜が不安そうに両手を組んでいるが、対して天馬やフェイはこのくらいなんでもないというように声を上げる。
「大丈夫! まだまだいける!」
「ああ! せっかく相手の隙を突けたんだ!」
「でも、このままじゃ体力が厳しいだろ?」
「案ずるな、次の策は考えてある。フッフッフッ」
「「「「「?」」」」」
作戦があると不敵に笑うシャルルに雷門イレブンが不思議そうにする中、彼らの輪から離れた場所に立っている霧野は、拳を握りつつも自分の苛立ちを抑えようとしていた。
(何を苛立ってる、俺は……!?)
「おい、霧野」
「っ! あ、ああ。悪い」
「……?」
シャルルの作戦が発表されるので神童は霧野を呼び出した。彼は普通に応じて輪の中に戻ったものの、その様子に神童は不思議そうにしていた。
――ハーフタイムが終了し、両チームがピッチに入ってそれぞれポジションに着くのだが……。
《なんと! 雷門はここでポジションチェンジ! DFとFWを入れ替えて来たぞー!?》
「ん? フフフッ、さすがの俺もそう来るとは思わなかったぜ」
ディフェンスの霧野と黄名子と浜野海士と速水鶴正を前線に上げ、オフェンスの天馬と神童と剣城とフェイと輝龍馬と錦を下げる……GKの西園信助以外の思い切ったポジションチェンジに、ザナークも少なからず驚いていた。
「これぞ『先の先の先の先を読む作戦』だ。エッヘン!」
「大丈夫でしょうか? こんなにフォーメーションを変えるなんて……」
「ちゅーか、やるしかないっしょ」
「大丈夫です! なんとかなります!」
「うん! ここはシャルル王子に賭けてみよう!」
「「「「うん!」」」」」
「あとはジャンヌさえ……」
速水や浜野のように天馬もフェイも不安がないわけではないが、なんだかんだでシャルルの指揮が前半に思わぬ展開を見せたことは確かだ。そしてその決定力になるのはミキシマックスが必要だとワンダバは壁の上にいるジャンヌを見上げる。
☆☆☆☆☆
ジャンヌが動けないままでも戦いは続いている。ずっとフランスの兵は圧されているので、ジャンヌはふと先ほど自分の前に来た兵士の言葉を思い出す。
『お前を信じて、よかったのか!?』
「あっ……」
すると次々とフランスの兵がこちらを見上げているので、ジャンヌには自分を責めるような声が聞こえてくる。
『ジャンヌ! 本当に聴こえたのか!?』
「えっ……?」
『幻聴じゃないのか!?』
『本当に!?』
『聞こえたのか!?』
『神の声が!』
もちろんこれこそが幻聴だろうが、まるで兵たちの胸の奥にある言葉のようでジャンヌは目を閉じて十字架を握りしめた。
☆☆☆☆☆
心の支えでもある神の声も今は聞こえないのだろう。このままではミキシマックスどころかフランスも負け、ジャンヌの自信が本当になくなってしまうと黄名子も霧野も危惧する。
「どうしたら、ジャンヌさんの力が目覚めるんだろう? 今のままじゃ……」
「…………」
『私が逃げたら、フランスの人々の苦しみは終わらない……』
『ジャンヌ……』
『私は選ばれたんです……』
ジャンヌの言葉を思い出した霧野は、彼女が神から選ばれたとはいえフランスを救いたいという気持ちが確かにあると感じていた。
「俺はジャンヌを信じている。彼女は、誰よりも強い心を持っている。だから、必ずミキシマックスは完成するはずだ」
「うん……!」
霧野の言葉に黄名子は深く頷いた。ジャンヌが未来に名を残す救世主とか、神の声が聞こえるからとかではなく、まずは彼女自身を信じないといけない。
『君には、君にしかできないことがある。だからこそジャンヌ……君が選ばれたんじゃないかな』
『私にしかできないこと?』
あのとき霧野はジャンヌに向けてそう言ったが、今思えばそれは自分自身に言い聞かせているように感じる。
(俺も見つけなければ……俺だけにしかできないことを……!)
霧野が心の中で奏意気込む中、ジャンヌは幻聴と目の前の光景の恐ろしさに剣を離して耳を塞いでしまった。……自分を否定する声だけじゃなく、自分を肯定する声すらも、もう何も聞きたくないというように。
――そして後半開始のラッパが吹かれ、霧野からボールを受け取った黄名子が走り出す。
「ウチ、元FWなんよ。本領発揮やんね!」
「待て待て待てーい! 作戦通りに行け!」
「え~」
「何っ!?」
《おーっと、パスミスか!?》
シャルルに止められた黄名子はボールをラインの外に出した。それは事故ではなく意図的に出したものなのでガンマは驚く。