炎の中のサッカー!
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「私が逃げたら、フランスの人々の苦しみは終わらない……」
「ジャンヌ……」
「私は選ばれたんです……。でも、私なんかにできるんでしょうか……?」
「ジャンヌはスゴいよ」
「えっ?」
「苦しむ人たちを救いに、たった一人で立ち上がり、王太子の心を動かしたんだから」
同じように座り込んだ霧野が何かを見ながら顔を上げるとジャンヌもその先を見る。風がないので今はたなびいていないが、そこにはジャンヌたちの軍の旗があった。
「君には、君にしかできないことがある。だからこそジャンヌ……君が選ばれたんじゃないかな」
「私にしかできないこと?」
「俺にも俺にしかできないこと、あるといいんだけど……」
「ランマル……」
そんな二人の様子を階段からコッソリと黄名子と瑞貴が見守っていたが、黄名子は何かを想っているかのように眉を下げたので瑞貴は小声で話しかける。
「黄名子ちゃん?」
「きっと、ウチじゃないやんね」
瑞貴がその言葉の意味がわかるのは、もう少し先の話である。そして同時に瑞貴はある決意をしてキッと顔を引き締めた。
――とある部屋の一室で先ほど瑞貴とアイコンタクトを取った男が、ワインをグラスに入れる隣でイールが豪勢な食事にありついている。そんな中で瑞貴がイールの前に立つと、偶然同じ場所に行こうとした霧野と、瑞貴を追って来た黄名子も中に入った。
うしろに霧野と黄名子がいることに気づかず、瑞貴は真っ直ぐな目でいつもより声音を低くしてイールに話しかける。
「騎士は誇り高いと聞いていましたが、どうやら違ったようですね」
「な……! ングッ!」
イールは反論しようとしたが肉が喉に詰まったらしく、ワインを飲んで喉の通りをよくすると瑞貴を睨みつける。
「なんだと!?」
「敵が目の前にいるというのに、あなた方は何もしようとしない!」
「――もしかして、負けるかもって思ってる?」
「うるさい!」
「わあっ!」
「…………」
瑞貴だけでなく霧野と黄名子も参戦したので、イールはガチャンと大きな音を出すほどテーブルに両手を叩きつけながら立ち上がった。その音にびっくりした黄名子は瑞貴にしがみつくと、それを受け止めつつ瑞貴はイールを睨む。
「敵は消耗し兵も少ない。守りを固めていればその内逃げ出す!」
「相手にも援軍が来たらどうするつもりですか!?」
「そ、それは……!」
「こちらは援軍が来ているのはイングランド軍も確認を取っているはずです。相手も奪った領土を取り返させまいとそれ相応の対処をする……こうやってノンキに食事を取っている間にね」
「グッ! う、うるさい! 戦は騎士に任せておけばいいと言ったであろう!」
「……ハァ?」
ぷっつん――。
「「!」」
瑞貴の中で何かが切れたのを霧野と黄名子は感じ取った。しかしイールはそれに気づいておらず、瑞貴は黄名子の体をそっと離すと――。
ガチャン!
「「「!」」」
「神の声を聞いたとはいえ、ジャンヌさんは身を賭してシャルル王子に必死に援軍を頼みに行ったんだぞ!? それにオルレアンのこの状況もあんたたちは目の当たりにしたくせに何も感じなかったのか!?」
「な、なんだと!? 無礼な!」
「あの少女の勇気に敬意を評しないあんたたちのほうがよっぽど無礼だ!」
「瑞貴さんが怖いやんね……」
「あれ、完全にキレてるな……」
「――大変です!」
キレた瑞貴が同じようにテーブルに両手を叩いてイールと睨み合い、黄名子と霧野が驚いている中、一人の兵士がメモを持って慌てて駆け込んで来た。
「ジャンヌ様が手勢を率いて、イングランドの砦に攻め込みました!」
「なんだって!?」
その知らせを聞いて霧野たちは声を上げて驚いた。
霧野と瑞貴と黄名子は雷門メンバーを、イールはジルたち兵士の一部を呼ぶと、先ほど伝言しに来た兵士の詳細を訊く。
「『皆が後に続くのを待つ』と、ジャンヌ様の伝言です」
「まさか、自分を犠牲にしてみんなをやる気にさせるつもり!?」
「俺が余計なことを言ったから……! っ、止めなきゃ!」
「霧野!」
天馬の言う通り自分を犠牲にするつもりなら、自分のせいだと霧野が慌てて部屋から出て行った。それを神童たち雷門メンバーもあとを追うと、瑞貴もそれに続く前にイールたちに顔を向ける。
「プライドをどんな形で固持するかは自由ですが、そのせいで判断を鈍らせてしまう……時には考えを変える覚悟も持たなければいけません。何もかもに気づいたあとで行動したら遅いんですよ」
「「!」」
「…………」
その言葉にイールとジルが目を見開く中、瑞貴はフードを被った男と一度目を合わすと部屋から出て行った。
「ジャンヌ……」
「私は選ばれたんです……。でも、私なんかにできるんでしょうか……?」
「ジャンヌはスゴいよ」
「えっ?」
「苦しむ人たちを救いに、たった一人で立ち上がり、王太子の心を動かしたんだから」
同じように座り込んだ霧野が何かを見ながら顔を上げるとジャンヌもその先を見る。風がないので今はたなびいていないが、そこにはジャンヌたちの軍の旗があった。
「君には、君にしかできないことがある。だからこそジャンヌ……君が選ばれたんじゃないかな」
「私にしかできないこと?」
「俺にも俺にしかできないこと、あるといいんだけど……」
「ランマル……」
そんな二人の様子を階段からコッソリと黄名子と瑞貴が見守っていたが、黄名子は何かを想っているかのように眉を下げたので瑞貴は小声で話しかける。
「黄名子ちゃん?」
「きっと、ウチじゃないやんね」
瑞貴がその言葉の意味がわかるのは、もう少し先の話である。そして同時に瑞貴はある決意をしてキッと顔を引き締めた。
――とある部屋の一室で先ほど瑞貴とアイコンタクトを取った男が、ワインをグラスに入れる隣でイールが豪勢な食事にありついている。そんな中で瑞貴がイールの前に立つと、偶然同じ場所に行こうとした霧野と、瑞貴を追って来た黄名子も中に入った。
うしろに霧野と黄名子がいることに気づかず、瑞貴は真っ直ぐな目でいつもより声音を低くしてイールに話しかける。
「騎士は誇り高いと聞いていましたが、どうやら違ったようですね」
「な……! ングッ!」
イールは反論しようとしたが肉が喉に詰まったらしく、ワインを飲んで喉の通りをよくすると瑞貴を睨みつける。
「なんだと!?」
「敵が目の前にいるというのに、あなた方は何もしようとしない!」
「――もしかして、負けるかもって思ってる?」
「うるさい!」
「わあっ!」
「…………」
瑞貴だけでなく霧野と黄名子も参戦したので、イールはガチャンと大きな音を出すほどテーブルに両手を叩きつけながら立ち上がった。その音にびっくりした黄名子は瑞貴にしがみつくと、それを受け止めつつ瑞貴はイールを睨む。
「敵は消耗し兵も少ない。守りを固めていればその内逃げ出す!」
「相手にも援軍が来たらどうするつもりですか!?」
「そ、それは……!」
「こちらは援軍が来ているのはイングランド軍も確認を取っているはずです。相手も奪った領土を取り返させまいとそれ相応の対処をする……こうやってノンキに食事を取っている間にね」
「グッ! う、うるさい! 戦は騎士に任せておけばいいと言ったであろう!」
「……ハァ?」
ぷっつん――。
「「!」」
瑞貴の中で何かが切れたのを霧野と黄名子は感じ取った。しかしイールはそれに気づいておらず、瑞貴は黄名子の体をそっと離すと――。
ガチャン!
「「「!」」」
「神の声を聞いたとはいえ、ジャンヌさんは身を賭してシャルル王子に必死に援軍を頼みに行ったんだぞ!? それにオルレアンのこの状況もあんたたちは目の当たりにしたくせに何も感じなかったのか!?」
「な、なんだと!? 無礼な!」
「あの少女の勇気に敬意を評しないあんたたちのほうがよっぽど無礼だ!」
「瑞貴さんが怖いやんね……」
「あれ、完全にキレてるな……」
「――大変です!」
キレた瑞貴が同じようにテーブルに両手を叩いてイールと睨み合い、黄名子と霧野が驚いている中、一人の兵士がメモを持って慌てて駆け込んで来た。
「ジャンヌ様が手勢を率いて、イングランドの砦に攻め込みました!」
「なんだって!?」
その知らせを聞いて霧野たちは声を上げて驚いた。
霧野と瑞貴と黄名子は雷門メンバーを、イールはジルたち兵士の一部を呼ぶと、先ほど伝言しに来た兵士の詳細を訊く。
「『皆が後に続くのを待つ』と、ジャンヌ様の伝言です」
「まさか、自分を犠牲にしてみんなをやる気にさせるつもり!?」
「俺が余計なことを言ったから……! っ、止めなきゃ!」
「霧野!」
天馬の言う通り自分を犠牲にするつもりなら、自分のせいだと霧野が慌てて部屋から出て行った。それを神童たち雷門メンバーもあとを追うと、瑞貴もそれに続く前にイールたちに顔を向ける。
「プライドをどんな形で固持するかは自由ですが、そのせいで判断を鈍らせてしまう……時には考えを変える覚悟も持たなければいけません。何もかもに気づいたあとで行動したら遅いんですよ」
「「!」」
「…………」
その言葉にイールとジルが目を見開く中、瑞貴はフードを被った男と一度目を合わすと部屋から出て行った。