炎の中のサッカー!
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「来たか!」
「シュートはムリだって!」
「余に不可能はない!」
「嘘ー!」
距離があるしまた取られると黄名子は注意するが、男は自信満々にボールを蹴った。
勢いがありすぎたのか蹴ったシュートはあらぬ方向に向かう。だがボールは中庭にいた兵の頬に当たり、壁に反射し、さらに地面にバウンドしてゴールに入ったのだ。まさかこうなると思わなかった天馬チームは目を見開く。
「入った……!?」
「エッヘン! これが余の実力! 面白い……サッカー面白いではないか! フハハハハッ!」
「「「「「…………」」」」」
サッカーを気に入ってくれたのは嬉しいが、得意気に笑う男に瑞貴たちは苦笑したり呆れるのだった。
――男がサッカーを教えてくれた礼だと城の中を案内してくれるようで、天馬や瑞貴たちは男に付いて行く。
「気に入ったぞ、サッカー」
「よかったやんね!」
「お城、勝手に歩き回っていいんですか? 私たちは中庭で待つように言われたんですけど……」
「余が許す!」
堂々と歩く男に瑞貴は不安そうに言うも全く気にしていない。兵士とは思えない雰囲気にフェイは天馬に小声で話しかける。
「他の兵士と比べて、あの人ずいぶん威張ってる感じがしない?」
「そうだね」
すると男はジャンヌが通って行った門番のいる扉に向かっているので、天馬と黄名子は慌てて止めるように男に言う。
「そっちはマズいよ!」
「怒られちゃう!」
「気にするな」
それすらも男は堂々と言い放ち、しかも門番は男を見ると止めるわけでもなく何も言わず扉を開いた。
扉の先はジャンヌと霧野がいる謁見の間だ。男に続いて瑞貴たちも中に入ると、ジャンヌがこちらに駆け寄って男の前に立った。
「ジャンヌさん?」
「…………!」
彼女の様子に瑞貴は不思議そうにすると、しばらく男を眺めたジャンヌは――なんと男に向かって跪いた。
「お、お目にかかれて光栄です! ――シャルル様!」
「!」
「えっ!?」
「シャルル王子!?」
「え~!?」
ジャンヌが言った名に男は目を見開き、天馬もフェイも黄名子たちも驚いた。
「長旅ご苦労であった。ジャンヌ=ダルク」
「はい!」
「王太子様の変装を見抜いたか……!」
イールたちは今の格好は兵士である男を――王太子・シャルルと見抜いたジャンヌに驚いた。
ジャンヌたちが到着したとき、『面白い考えがある』とシャルルが告げた。それは自分の替え玉をジャンヌに会わせて試してみるということだ。
『替え玉ですか?』
『ジャンヌは余の顔を知るまい。だが、神の導きが本物ならば……』
『王太子を見出すと?』
『そういうことだ』
イールもジルもジャンヌが『神の声を聞く』などと信じていなかったので、シャルルの提案に反対することはなく替え玉を用意して、しばらくの間シャルルは兵士の格好をして城内で時間を潰していた。だが、変装して見た目は一介の兵士にしか見えないシャルルを見抜いたので、ジャンヌの力を認める他ない。
一度退室したシャルルは兵士の格好から王太子としての服に着替えて髪も整え、再び謁見の間に現れて玉座に座った。ジャンヌを始め瑞貴たちは彼の前に跪く。
「余を即位させる?」
「シャ、シャルル様はフランスの王となり、平和をもたらすお方です」
「それも神のお告げか?」
「は、はい……」
ジャンヌがそう言うも、シャルルはどこか苛立ちがあるように頬杖をついている手とは反対の指を肘掛けにトントンと叩く。
「我らはイングランドの攻撃の前に成す術(スベ)もなく、フランスの街も敵に落ちた……。いったいどうやって余を即位させるというのだ?」
「それは……」
頭ではわかっていても言葉をどう紡いだらいいかとジャンヌは戸惑い、斜めうしろにいる霧野に思わず顔を向けると、彼は頷いた。まるで『さっきのように思ったことを言えばいい』というように。それにジャンヌも頷き返してシャルルに顔を戻す。
「た、確かに! パリの都を始めとして多くの領土がイングランドに支配されています。で、でも、そのせいで敵の兵力は分散しているんです!」
「ホォ?」
「兵力を集中し、勇気を持って戦えば、必ず勝てます! でもオルレアンが落ちてしまったら、どうなるかわかりません……。お願いです! 一刻も早くオルレアンに援軍を!」
「…………」
ジャンヌは必死に訴えるが、シャルルは王太子と言う立場もあって簡単に決断を下すことはできない。親指の爪を噛みながらジャンヌや瑞貴たちを見て、カリッと爪をひとかじりした。
「シュートはムリだって!」
「余に不可能はない!」
「嘘ー!」
距離があるしまた取られると黄名子は注意するが、男は自信満々にボールを蹴った。
勢いがありすぎたのか蹴ったシュートはあらぬ方向に向かう。だがボールは中庭にいた兵の頬に当たり、壁に反射し、さらに地面にバウンドしてゴールに入ったのだ。まさかこうなると思わなかった天馬チームは目を見開く。
「入った……!?」
「エッヘン! これが余の実力! 面白い……サッカー面白いではないか! フハハハハッ!」
「「「「「…………」」」」」
サッカーを気に入ってくれたのは嬉しいが、得意気に笑う男に瑞貴たちは苦笑したり呆れるのだった。
――男がサッカーを教えてくれた礼だと城の中を案内してくれるようで、天馬や瑞貴たちは男に付いて行く。
「気に入ったぞ、サッカー」
「よかったやんね!」
「お城、勝手に歩き回っていいんですか? 私たちは中庭で待つように言われたんですけど……」
「余が許す!」
堂々と歩く男に瑞貴は不安そうに言うも全く気にしていない。兵士とは思えない雰囲気にフェイは天馬に小声で話しかける。
「他の兵士と比べて、あの人ずいぶん威張ってる感じがしない?」
「そうだね」
すると男はジャンヌが通って行った門番のいる扉に向かっているので、天馬と黄名子は慌てて止めるように男に言う。
「そっちはマズいよ!」
「怒られちゃう!」
「気にするな」
それすらも男は堂々と言い放ち、しかも門番は男を見ると止めるわけでもなく何も言わず扉を開いた。
扉の先はジャンヌと霧野がいる謁見の間だ。男に続いて瑞貴たちも中に入ると、ジャンヌがこちらに駆け寄って男の前に立った。
「ジャンヌさん?」
「…………!」
彼女の様子に瑞貴は不思議そうにすると、しばらく男を眺めたジャンヌは――なんと男に向かって跪いた。
「お、お目にかかれて光栄です! ――シャルル様!」
「!」
「えっ!?」
「シャルル王子!?」
「え~!?」
ジャンヌが言った名に男は目を見開き、天馬もフェイも黄名子たちも驚いた。
「長旅ご苦労であった。ジャンヌ=ダルク」
「はい!」
「王太子様の変装を見抜いたか……!」
イールたちは今の格好は兵士である男を――王太子・シャルルと見抜いたジャンヌに驚いた。
ジャンヌたちが到着したとき、『面白い考えがある』とシャルルが告げた。それは自分の替え玉をジャンヌに会わせて試してみるということだ。
『替え玉ですか?』
『ジャンヌは余の顔を知るまい。だが、神の導きが本物ならば……』
『王太子を見出すと?』
『そういうことだ』
イールもジルもジャンヌが『神の声を聞く』などと信じていなかったので、シャルルの提案に反対することはなく替え玉を用意して、しばらくの間シャルルは兵士の格好をして城内で時間を潰していた。だが、変装して見た目は一介の兵士にしか見えないシャルルを見抜いたので、ジャンヌの力を認める他ない。
一度退室したシャルルは兵士の格好から王太子としての服に着替えて髪も整え、再び謁見の間に現れて玉座に座った。ジャンヌを始め瑞貴たちは彼の前に跪く。
「余を即位させる?」
「シャ、シャルル様はフランスの王となり、平和をもたらすお方です」
「それも神のお告げか?」
「は、はい……」
ジャンヌがそう言うも、シャルルはどこか苛立ちがあるように頬杖をついている手とは反対の指を肘掛けにトントンと叩く。
「我らはイングランドの攻撃の前に成す術(スベ)もなく、フランスの街も敵に落ちた……。いったいどうやって余を即位させるというのだ?」
「それは……」
頭ではわかっていても言葉をどう紡いだらいいかとジャンヌは戸惑い、斜めうしろにいる霧野に思わず顔を向けると、彼は頷いた。まるで『さっきのように思ったことを言えばいい』というように。それにジャンヌも頷き返してシャルルに顔を戻す。
「た、確かに! パリの都を始めとして多くの領土がイングランドに支配されています。で、でも、そのせいで敵の兵力は分散しているんです!」
「ホォ?」
「兵力を集中し、勇気を持って戦えば、必ず勝てます! でもオルレアンが落ちてしまったら、どうなるかわかりません……。お願いです! 一刻も早くオルレアンに援軍を!」
「…………」
ジャンヌは必死に訴えるが、シャルルは王太子と言う立場もあって簡単に決断を下すことはできない。親指の爪を噛みながらジャンヌや瑞貴たちを見て、カリッと爪をひとかじりした。