鎧の少女
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「言われてみれば、そうですね……」
「ああ。力強さは感じない」
「っ……」
葵も水鳥も同意する中、霧野は何かを思ったのか顔を上げたが、言葉が見つからず再び顔をうつむけてしまう。
「とりあえず……――練習やりませんか?」
荷物からボールを取り出してそう提案した天馬に、この状況の中でやるのかと輝たちは目をパチクリした。
「練習?」
「うん! きっとなんとかなりますよ! 今はボールを追っかけましょう!」
「なんとかなる……か」
「よーし! やるやんね!」
天馬の口癖と言えど、今まで大変なこともあったが本当に『なんとかなった』のだ。最早魔法の言葉のように感じて剣城はフッと笑い、黄名子もやる気満々で賛成した。
「いいかもしれないね。みんなが楽しそうにプレーをすれば、自然と人柄が伝わると思うよ」
「よーし! さっそく練習だー!」
瑞貴とワンダバも特に異論はなく、ただ何もせずにいて怯えるより動いて気を紛らわしたほうがいいと思った。
動きやすいように選手のみんなはユニフォームに着替え、ストレッチを開始する。
「なんだ?」
「何を始めたんだ?」
突然動き出した天馬たちに、見張りとしている初めから警戒していた兵士二人は不思議そうな顔をする。
「一対一でゴール前の想定だ! 信助、準備はいいか!?」
「はーい!」
ワンダバが練習方法を伝えると、元気よく信助は手を上げて返事をした。ゴール代わりとして壁を背にし、ゴールと同じ長さの両端にはピッチフォークを目印に立てている。
するとスパイクの靴紐を調整していた剣城の前に、黄名子が現れた。
「ウチと勝負するやんね?」
「面白いな」
タイムパラドックスとはいえ、自分とストライカー対決に勝った黄名子の実力を試したかったのだろう。剣城はニヤリと笑って了承した。
「瑞貴さーん! ウチと剣城が最初にやるやんね!」
「うん、わかった!」
この対決は瑞貴にとってもちょうどよかった。いくらデータが残っていても実際に黄名子の実力を目にしたことはなかったので、少しでもわかればいいと思っていたのだ。
「いくぞ!」
攻撃の剣城がドリブルすると、守備の黄名子がさっそくディフェンスに入った。積極的にマークに着く黄名子に、剣城は隙を見て取られまいとボールを大きく上げた。
「ふっ!」
「フフッ!」
「っ!?」
自らも飛んで踵落としの要領でシュートを決めようとしたが、いつの間にか追ってジャンプした黄名子がヘディングで弾いた。言うだけのことはあると着地した剣城は黄名子の実力を認める。
「やるな。ディフェンスもできるとは」
「ウチ、ポジションいろいろできるやんね!」
「へぇ、菜花さんって器用なんだね。瑞貴さんみたい!」
「どうしたの急に改まって? いつもみたいに『黄名子』って呼んでよ。それにウチは瑞貴さんに憧れていろんなポジションができるようになったって、前にも言ったやんね」
「えっ?」
「そ、そうなの?」
不思議そうに言う黄名子だが、逆に瑞貴や天馬が不思議に思った。そしてフェイを含めて顔を見合わせて頷くと、剣城と対決を再開して黄名子が意識を逸らしている間、三人は彼女に聞こえないように話す。
「『いつもみたいに』……それに『前にも言った』って……」
「新しいタイムパラドックスが起きるなんて……」
「フェイくん、何が影響したのかな?」
「わかりません……。だけど、これ以上時間の流れを乱すことはできません」
「そうだね……。もっと強くなって、どんな相手が来ようと負けない力をつけないと……!」
「瑞貴さーん! ちょっと聞きたいことがあるやんねー!」
「あっ、うん!」
いつの間にか練習の足を剣城と共に止めていた黄名子に呼ばれた瑞貴は一度天馬とフェイと視線を合わして、黄名子と剣城の元へと走って行った。
「天馬、僕たちの必殺技を考えてみない?」
「えっ?」
「前から天馬とやりたいって思ってたんだ」
「アハッ! いいね、それ!」
天馬とフェイは二人の必殺技を模索することに決めたようだ。
「ああ。力強さは感じない」
「っ……」
葵も水鳥も同意する中、霧野は何かを思ったのか顔を上げたが、言葉が見つからず再び顔をうつむけてしまう。
「とりあえず……――練習やりませんか?」
荷物からボールを取り出してそう提案した天馬に、この状況の中でやるのかと輝たちは目をパチクリした。
「練習?」
「うん! きっとなんとかなりますよ! 今はボールを追っかけましょう!」
「なんとかなる……か」
「よーし! やるやんね!」
天馬の口癖と言えど、今まで大変なこともあったが本当に『なんとかなった』のだ。最早魔法の言葉のように感じて剣城はフッと笑い、黄名子もやる気満々で賛成した。
「いいかもしれないね。みんなが楽しそうにプレーをすれば、自然と人柄が伝わると思うよ」
「よーし! さっそく練習だー!」
瑞貴とワンダバも特に異論はなく、ただ何もせずにいて怯えるより動いて気を紛らわしたほうがいいと思った。
動きやすいように選手のみんなはユニフォームに着替え、ストレッチを開始する。
「なんだ?」
「何を始めたんだ?」
突然動き出した天馬たちに、見張りとしている初めから警戒していた兵士二人は不思議そうな顔をする。
「一対一でゴール前の想定だ! 信助、準備はいいか!?」
「はーい!」
ワンダバが練習方法を伝えると、元気よく信助は手を上げて返事をした。ゴール代わりとして壁を背にし、ゴールと同じ長さの両端にはピッチフォークを目印に立てている。
するとスパイクの靴紐を調整していた剣城の前に、黄名子が現れた。
「ウチと勝負するやんね?」
「面白いな」
タイムパラドックスとはいえ、自分とストライカー対決に勝った黄名子の実力を試したかったのだろう。剣城はニヤリと笑って了承した。
「瑞貴さーん! ウチと剣城が最初にやるやんね!」
「うん、わかった!」
この対決は瑞貴にとってもちょうどよかった。いくらデータが残っていても実際に黄名子の実力を目にしたことはなかったので、少しでもわかればいいと思っていたのだ。
「いくぞ!」
攻撃の剣城がドリブルすると、守備の黄名子がさっそくディフェンスに入った。積極的にマークに着く黄名子に、剣城は隙を見て取られまいとボールを大きく上げた。
「ふっ!」
「フフッ!」
「っ!?」
自らも飛んで踵落としの要領でシュートを決めようとしたが、いつの間にか追ってジャンプした黄名子がヘディングで弾いた。言うだけのことはあると着地した剣城は黄名子の実力を認める。
「やるな。ディフェンスもできるとは」
「ウチ、ポジションいろいろできるやんね!」
「へぇ、菜花さんって器用なんだね。瑞貴さんみたい!」
「どうしたの急に改まって? いつもみたいに『黄名子』って呼んでよ。それにウチは瑞貴さんに憧れていろんなポジションができるようになったって、前にも言ったやんね」
「えっ?」
「そ、そうなの?」
不思議そうに言う黄名子だが、逆に瑞貴や天馬が不思議に思った。そしてフェイを含めて顔を見合わせて頷くと、剣城と対決を再開して黄名子が意識を逸らしている間、三人は彼女に聞こえないように話す。
「『いつもみたいに』……それに『前にも言った』って……」
「新しいタイムパラドックスが起きるなんて……」
「フェイくん、何が影響したのかな?」
「わかりません……。だけど、これ以上時間の流れを乱すことはできません」
「そうだね……。もっと強くなって、どんな相手が来ようと負けない力をつけないと……!」
「瑞貴さーん! ちょっと聞きたいことがあるやんねー!」
「あっ、うん!」
いつの間にか練習の足を剣城と共に止めていた黄名子に呼ばれた瑞貴は一度天馬とフェイと視線を合わして、黄名子と剣城の元へと走って行った。
「天馬、僕たちの必殺技を考えてみない?」
「えっ?」
「前から天馬とやりたいって思ってたんだ」
「アハッ! いいね、それ!」
天馬とフェイは二人の必殺技を模索することに決めたようだ。