夢の天下
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――雷門イレブンと藤吉郎とお勝は信長に呼ばれ、那古屋城へと参った。上座には信長がいてその両脇には信長の忠臣が控えている。
「アッパレな戦であった」
「ハッ! ハハー!」
「今川義元の慌てようと言ったら」
「胸がスーッとしもうした!」
長秀や利家は、試合で負けた相手の大将・義元がサッカーで負けて悔しがっていた姿を思い出し愉快そうに笑った。――恐らく次は本当の戦で勝負を仕掛けるつもりだろうが。
「「「「「いただきまーす!」」」」」
さらに信長から食事の誘いもされたので、彼の忠臣と共に雷門イレブンは二列に向かいあうように並んで食事をする。
「神童拓人。貴様には我が力を分け与えたのだ。蹴鞠戦――いや、貴様たちの時代ではサッカーと呼ぶのだったな。心して精進せよ」
「はい! 信長様の御恩、忘れません!」
「ウム。時に神童……わしには天下が取れぬと申したな」
「!」
それは以前の詮議で神童が言ったことだ。神童たちの時代では当たり前に伝えられているが、この時代では未知数であり信長が天下統一の最有力候補なので、佐久間信盛は未だに信じられないようだ。
「御屋形様はこの者の言うことを信じるのですか?」
「恐らく、この者たちが言っていることは全て事実であろう。もしあのとき、言い逃れるつもりなら『わしが天下を取る』と言うはずだ。だが、この者の目は恐れを抱きながらも真実を伝えようとしていた」
「…………」
「それにしても、この信長に『天下は取れぬ』と言い切るとは大胆不敵な男よ」
「っ……」
「最後に一つだけ訊かせてほしい」
「はい」
「歴史は変えられぬのか?」
信長の問いは意外なモノであり、こればかりはどうとも言えないと神童は目を逸らして静かに告げる。
「……俺には、わかりません」
「わからぬ、か」
「申し訳ありません……」
是とも言わなかったが否とも言わない神童に、信長はどこか残念そうな顔をして天井を見上げる。
「天下はわしの夢。わしは、その夢を失うことになるのか……」
「でも! 信長様は大きく歴史を動かした! いえ、動かすお方です! 信長様なら、人の運命ですらも変える力があるのかもしれません」
「わしにはあるか? 運命を変える力が」
「はい!」
今度は神童は信長の目を真っ直ぐ見てそう答えた。エルドラドや自分たちは歴史を変えているので、この民からも慕われ身も心も強い信長なら、運命を変えてもおかしくはないだろう。
「天下の夢、しばし見るとしよう! 貴様たちの決して最後まであきらめぬ姿、しかと見せてもらった!」
〈一の力――織田信長の如く人を見抜き、大局を見抜く、静と動を合わせ持つ、真実のゲームメーカー。まさしく、わしが求めた一の力だ!〉
大介もまた、信長の力を手に入れて――究極の夢に一歩近づけて嬉しそうだった。
☆☆☆☆☆
翌日。地蔵堂の前で旅立つことになった天馬たちを、太助たち五人組が見送りに来てくれた。
「お別れだね」
「俺、天馬たちと一緒にサッカーできてよかった!」
「俺もだよ!」
太助は目元に浮かんだ涙を袖で拭うと、真っ直ぐな瞳を天馬に向けて告げる。
「俺、旅に出る!」
「えっ?」
「この国には俺の知らない世界がいっぱいある。俺、尾張の国しか知らないから、いろいろ見て歩きたいって思ったんだ。天馬のおかげでこの世界にはもっともっとドキドキすることがいっぱいなんだってわかったし」
「太助……!」
「いろいろ見て、それで『豆腐屋になりたい』って本気で思えたら――俺、天下一の豆腐屋になれると思うんだ」
「そっか。いろいろ考えてるんだね」
「当ったり前だろ!」
太助は自慢げに両手を腰に当てて宣言した。
「――おーい!」
「ん? えっ、藤吉郎さん!?」
大きな声に気づいた瑞貴が顔を向けると、そこには藤吉郎が大きく手を振ってやって来た。
「アッパレな戦であった」
「ハッ! ハハー!」
「今川義元の慌てようと言ったら」
「胸がスーッとしもうした!」
長秀や利家は、試合で負けた相手の大将・義元がサッカーで負けて悔しがっていた姿を思い出し愉快そうに笑った。――恐らく次は本当の戦で勝負を仕掛けるつもりだろうが。
「「「「「いただきまーす!」」」」」
さらに信長から食事の誘いもされたので、彼の忠臣と共に雷門イレブンは二列に向かいあうように並んで食事をする。
「神童拓人。貴様には我が力を分け与えたのだ。蹴鞠戦――いや、貴様たちの時代ではサッカーと呼ぶのだったな。心して精進せよ」
「はい! 信長様の御恩、忘れません!」
「ウム。時に神童……わしには天下が取れぬと申したな」
「!」
それは以前の詮議で神童が言ったことだ。神童たちの時代では当たり前に伝えられているが、この時代では未知数であり信長が天下統一の最有力候補なので、佐久間信盛は未だに信じられないようだ。
「御屋形様はこの者の言うことを信じるのですか?」
「恐らく、この者たちが言っていることは全て事実であろう。もしあのとき、言い逃れるつもりなら『わしが天下を取る』と言うはずだ。だが、この者の目は恐れを抱きながらも真実を伝えようとしていた」
「…………」
「それにしても、この信長に『天下は取れぬ』と言い切るとは大胆不敵な男よ」
「っ……」
「最後に一つだけ訊かせてほしい」
「はい」
「歴史は変えられぬのか?」
信長の問いは意外なモノであり、こればかりはどうとも言えないと神童は目を逸らして静かに告げる。
「……俺には、わかりません」
「わからぬ、か」
「申し訳ありません……」
是とも言わなかったが否とも言わない神童に、信長はどこか残念そうな顔をして天井を見上げる。
「天下はわしの夢。わしは、その夢を失うことになるのか……」
「でも! 信長様は大きく歴史を動かした! いえ、動かすお方です! 信長様なら、人の運命ですらも変える力があるのかもしれません」
「わしにはあるか? 運命を変える力が」
「はい!」
今度は神童は信長の目を真っ直ぐ見てそう答えた。エルドラドや自分たちは歴史を変えているので、この民からも慕われ身も心も強い信長なら、運命を変えてもおかしくはないだろう。
「天下の夢、しばし見るとしよう! 貴様たちの決して最後まであきらめぬ姿、しかと見せてもらった!」
〈一の力――織田信長の如く人を見抜き、大局を見抜く、静と動を合わせ持つ、真実のゲームメーカー。まさしく、わしが求めた一の力だ!〉
大介もまた、信長の力を手に入れて――究極の夢に一歩近づけて嬉しそうだった。
☆☆☆☆☆
翌日。地蔵堂の前で旅立つことになった天馬たちを、太助たち五人組が見送りに来てくれた。
「お別れだね」
「俺、天馬たちと一緒にサッカーできてよかった!」
「俺もだよ!」
太助は目元に浮かんだ涙を袖で拭うと、真っ直ぐな瞳を天馬に向けて告げる。
「俺、旅に出る!」
「えっ?」
「この国には俺の知らない世界がいっぱいある。俺、尾張の国しか知らないから、いろいろ見て歩きたいって思ったんだ。天馬のおかげでこの世界にはもっともっとドキドキすることがいっぱいなんだってわかったし」
「太助……!」
「いろいろ見て、それで『豆腐屋になりたい』って本気で思えたら――俺、天下一の豆腐屋になれると思うんだ」
「そっか。いろいろ考えてるんだね」
「当ったり前だろ!」
太助は自慢げに両手を腰に当てて宣言した。
「――おーい!」
「ん? えっ、藤吉郎さん!?」
大きな声に気づいた瑞貴が顔を向けると、そこには藤吉郎が大きく手を振ってやって来た。