その証明のために見せたミキシマックスガンを、信長は手に持って不思議そうな顔をする。説明したことでワンダバも元の色に落ち着いたようだ。


「ミキシマックス、だと？」

「あなたの力を分け与えていただきたいのだ。未来のために！」

「これでわしと神童を撃つというのか」

｢｢ヒイッ！｣｣


試しにと思ったのか、信長はミキシマックスガンを利家と長秀に向けると、二人は撃たれると思ったのか身をすくめた。さらに利家は無礼だとワンダバに向かって言う。


「鉄砲で御屋形様を撃つとは、やはりこの者共は曲者でござりまする！」

「これは武器ではない！　信長様の力を神童に送る道具だ！」

「わしの力を、神童に……」


信長はピッチで剣城とハイタッチする神童を見ると、その姿は自分が喝を入れる前の焦りはもうどこにもない。それを見た信長はミキシマックスガンをワンダバに返して告げる。


「面白い。やってみせよ」

「感謝する！」

｢｢御屋形様!?｣｣

「この者らの真実(ﾏｺﾄ)、その目を見ればわかる」

「ありがとうございます！」


利家や長秀はその決断に驚くが、様々な人々を見て来た信長はその通り『人を見抜く』という力を持っている。信じてくれたこと、協力してくれるということに、瑞貴は感謝の意を込めて信長に礼を言った。


「いざ！　出陣じゃ！」


ワンダバはチャンスが来たらいつでもできるように、リュックを背負って両手にミキシマックスガンを持った。


《さあ、残り時間わずか！　織田、今川の因縁の対決、決着つくのか!?》

「奴らを徹底的に叩き潰す！」

｢｢｢｢｢はい！｣｣｣｣｣


ベータからボールを受け取ったエイナムがドリブルをすると、剣城のスライディングをジャンプしてかわした。


「レイザ！」

「ふっ！」

「この試合……必ず勝つ！」


パスを受け取ったレイザの隙を突き、神童がすかさずボールを奪い取った。


「今だ！」


チャンス到来とワンダバはマイナスの銃を信長に、プラスの銃を神童に向けて撃った。


「ミキシマックスコンプリート！」

「はああぁぁあああ！」


神童は髪色が少し紫になって所々が鋭く跳ねており、信長を模したように頭部に一部の髪を結んでいた。さらに瞳も鋭い赤色に変わってどこか荒々しくも静かな佇まいをみせていた。


「よし！　成功だ！」

「あれが時空最強イレブンの一人目である拓人くん……！」

「神さま、ワイルド……！」

「ウム。よき面構えじゃ」


ワンダバはミキシマックスが見事成功して興奮し、瑞貴と茜は神童の姿に顔を輝かせ、信長は確かに自分の力を受け継いでいると感じていた。


「バカな!?　何故今度はできた!?」

「ふざけたことを！」


今まで失敗していたのに今度は成功したことにベータは驚きを隠せないでいると、ドリムがオルガとネイラと共にディフェンスに入った。対して神童は焦ることもなく……。


「…………」

「速い!?」

《神童！　素晴らしい動きで敵陣に切り込んで行くー！》


神童は動きが静かながらも鋭くネイラたちを抜き、さらにメダムとガウラも抜いた。残りはキーパーのザノウだけである。


「刹那ブースト！」


神童は一度ボールを足で乗せて止めると、ボールを蹴っては超高速で追いついて蹴り、追いついては再び蹴るとあっという間に三回繰り返すほどの刹那でシュートが加速された。


「キーパーコマンド――」

「お前の相手は、俺だ！　虚空の女神アテナ！　アームド！」


必殺技を発動しようとしたザノウの前に、いつの間にか戻っていたベータが立ち塞がると化身アームドした


「はああぁぁあああ！　このくらい……――うわあっ！」


蹴り返そうとしたベータだが、神童のパワーアップした力に圧されてしまい、自分とザノウごとゴールを許すことになった。


《ゴォ――ルッ!!　織田逆転ゴールだ――っ!!》

「ぷうっ……！」

「やった……！」


元の人格に戻ったベータは不服そうにすると、神童はミキシマックスを解除して嬉しそうに笑った。