《織田対今川の一戦、まもなくキックオフだー！》

「なんだか緊張するな……」

「うん……」

「大丈夫だって！　五郎太！　仁悟！」

「ああ！　あれだけ特訓したんだ！」

「獅子丸の言う通り！　自信持っていこう！」

「そうだよね……」

「うん……」

「絶対に勝つぞ！」

｢｢｢｢オウッ！｣｣｣｣


ドキドキしている五郎太と仁悟を励ます太助と獅子丸と市正。そして気合い入れるために太助が声を上げると、他の四人も拳を高らかに上げる。その元気な姿に天馬たちも微笑ましくも頼もしく感じて笑っていた。


「ずいぶんと張り切っちゃってますけど、すぐに思い知りますわ。お遊びじゃないってこと」

｢｢…………！｣｣


対してベータは太助たちをバカにするように微笑んだので、天馬と剣城はベータを見据えて顔を引き締めた。

そしてベンチでもまた気持ちを整えるように藤吉郎が深呼吸していたので、それを見た瑞貴はクスッと笑う。


「フゥ……」

「藤吉郎さんも緊張しています？」

「そりゃ当然じゃろ。信長様の名誉を守るために今川軍に勝つためにはわしの指揮もかかっておる。逆に瑞貴は緊張してなさそうじゃの」

「私だって何度もこの場にいるのに緊張してますよ？　でも緊張するっていうことは、それほど真剣だということですから。だから気合いも入ります！」

「ハハッ、なるほどな」


法螺貝が吹かれてキックオフ。最初は雷門イレブン――織田軍からなので、天馬からボールを受け取った剣城がさっそくドリブルして行く。


「通さない！」

「フェイ！」

「剣城！」


剣城はエイナムと接触する前にフェイにパスを出し、さらにフェイがパスを返すというワンツーパスでエイナムを抜いた。


「そこまでだ！　ディフェンスコマンド０６！」

【マグネットドロー】


剣城の頭上を越えるほどジャンプしたメダムの両足にＮ極とＳ極の磁石があり、それに吸い寄せられるようにボールはメダムの元へ行ってしまった。


「何っ!?」

「ドリム！」

「決めるぞ、お前ら！」

｢｢｢｢｢オウッ/はい！｣｣｣｣｣


豹変したベータが荒々しく言うと、プロトコル・オメガ2.0――今川軍もそれに応えるように声を上げた。

メダムボールを受け取ったドリムがドリブルをしながら前線を走り、織田陣内に攻め込んで行く。それを迎え撃つのはＤＦの太助たちだ。


「市正、止めるよ！」

「オウッ！」

「うおおおっ！」

｢｢っ！　――うわあっ！｣｣


気迫に圧された太助と市正が怯むと、その隙を突いてドリムが二人の間を強行突破した。


「太助！　市正！」

「わっ、あ……っと！」

「お？」


天馬が声を上げる中、地に伏せた市正とは別に太助は倒れるのを堪えて踏ん張ると、その様子に藤吉郎は目を引く。


「クオース！」

「な、何？　今の……」

「グッ……」

「仁悟！　五郎太！　俺たちで止めるぞ！」

｢｢うん……｣｣


そのままドリムがクオースにパスをする。対して仁悟と五郎太は何がどうなったかわからず戸惑っていると、獅子丸が声を上げて二人を共に守るように促した。しかし……。


「邪魔だ！」

｢｢ウッ！｣｣

「怯むな！」

「ふんっ！」

｢｢｢うわあっ！｣｣｣


クオースの気迫に五郎太と仁悟だけでなく獅子丸も少なからず怯み、さらにクオースが三人を弾き飛ばした。