剣城の秘密
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「ずっとやりたかったサッカーができて、嬉しかったんです。これからも続けていけばみんなのためになる……自分がどうなろうと。キャプテンとして、他の部員たちのことを考えているつもりでした。でも、結局は自分しか見えてなかった……。俺、どうすれば――」
トンッ。
軽い音が聞こえてうつむいていた神童が顔を上げると、円堂が木でできた部室の看板に手を当てていた。
「俺たちが雷門に戻ってきた理由……それは――フィフスセクターを倒すためだ」
「!」
衝撃的な言葉に神童は驚いたが円堂の瞳は揺らぐことなく真っ直ぐだ。次いで瑞貴を見ると、彼女も力強く頷いた。
「本気なんですね……!」
「成績のためのサッカーはサッカーじゃない。勝敗まで管理しているフィフスセクターは、間違ってる」
「はい……」
「だけど相手は強大……だから私たちは雷門に戻ってきた。一緒に戦う、仲間を探しに」
「仲間……――っ、まさか!」
神童の頭によぎった予想を正解だというように二人は頷いた。彼らの言う仲間とは――雷門中サッカー部のことだ。
「一人ではできないことも、みんなの力を合わせれば変えられる。俺たちは、お前たちと一緒に中学サッカー界を変えたい」
「あの頃のサッカーを取り戻すため、君たちが『本気のサッカー』をしたいと思うなら、私たちは何があっても味方でいる」
「監督……。瑞貴さん……」
「俺たちの心は決まっている。あとはお前たちがどうしたいかだけだ」
「本当のサッカーを選んで戦うか、それともこのまま保身のためにフィフスセクターに屈するか」
「…………」
迷いもないない二人が神童にはうらやましくて眩しかった。久遠道也の二の舞になる可能性だってあるのに、円堂も瑞貴もモノともしない強い心があった。
「わからないんです……。俺にとっても…みんなにとっても…一番いい方法が何か……」
「すぐにわかるさ」
「私たちは待っているから」
円堂は神童の肩にポンッと手を置き、瑞貴は頭を撫でて、二人はその場を去って行った。
「拓人くんだけじゃない。天馬にも信助にも太一くんにも、みんなにも伝えなきゃね」
「ああ。俺たちの考えをみんなに言おう。もちろん、南沢にも」
フィフスセクターが自分たちのクビを却下したなら、まだやれることはいくらでもある。それに自分たちが本気だということを雷門中サッカー部に伝えなくてはならない。
「それにしても、剣城くんを投入なんて思い切ったことをしたね」
「あいつの才能、管理サッカーに使うなんて惜しいって言っただろ? むしろ瑞貴だって考えてたんじゃないのか?」
「うん、まあね。それに……この試合で剣城くんにとって、キッカケになってくれればいいなと思って」
瑞貴は剣城が十年前に兄弟共に約束した少年だと思っている。いや、剣城に問いかけた反応で本人だと確信していた。
☆☆☆☆☆
翌日の放課後。雷門中のグラウンドでいつものように練習していたサッカー部は、最後に円堂から衝撃的なことを聞かされる。
「俺たちはフィフスセクターを倒すつもりだ。だが、強制はしない。それぞれがどんな結論を出そうが構わない。明日、フィールドで待っている」
「それじゃあ、今日は解散。各自明日に備えてゆっくり休んでね」
「俺の、望み……」
瑞貴が終了の合図を出したとき、天馬は何かを思うように握った拳を見つめていた。
――サッカー棟にある監督の部屋で、円堂と瑞貴と春奈は明日行われる二回戦の最終チェックをしている。だが、春奈はサッカー部のことが気がかりで浮かない顔だ。
「みんな、大丈夫でしょうか……?」
「俺はあいつらを信じてる。みんな、サッカーがやりたいからフィフスセクターに従っているだけだ」
「倉間くんも、浜野くんが言った通り『自分のサッカーを守りたい』から天馬にあんな態度を取っていると思う。だけど、今回のことは天馬には相当堪えたかもね……」
自分の信じる道をあそこまで否定されたら、真っ直ぐな心を持つ天馬にはキツいだろう。
トンッ。
軽い音が聞こえてうつむいていた神童が顔を上げると、円堂が木でできた部室の看板に手を当てていた。
「俺たちが雷門に戻ってきた理由……それは――フィフスセクターを倒すためだ」
「!」
衝撃的な言葉に神童は驚いたが円堂の瞳は揺らぐことなく真っ直ぐだ。次いで瑞貴を見ると、彼女も力強く頷いた。
「本気なんですね……!」
「成績のためのサッカーはサッカーじゃない。勝敗まで管理しているフィフスセクターは、間違ってる」
「はい……」
「だけど相手は強大……だから私たちは雷門に戻ってきた。一緒に戦う、仲間を探しに」
「仲間……――っ、まさか!」
神童の頭によぎった予想を正解だというように二人は頷いた。彼らの言う仲間とは――雷門中サッカー部のことだ。
「一人ではできないことも、みんなの力を合わせれば変えられる。俺たちは、お前たちと一緒に中学サッカー界を変えたい」
「あの頃のサッカーを取り戻すため、君たちが『本気のサッカー』をしたいと思うなら、私たちは何があっても味方でいる」
「監督……。瑞貴さん……」
「俺たちの心は決まっている。あとはお前たちがどうしたいかだけだ」
「本当のサッカーを選んで戦うか、それともこのまま保身のためにフィフスセクターに屈するか」
「…………」
迷いもないない二人が神童にはうらやましくて眩しかった。久遠道也の二の舞になる可能性だってあるのに、円堂も瑞貴もモノともしない強い心があった。
「わからないんです……。俺にとっても…みんなにとっても…一番いい方法が何か……」
「すぐにわかるさ」
「私たちは待っているから」
円堂は神童の肩にポンッと手を置き、瑞貴は頭を撫でて、二人はその場を去って行った。
「拓人くんだけじゃない。天馬にも信助にも太一くんにも、みんなにも伝えなきゃね」
「ああ。俺たちの考えをみんなに言おう。もちろん、南沢にも」
フィフスセクターが自分たちのクビを却下したなら、まだやれることはいくらでもある。それに自分たちが本気だということを雷門中サッカー部に伝えなくてはならない。
「それにしても、剣城くんを投入なんて思い切ったことをしたね」
「あいつの才能、管理サッカーに使うなんて惜しいって言っただろ? むしろ瑞貴だって考えてたんじゃないのか?」
「うん、まあね。それに……この試合で剣城くんにとって、キッカケになってくれればいいなと思って」
瑞貴は剣城が十年前に兄弟共に約束した少年だと思っている。いや、剣城に問いかけた反応で本人だと確信していた。
☆☆☆☆☆
翌日の放課後。雷門中のグラウンドでいつものように練習していたサッカー部は、最後に円堂から衝撃的なことを聞かされる。
「俺たちはフィフスセクターを倒すつもりだ。だが、強制はしない。それぞれがどんな結論を出そうが構わない。明日、フィールドで待っている」
「それじゃあ、今日は解散。各自明日に備えてゆっくり休んでね」
「俺の、望み……」
瑞貴が終了の合図を出したとき、天馬は何かを思うように握った拳を見つめていた。
――サッカー棟にある監督の部屋で、円堂と瑞貴と春奈は明日行われる二回戦の最終チェックをしている。だが、春奈はサッカー部のことが気がかりで浮かない顔だ。
「みんな、大丈夫でしょうか……?」
「俺はあいつらを信じてる。みんな、サッカーがやりたいからフィフスセクターに従っているだけだ」
「倉間くんも、浜野くんが言った通り『自分のサッカーを守りたい』から天馬にあんな態度を取っていると思う。だけど、今回のことは天馬には相当堪えたかもね……」
自分の信じる道をあそこまで否定されたら、真っ直ぐな心を持つ天馬にはキツいだろう。