潜入! 踊り子大作戦!!
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神童は脳裏に十年前のことを思い出した。幼馴染の霧野蘭丸と帰宅中、ひったくりの騒ぎにびっくりして足を止めた。しかし、もっとびっくりしたことがある。
『ごめん! 借りるね!』
自分が持っていたボールを急に取られたのは驚いたが、相手がバイクで逃走しているにもかかわらず正確にシュートをぶつけたのだ。あれは子供ながら衝撃だったし感動した。
『お姉ちゃんの名前は井上瑞貴。雷門中サッカー部の副キャプテンだよ』
(あれが俺の初恋……そして、俺のサッカーの原点……)
最初は好きになった人がサッカー部と知ってボールを蹴った。だが、いつしかそれが夢中になって瑞貴のことを関係なく『サッカーが好き』という気持ちが生まれていたのだ。
(そうか! もしかしたら……!)
ハッと何かに気づいた神童は、休憩前とは違いどこか晴れやかな気持ちでいた。
「ありがとう、お勝さん!」
「ねっ! 元気が出てきたでしょ?」
「ああ!」
それから神童はお弁当を全て平らげた。お勝は店の手伝いがあるから戻ると言うので、神童はそれを見送る。
「私、お店に戻ります。がんばってくださいね、拓人様!」
お勝は笑顔でそう言ったあと軽く会釈をして神童に背を向けて去って行った。残った神童はお勝が見えなくなるまでその場にいると、練習に戻って今度はドリブルを始める。
(いつか、天馬が言っていた……。『化身は、サッカーが好きだという気持ちが形になったモノじゃないか』……って。化身と気持ちを一つにすることで、化身アームドできるとするなら、サッカーが好きだという気持ちを忘れちゃいけないはずなんだ!)
ホーリーロード決勝戦で天馬が言っていたことを思い出し、ドリブルをやめて立ち止まった神童は気を高めて化身を出す。
「奏者マエストロ! アームド!」
またも化身アームドができなかったが、神童は今までのように悔しがるのではなく、何かをつかんだかのように胸に手を当てた。
「間違いない……! この感じか……!」
もう一度ドリブルを始めた神童の姿を、先ほどまで木の陰で座っていた剣城はいつの間にか神童の練習を見ていた。
「サボり魔発見」
「っ!」
うしろから聞こえた声に剣城は驚いて振り向くと、そこには瑞貴がいた。
「瑞貴さん……練習は?」
「今日はもう終わりで、あとは覚えていない人の居残り練習。それにしても、京介くんは拓人くんが気になってコッソリ見ていたんでしょう?」
「俺は別に……」
「フフッ」
剣城が否定しながらも頬が少し赤いことを指摘せず、瑞貴は微笑むと練習をする神童に顔を向ける。
「拓人くん、いい顔している。特訓に行かせる前より不安な表情がなくなってきている証拠……。自分の原点を見直すことで、次のステップへと導く……初心って不思議だね」
「ええ。――瑞貴さんは神童さんが気になってここへ?」
「本当なら練習に付き合おうと思ったんだけど、先客がいるから」
「先客? お勝さんならもう帰りましたが?」
「お勝ちゃんだけじゃないよ。ほら」
「?」
瑞貴の言葉に剣城は不思議そうに言うと、瑞貴にならって再び神童の練習を見る。
(化身アームドを完成させることは、ミキシマックスの成功に近づくのかどうかもわからない……けれど、今は信じてやるのみだ!)
「――何かをつかんだみたいだね」
「フェイ……!」
「付き合うよ」
「ありがとう!」
フェイの登場に神童は驚いたが、練習に付き合ってくれるのはありがたかった。神童が足で止めていたボールを奪おうとフェイが迫り、神童はボールをキープし続けながらフェイに問う。
「フェイ」
「なんだい?」
「君がサッカーを守ろうとする理由は、やはりサッカーが好きだからだろう?」
「いや……――そうじゃない!」
「えっ?」
まさか否定されると思わなかった神童の隙を縫ってフェイはボールを奪い、彼のうしろの位置でボールを足で止めて向き合う。
『ごめん! 借りるね!』
自分が持っていたボールを急に取られたのは驚いたが、相手がバイクで逃走しているにもかかわらず正確にシュートをぶつけたのだ。あれは子供ながら衝撃だったし感動した。
『お姉ちゃんの名前は井上瑞貴。雷門中サッカー部の副キャプテンだよ』
(あれが俺の初恋……そして、俺のサッカーの原点……)
最初は好きになった人がサッカー部と知ってボールを蹴った。だが、いつしかそれが夢中になって瑞貴のことを関係なく『サッカーが好き』という気持ちが生まれていたのだ。
(そうか! もしかしたら……!)
ハッと何かに気づいた神童は、休憩前とは違いどこか晴れやかな気持ちでいた。
「ありがとう、お勝さん!」
「ねっ! 元気が出てきたでしょ?」
「ああ!」
それから神童はお弁当を全て平らげた。お勝は店の手伝いがあるから戻ると言うので、神童はそれを見送る。
「私、お店に戻ります。がんばってくださいね、拓人様!」
お勝は笑顔でそう言ったあと軽く会釈をして神童に背を向けて去って行った。残った神童はお勝が見えなくなるまでその場にいると、練習に戻って今度はドリブルを始める。
(いつか、天馬が言っていた……。『化身は、サッカーが好きだという気持ちが形になったモノじゃないか』……って。化身と気持ちを一つにすることで、化身アームドできるとするなら、サッカーが好きだという気持ちを忘れちゃいけないはずなんだ!)
ホーリーロード決勝戦で天馬が言っていたことを思い出し、ドリブルをやめて立ち止まった神童は気を高めて化身を出す。
「奏者マエストロ! アームド!」
またも化身アームドができなかったが、神童は今までのように悔しがるのではなく、何かをつかんだかのように胸に手を当てた。
「間違いない……! この感じか……!」
もう一度ドリブルを始めた神童の姿を、先ほどまで木の陰で座っていた剣城はいつの間にか神童の練習を見ていた。
「サボり魔発見」
「っ!」
うしろから聞こえた声に剣城は驚いて振り向くと、そこには瑞貴がいた。
「瑞貴さん……練習は?」
「今日はもう終わりで、あとは覚えていない人の居残り練習。それにしても、京介くんは拓人くんが気になってコッソリ見ていたんでしょう?」
「俺は別に……」
「フフッ」
剣城が否定しながらも頬が少し赤いことを指摘せず、瑞貴は微笑むと練習をする神童に顔を向ける。
「拓人くん、いい顔している。特訓に行かせる前より不安な表情がなくなってきている証拠……。自分の原点を見直すことで、次のステップへと導く……初心って不思議だね」
「ええ。――瑞貴さんは神童さんが気になってここへ?」
「本当なら練習に付き合おうと思ったんだけど、先客がいるから」
「先客? お勝さんならもう帰りましたが?」
「お勝ちゃんだけじゃないよ。ほら」
「?」
瑞貴の言葉に剣城は不思議そうに言うと、瑞貴にならって再び神童の練習を見る。
(化身アームドを完成させることは、ミキシマックスの成功に近づくのかどうかもわからない……けれど、今は信じてやるのみだ!)
「――何かをつかんだみたいだね」
「フェイ……!」
「付き合うよ」
「ありがとう!」
フェイの登場に神童は驚いたが、練習に付き合ってくれるのはありがたかった。神童が足で止めていたボールを奪おうとフェイが迫り、神童はボールをキープし続けながらフェイに問う。
「フェイ」
「なんだい?」
「君がサッカーを守ろうとする理由は、やはりサッカーが好きだからだろう?」
「いや……――そうじゃない!」
「えっ?」
まさか否定されると思わなかった神童の隙を縫ってフェイはボールを奪い、彼のうしろの位置でボールを足で止めて向き合う。