「へへっ！　ひと泡吹かせてやったな！」

「ああ。俺たちにもできるんだ！」

「連れて行かれた仲間を、取り戻すんだ。絶対勝とうな！」

｢｢｢｢オウッ！｣｣｣｣

「友達を守りたい……そんなみんなの強い気持ちが、ボールを止めたんだ！」


獅子丸と市正と太助たちの喜び合う姿を見て、サッカー初心者の彼らがボールを止めた力の源を知る信助。その思いに感化されたように右手で拳を作ると、それを左の手の平にぶつける。


「僕も負けちゃいられない！」


――白鹿組のボールで試合再開。すると白鹿組が怒涛の攻撃で一気に雷門ゴール前まで攻め上がってきた。


「二度と歯向かえぬよう、叩き潰してくれる！」

「速い！」

「野郎共、決めろ！」

｢｢おうよ！｣｣


一気にディフェンスの太助たちを抜いて稲葉は工党にボールを回し、工党は前林と共に構える。


「火縄……」

「バレット！」

（守る！）


今まで２点も奪った必殺技が雷門ゴールに襲いかかる。しかし今までと違うのは信助の覚悟が強くなっており、化身を出してきた。


「僕だって、守りたいモノがあるんだ！　護星神タイタニアス！　僕たちのサッカーを守るために――アームド！」


なんとジャンプした信助は、護星神タイタニアスと見事化身アームドしたのだ。鎧を着て四枚の羽根飾りを背にした姿は、ゴールを守る守護神そのものだ。信助はそのまま真正面で火縄バレットを見事に止めた。


《止めた――っ!!　化身アームドした西園、ガッチリキャッチだ――っ!!》

「できた……僕にも化身アームドできたー！」

「信助が……！」

「化身アームドした……！」

「スゲェぜよ……！」

「やったな、信助！」

「はい！」


感嘆の声を上げる天馬と剣城と錦と神童の言葉に、信助は元気よく返事をして化身アームドを解いた。


「信助くん、スゴい……！」

「やるじゃねぇか！」

「信助の努力が実を結んだんですね！」

「うん！　強い思いは化身だって応えてくれる！」


マネージャー組も瑞貴も、信助の『大切なモノを守りたい』という気持ちがあったからこそ、化身アームドができたのだと喜んだ。


「よし！　反撃だ！」


この機を逃すまいと神童が声を上げて、信助からボールを受け取ってドリブルしながら神のタクトを発動させる。


「錦！　サイドを押さえろ！」

「オウッ！」

「天馬！　剣城！　攻め上がれ！」

｢｢はい！｣｣

「獅子丸！」


最初に神童は錦にボールを回す。そして獅子丸、太助、市正――自分の位置を把握しながらも次々と選手に指示を出していた。


《神童、選手の動きを見事にコントロール！　これが神のタクトだ――っ!!》

「拓人様……！」


演奏家たちを指揮者が導くように、選手たちを導く神童の姿にお勝は見惚れていた。


「いくぜよ！　うおおおっ！　戦国武神ムサシ！　武神連斬！」


神童の采配でゴール前まで行っていた錦にボールが渡り、錦は化身シュートで追加点をもぎ取った。


《決まった――っ!!　雷門、同点に追いついた――っ!!》

｢｢｢｢｢やったー/よーし！｣｣｣｣｣

「やるじゃねぇか、錦！」


同点になって大喜びするマネージャー組と瑞貴とワンダバ。対して稲葉や前林たち白鹿組は短期間で進化した雷門イレブンに目を見開いている。


「俺たちの攻撃が通用しないだと……!?」

「ど、どうすればいいんじゃ……!?　姐御！」

「このくらいで戦意喪失ですか……情けないですこと。ハァ……これまでかな。役立たずは勝手に負けちゃいなさい」

｢｢｢｢｢ええっ!?｣｣｣｣｣


ベータは白鹿組を見捨ててどこかに去って行ってしまった。


「よーし！　いくぞ！」

｢｢｢｢｢オウッ！｣｣｣｣｣


試合はまだ続いており、天馬を始め雷門イレブンはさらに士気を上げる。


「伝来宝刀！」

「デスドロップＧ３！」


錦の伝来宝刀、剣城のレベルアップしたデスドロップ、次々とゴールに入って２点も追加点を取る。これで２対４だ。