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十年前のイナズマジャパンの世界制覇……それによってサッカーの人気が高まり、サッカーでの強さが社会的地位まで決めるようになった。
実力のない学校は経営が立ち行かなくなり、人々に喜びをもたらすはずのサッカーは社会に大きな影を落とす存在となってしまった。そんな事態に対応するため、サッカー管理組織・フィフスセクターが誕生した。
『サッカーは皆平等に愛されるべきであり、その価値ある勝利も平等に分け与えられるべきである』
この少年サッカー法第五条を守ることが、フィフスセクターの存在意義である。
「久遠監督に雷門の選手のデータも送ってもらったのか」
「実力は申し分ない子たちばかりだよ。でも……」
「管理サッカーのせいで全力を出せてない……というわけだな」
「それと入学式でフィフスセクターから『シード』も送り込まれたから、さらに意気消沈しているの」
円堂の呟きに、その通りだと瑞貴は頷いた。勝敗指示のあるかないかで差がヒドく、眠れる力すら引き出せていないのだ。
そして『シード』はフィフスセクターに養成されたエリート集団。各学校に送り込まれて指示に従っているか監視する存在である。
「雷門の『化身使い』は……キャプテンの神童か。だが、これはフィフスセクターとの戦いで目覚めたばかり。コントロールはまだできていない」
「シードの剣城京介くんも化身使いだよ。それと……新入生の松風天馬くん。彼は化身の兆しが現れたみたい」
人の『気』が極限まで強まったとき、形となって現れる『化身』を出現させる者のことを『化身使い』というのだ。
「今度、栄都学園と試合があるの。実際の目で今の雷門を見てくれって言われたよ。ただし――勝敗指示があるって」
「逆に都合がいいかもしれないな。管理サッカーの世の中でどう戦っているか」
「そうだね。今の雷門がサッカーに対する姿勢が見れるね」
本当に今のサッカーで満足しているのか、それとももどかしさを感じているのか……二人は試合の日程を確認していた。
☆☆☆☆☆
ついに雷門中対栄都学園の試合日となった。二人はサッカー界では有名人のため観客席の一番うしろで立ち見をしていたが、フィールドはよく見える。
ベンチには懐かしの人物・久遠道也と音無春奈がいる。そしてフィールドにいるのは栄都学園サッカー部と雷門中サッカー部。試合日が始まると、円堂も瑞貴も眉をしかめた。
「これが今の雷門か……」
「そして、これが今のサッカー……」
試合は栄都学園がリードしている――ように見えるだけだ。これまでの状況をみる限り雷門は敗北の指示を受けているのがわかる。
栄都学園は余裕のプレーだが雷門中は満足に動けていない。わざとミスをしたりゴールを決められたりしている。……ただ二人を除いて。そして前半が終了し、ハーフタイムに入る。
「5番と8番の子、他の子と違ってサッカーの実力はまだまだだけど……勝つ気でいるね」
「ああ、雰囲気からして一年生。どうやら管理サッカーのことは知らされていないようだな」
5番・西園信助、8番・松風天馬。二人は今年入学した一年生であり、人数不足のためにファーストチームに選ばれたのだ。
――後半に入り、円堂と瑞貴が気にしていた二人の動きが変わった。どうやらハーフタイム中に管理サッカーのことを知ったらしい。だが、それでも天馬はあきらめずキャプテンの9番・神童拓人にパスを送り続けていく。
そしてパスを送り続けた甲斐があったのか――神童はついに栄都ゴールにシュートを撃った。ノーマルシュートでもその威力は強く、相手が必殺技を使っても止められなかった。そして同時に試合終了、結果は3対1で栄都学園の勝利だ。
「少しでも収穫があったな、瑞貴」
「うん。雷門はまだ可能性がある」
☆☆☆☆☆
その日の夜――久遠が監督を解任された連絡を受けた。そして予定通り後任を円堂に、コーチとして瑞貴に就任するように頼まれたのだ。
「でも、私たち大人がどうこうしても、結果的に子供たちが動かないと示しにならないよ」
「信じよう。あいつらにはまだ――サッカーへの熱い情熱が眠っている。俺たちは少しでもキッカケになるんだ」
雷門中サッカー部に入部した新たな風――松風天馬に引き続き、さらに大きな風が吹かれようとしていた。
実力のない学校は経営が立ち行かなくなり、人々に喜びをもたらすはずのサッカーは社会に大きな影を落とす存在となってしまった。そんな事態に対応するため、サッカー管理組織・フィフスセクターが誕生した。
『サッカーは皆平等に愛されるべきであり、その価値ある勝利も平等に分け与えられるべきである』
この少年サッカー法第五条を守ることが、フィフスセクターの存在意義である。
「久遠監督に雷門の選手のデータも送ってもらったのか」
「実力は申し分ない子たちばかりだよ。でも……」
「管理サッカーのせいで全力を出せてない……というわけだな」
「それと入学式でフィフスセクターから『シード』も送り込まれたから、さらに意気消沈しているの」
円堂の呟きに、その通りだと瑞貴は頷いた。勝敗指示のあるかないかで差がヒドく、眠れる力すら引き出せていないのだ。
そして『シード』はフィフスセクターに養成されたエリート集団。各学校に送り込まれて指示に従っているか監視する存在である。
「雷門の『化身使い』は……キャプテンの神童か。だが、これはフィフスセクターとの戦いで目覚めたばかり。コントロールはまだできていない」
「シードの剣城京介くんも化身使いだよ。それと……新入生の松風天馬くん。彼は化身の兆しが現れたみたい」
人の『気』が極限まで強まったとき、形となって現れる『化身』を出現させる者のことを『化身使い』というのだ。
「今度、栄都学園と試合があるの。実際の目で今の雷門を見てくれって言われたよ。ただし――勝敗指示があるって」
「逆に都合がいいかもしれないな。管理サッカーの世の中でどう戦っているか」
「そうだね。今の雷門がサッカーに対する姿勢が見れるね」
本当に今のサッカーで満足しているのか、それとももどかしさを感じているのか……二人は試合の日程を確認していた。
☆☆☆☆☆
ついに雷門中対栄都学園の試合日となった。二人はサッカー界では有名人のため観客席の一番うしろで立ち見をしていたが、フィールドはよく見える。
ベンチには懐かしの人物・久遠道也と音無春奈がいる。そしてフィールドにいるのは栄都学園サッカー部と雷門中サッカー部。試合日が始まると、円堂も瑞貴も眉をしかめた。
「これが今の雷門か……」
「そして、これが今のサッカー……」
試合は栄都学園がリードしている――ように見えるだけだ。これまでの状況をみる限り雷門は敗北の指示を受けているのがわかる。
栄都学園は余裕のプレーだが雷門中は満足に動けていない。わざとミスをしたりゴールを決められたりしている。……ただ二人を除いて。そして前半が終了し、ハーフタイムに入る。
「5番と8番の子、他の子と違ってサッカーの実力はまだまだだけど……勝つ気でいるね」
「ああ、雰囲気からして一年生。どうやら管理サッカーのことは知らされていないようだな」
5番・西園信助、8番・松風天馬。二人は今年入学した一年生であり、人数不足のためにファーストチームに選ばれたのだ。
――後半に入り、円堂と瑞貴が気にしていた二人の動きが変わった。どうやらハーフタイム中に管理サッカーのことを知ったらしい。だが、それでも天馬はあきらめずキャプテンの9番・神童拓人にパスを送り続けていく。
そしてパスを送り続けた甲斐があったのか――神童はついに栄都ゴールにシュートを撃った。ノーマルシュートでもその威力は強く、相手が必殺技を使っても止められなかった。そして同時に試合終了、結果は3対1で栄都学園の勝利だ。
「少しでも収穫があったな、瑞貴」
「うん。雷門はまだ可能性がある」
☆☆☆☆☆
その日の夜――久遠が監督を解任された連絡を受けた。そして予定通り後任を円堂に、コーチとして瑞貴に就任するように頼まれたのだ。
「でも、私たち大人がどうこうしても、結果的に子供たちが動かないと示しにならないよ」
「信じよう。あいつらにはまだ――サッカーへの熱い情熱が眠っている。俺たちは少しでもキッカケになるんだ」
雷門中サッカー部に入部した新たな風――松風天馬に引き続き、さらに大きな風が吹かれようとしていた。