来たぞ! 信長の町!!
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「これがボールなんだ……!」
「この遊びは俺たちが考えた遊びさ。余所の国には蹴鞠って似た遊びがあるらしいけどな。その玉も俺たちが作ったんだぜ」
「そうなんだ!」
「おい太助、早く続きやろうぜー!」
「オウッ。やりたいんなら混ぜてやるけど、どうだ?」
「ホント! いいの!?」
仲間の五郎太に呼ばれた少年――太助は返事をしたあと、天馬を自分たちの遊びに誘った。それに信助も天馬も嬉しそうに声を上げて自分の名を名乗る。
「俺は松風天馬」
「西園信助!」
「俺は太助だ。じゃあ来いよ!
太助に促されて天馬と信助は走り出す。葵も「あっ! ちょっと!」と言うも強く止めることはなく、信長探しの休憩として遊ぶことになった。
☆☆☆☆☆
着物の丈にやっと気づいたお勝は大きめのを神童に着せると、神童の着物が乾くまで家から少し離れた丘の頂上に案内した。そこで神童はお勝の家が豆腐屋だと聞かされる。
「へぇ、お豆腐屋さんなんだね」
「はい! 私だってお豆腐作れちゃうんですよ」
「へぇ、そうなんだ」
「あっ……」
意気込んでいたのが恥ずかしかったのか、神童に見つめられて照れているのか、お勝は少し頬を赤らめて神童から顔を逸らした。
「うちのお豆腐はおいしいんです! 真っ白で、ほんのり甘くて……この町一番だと思います!」
「自慢のお豆腐なんだね」
「はい! ――拓人様は、尾張の国の方じゃないんですよね?」
「えっ!」
「だって、髪とか変わっていますし……。町もあまりご存知ないみたいなので……」
「ああ、うん。俺は、こことは全く違う所から来たんだ」
さすがに『未来から来た』と言えるはずもなく、神童は丘からの景色を見ながらお勝にそう言った。
「へぇ、どんな所なんでしょう?」
「そうだな……これほど美しい風景はあまりないかも。でもそこには、大切なモノがあったんだ。俺にとって……」
「大切なモノ……」
真っ直ぐと遠くを見つめる神童の瞳は、お勝から見ても大事なことだと伝わっていた。それに一つ心当たりがあったお勝は意を決して神童に声を上げて尋ねる。
「それって、好きな人ってことですか!?」
「えっ!?」
「あっ、先ほどご一緒だった方とか!?」
「い、いや、そうじゃないんだ。それにあの人は好きな人っていうより憧れの存在で、他に大事な人がいる……。俺じゃ絶対に敵わない人が……」
神童は自嘲気味に笑った。今は同い年の姿になっているせいで憧れと初恋が入り交じりつつあるが、それでも瑞貴の大事な人はもう心に決めており、相手とも相思相愛の夫婦である。そこに神童は入る余地がないとあきらめているのだ。
「拓人様……」
「さっき言ってた俺の大事なモノ、それは――」
「――おーい! 勝ー! 拓人様の服、乾いたみてぇだよー!」
庭から神童の着物を広げて大きな声をかけるお勝の母親の声で、神童の台詞は遮られた。
☆☆☆☆☆
神童と別れたあと、河原の近くで瑞貴はある男性に聞き込みをしていた。
「信長様に会える方法? さあな……あの人が城下町に来るのもお忍びが多いから、わしも気づかんときもある」
「そうですか……。ありがとうございます」
「どうしてお嬢ちゃんは信長様に会いたいんじゃ?」
「えっ! それは、その――」
「――人さらいだ!」
「「人さらい!?」」
河原から聞こえた声に瑞貴と男性はすぐに顔を向ける。見れば数人の子供たちが河原に降り立っていた。
「大変!」
「わしに任せろ!」
瑞貴が駆け出す前に男性が先に駆け出し、大きな声を上げてある言葉を叫ぶ。
「お役人さん! こっちです!」
「何っ!? ズラかるぜ!」
男性の嘘のおかげで人さらいという二人組は慌てて逃げて行った。もう大丈夫だと男性は瑞貴に片目を閉じてウィンクすると、瑞貴もホッとして男性と一緒に河原のそばに行った。
「お前たち、ムチャだぞ」
「大丈夫……って、天馬!?」
「「「瑞貴さん!?」」」
$まさか意外な場所で天馬と信助と葵と合流するとは思わず、お互い驚きつつ瑞貴は男性と共に土手の下へ降りた。
「この遊びは俺たちが考えた遊びさ。余所の国には蹴鞠って似た遊びがあるらしいけどな。その玉も俺たちが作ったんだぜ」
「そうなんだ!」
「おい太助、早く続きやろうぜー!」
「オウッ。やりたいんなら混ぜてやるけど、どうだ?」
「ホント! いいの!?」
仲間の五郎太に呼ばれた少年――太助は返事をしたあと、天馬を自分たちの遊びに誘った。それに信助も天馬も嬉しそうに声を上げて自分の名を名乗る。
「俺は松風天馬」
「西園信助!」
「俺は太助だ。じゃあ来いよ!
太助に促されて天馬と信助は走り出す。葵も「あっ! ちょっと!」と言うも強く止めることはなく、信長探しの休憩として遊ぶことになった。
☆☆☆☆☆
着物の丈にやっと気づいたお勝は大きめのを神童に着せると、神童の着物が乾くまで家から少し離れた丘の頂上に案内した。そこで神童はお勝の家が豆腐屋だと聞かされる。
「へぇ、お豆腐屋さんなんだね」
「はい! 私だってお豆腐作れちゃうんですよ」
「へぇ、そうなんだ」
「あっ……」
意気込んでいたのが恥ずかしかったのか、神童に見つめられて照れているのか、お勝は少し頬を赤らめて神童から顔を逸らした。
「うちのお豆腐はおいしいんです! 真っ白で、ほんのり甘くて……この町一番だと思います!」
「自慢のお豆腐なんだね」
「はい! ――拓人様は、尾張の国の方じゃないんですよね?」
「えっ!」
「だって、髪とか変わっていますし……。町もあまりご存知ないみたいなので……」
「ああ、うん。俺は、こことは全く違う所から来たんだ」
さすがに『未来から来た』と言えるはずもなく、神童は丘からの景色を見ながらお勝にそう言った。
「へぇ、どんな所なんでしょう?」
「そうだな……これほど美しい風景はあまりないかも。でもそこには、大切なモノがあったんだ。俺にとって……」
「大切なモノ……」
真っ直ぐと遠くを見つめる神童の瞳は、お勝から見ても大事なことだと伝わっていた。それに一つ心当たりがあったお勝は意を決して神童に声を上げて尋ねる。
「それって、好きな人ってことですか!?」
「えっ!?」
「あっ、先ほどご一緒だった方とか!?」
「い、いや、そうじゃないんだ。それにあの人は好きな人っていうより憧れの存在で、他に大事な人がいる……。俺じゃ絶対に敵わない人が……」
神童は自嘲気味に笑った。今は同い年の姿になっているせいで憧れと初恋が入り交じりつつあるが、それでも瑞貴の大事な人はもう心に決めており、相手とも相思相愛の夫婦である。そこに神童は入る余地がないとあきらめているのだ。
「拓人様……」
「さっき言ってた俺の大事なモノ、それは――」
「――おーい! 勝ー! 拓人様の服、乾いたみてぇだよー!」
庭から神童の着物を広げて大きな声をかけるお勝の母親の声で、神童の台詞は遮られた。
☆☆☆☆☆
神童と別れたあと、河原の近くで瑞貴はある男性に聞き込みをしていた。
「信長様に会える方法? さあな……あの人が城下町に来るのもお忍びが多いから、わしも気づかんときもある」
「そうですか……。ありがとうございます」
「どうしてお嬢ちゃんは信長様に会いたいんじゃ?」
「えっ! それは、その――」
「――人さらいだ!」
「「人さらい!?」」
河原から聞こえた声に瑞貴と男性はすぐに顔を向ける。見れば数人の子供たちが河原に降り立っていた。
「大変!」
「わしに任せろ!」
瑞貴が駆け出す前に男性が先に駆け出し、大きな声を上げてある言葉を叫ぶ。
「お役人さん! こっちです!」
「何っ!? ズラかるぜ!」
男性の嘘のおかげで人さらいという二人組は慌てて逃げて行った。もう大丈夫だと男性は瑞貴に片目を閉じてウィンクすると、瑞貴もホッとして男性と一緒に河原のそばに行った。
「お前たち、ムチャだぞ」
「大丈夫……って、天馬!?」
「「「瑞貴さん!?」」」
$まさか意外な場所で天馬と信助と葵と合流するとは思わず、お互い驚きつつ瑞貴は男性と共に土手の下へ降りた。