「ありがとう、ドリム。フフッ。――ふっ！」


一度目を閉じたベータはさっきまと雰囲気が変わり、つり目になって非常な性格へと変わった。そして青黒いオーラを解き放つ。


「来い！　虚空の女神アテナ！」


知恵と戦いを司る女神の名をした化身は、人面の冠を頭にした冷酷な表情をしており色の違う二丁の拳銃を持つ。


「アームド！」

｢｢｢｢｢!?｣｣｣｣｣


さらに化身アームドしたベータは、虚空の女神アテナの美しい翼を両肩に装備した。大半の雷門メンバーが化身アームドを始めて目の当たりにしたので驚かずにいられない。


「はああぁぁあああ！」

「三国先輩！」

「オウッ！　無頼ハンド！」


そのままシュートを撃ったベータに天馬が声を上げると、三国太一は両手に巨大なオーラを纏って受け止めようとした。しかし化身アームドが加わった力に敵わず、ゴールを許してしまう。


《ゴォ――ルッ!!　日本代表、またしてもゴールを決めた――っ!!》

「フゥ～。ウフフッ」


ひと息ついて元の通りイタズラっ子のように微笑むベータ。しかし対象に水鳥や茜は目を見開いた。


「な、なんだ今の……!?」

「化身を着てた……？」

「あれこそ化身アームド！」

「それって……？」

「化身を鎧にして装備にすることだ。能力は飛躍的にアップする」

「そんなモン出されて、天馬たち大丈夫なのかよ？」

「天馬も化身アームドを発動させたことがある。瑞貴殿もな」

｢｢｢ええっ!?｣｣｣


ワンダバの説明はマネージャー組だけでなく円堂も聞いていた。そしてまさか天馬も瑞貴も使えるとは思わず、驚きの声を上げる。


「天馬も瑞貴さんも今のできるんですか!?」

「スゴいぜ！　進歩してんじゃん！」

「瑞貴さんが使うと絶対に綺麗……！」

「いや。そんなキラキラした目で見られても、私はもう出ないから」

「そう……確かに天馬はできはしたのだが」

｢｢｢｢？｣｣｣｣


マネージャー組の期待の眼差しに瑞貴がオロオロすると、ワンダバは急に深刻な声で告げる。


「どうした？　何かあんのか？」

「ウム……」

｢｢｢｢？｣｣｣｣


円堂が問いかけるとワンダバは顔をしかめたまま黙ってしまった。まだ確信が持てないことがあるのか、今はまだ何も言わないほうがいいと判断したのだろう。

もう一度雷門ボールで試合再開。倉間から剣城へボールが渡される。


《さあアメリカ代表、波に乗る日本代表に太刀打ちできるのか!?》

（もう一度、あのときみたいに！）


天馬は前の試合まで使えた化身アームドを使おうとしていた。そのためにチャンスを逃すわけにはいかない。


「フェイ！」

「神童くん！」

「天馬！」


剣城からフェイへ続けて神童へとパスが回り、最後に前線に向かっていた天馬にパスが回った。絶好のチャンスだと青いと碧は声を上げる


「よっし！」

「いっけー！　天馬ー！」

「魔神ペガサスアーク！　アームド！」


しかし、天馬に化身が纏うことがなかった。二度もできたのに信じられないと天馬は両手を見つめる。


「化身アームド、できない……!?」

「残念だったな！」

「うわあっ！」


すかさずドリムが天馬からボールを奪った。天馬は強く弾き飛ばされたので体に痛みはあるものの、それより化身アームドができなかったショックが大きい。


「どうして……？　この前はできたのに……」

「天馬、大丈夫!?」

「あっ、うん！」

「……やっぱり」


問題ないようで走り出す天馬を見送るフェイは、ワンダバと同じく思う所があったので今回で確信できた。

ドリムは再びベータへパスを出し、天馬はそれを追いかけるが、頭の中は全く別のことを思っている。


（どうして化身アームドできないんだ!?）










☆コーチの　今日の格言☆



大切なモノを守る戦いには、想いがあれば時間も場所も関係ない



以上!!