最後のサッカー
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ユニフォームから制服に着替えた剣城は携帯の着信を確認すると、一瞬目を見開いたが瑞貴に声をかける。
「あの、瑞貴さん」
「ん?」
どうやらこの剣城はタイムジャンプのことについて知識があるらしく、今の瑞貴が『雷門中サッカー部のコーチ・円堂瑞貴』と認識しているようだ。
「これから兄さんのお見舞いに行くんですけど、一緒に行きませんか?」
「えっ?」
「兄さんから『瑞貴さんに会えないか』とメールが来たんです。急ですみませんが、もし時間があれば……」
「うん、いいよ。私も優一くんに会いたい!」
「でも、瑞貴さんはその姿で大丈夫なんですか?」
「あっ!」
「大丈夫ですよ。驚きはするだろうけど、逆に兄さんも懐かしく思いますよ」
天馬の疑問に瑞貴はしまったと思って声を上げるが、剣城は問題ないというように告げた。
――同時刻。総理大臣である財前総介が苦渋の決断をしたことを、このとき誰も知らなかった。
☆☆☆☆☆
翌日の早朝、瑞貴はまたうなされていた。
『守! 待って!』
黒い空間の中、前方で背を向けている円堂を追いかける瑞貴。しかし走っているのに一向に追いつく気配がなく、それどころかどんどん円堂は瑞貴から離れて行った。
走り続けた疲れなのか、足がもつれた瑞貴は思いっきり倒れてしまった。顔を上げると円堂は自分に振り向きもしないどころか、ついに見えなくなってしまう。
『守……なんで……?』
瑞貴はなんとか体を起こすも、円堂がいなくなったショックで座ったままで顔をうつむけて涙を流した。
「っ!」
ガバッ!
「おい、瑞貴!? どうした!?」
「ハァ……ハァ……守……?」
「ああ」
前と同じ悪夢を見てしまい、勢いよく起きた衝撃で隣に寝ていた円堂も目を覚ましたようだ。瑞貴が円堂の手を取って見ると確かに感触があって、それにホッと息を吐く。
「嫌な夢でも見たのか?」
「うん……守が消えてしまう夢を……」
「!」
まさか『自分が消えるなんて夢』を見たなんて思わなかったのだろう。円堂は驚いて目を見開き、次いで優しく瑞貴の肩を引き寄せて抱きしめる。
「大丈夫だ。ただの夢だ。俺はここにいる……そばにいるから」
「……ありがとう」
その暖かさに身を委ねた瑞貴は一筋の涙を流した。そう……あれはただの夢だと言い聞かせて。
――部活の時間になり、円堂より先に雷門中に来た瑞貴はまず音無春奈に会いに来た。春奈はサッカー部同様に歴史が改変されたときの記憶がなく、最初に瑞貴を見ると大きく目を見開いて……。
「円堂さん! いつの間に瑞貴先輩と子供を作ったんですかー!? 結婚しても子供がいなかったら兄さんとのチャンスがあると思ったのにー!」
「違うから! 話を聞いて!」
この通り大混乱である。まさかそんなことを企てていたとは知らなかったが、瑞貴は春奈を落ち着かせることを最優先し、これまでの事情を話すとだんだん落ち着いてくれた。
「じゃあ本当に、瑞貴先輩なんですか……?」
「うん。いきなりこんな話をして混乱すると思うけど――」
ガバッ!
「きゃー! 可愛いです! まさに私が憧れ始めた瑞貴先輩そのまま! 写真やビデオじゃなくて実物にまた会えるなんて感激ですー!」
「だから落ち着いてー!」
別の意味で暴走を始めたので、瑞貴は何枚か春奈に写真を撮られてしまうのだった。しかしいつもの(?)春奈が戻って来たと思うと嬉しくなり、瑞貴は最後までされるがままにすることにした。
――やっと解放された瑞貴はロッカールームに行き、円堂が来るまで天馬たち雷門中サッカー部と今日の練習についてミーティングをしようとしたが……。
「みなさん大変です! 大変なことになりました!」
「火来校長……?」
「どうしたんですか?」
ホーリーロードのあと雷門中校長に復職した火来伸蔵が急にやって来たので、神童や天馬たちは問いかけた。よほど慌てて来たのか、火来は流れる汗をハンカチで必死に拭っている。
「政府が今日の国会で――『サッカー禁止令』を可決したんですよ!」
「サッカー禁止令?」
「そうです! サッカーをすることが、法律で禁止されてしまったのです!」
「「「「「ええぇぇえええ!?」」」」」
サッカーが法律によって禁止されたという突然の展開に、瑞貴や天馬たちは驚きの声を上げた。
☆コーチの 今日の格言☆
考えることはいつだってできるけど、それを行動に移すのは練習だろうと本番だろうとこの瞬間は一度きりだけ。
以上!!
「あの、瑞貴さん」
「ん?」
どうやらこの剣城はタイムジャンプのことについて知識があるらしく、今の瑞貴が『雷門中サッカー部のコーチ・円堂瑞貴』と認識しているようだ。
「これから兄さんのお見舞いに行くんですけど、一緒に行きませんか?」
「えっ?」
「兄さんから『瑞貴さんに会えないか』とメールが来たんです。急ですみませんが、もし時間があれば……」
「うん、いいよ。私も優一くんに会いたい!」
「でも、瑞貴さんはその姿で大丈夫なんですか?」
「あっ!」
「大丈夫ですよ。驚きはするだろうけど、逆に兄さんも懐かしく思いますよ」
天馬の疑問に瑞貴はしまったと思って声を上げるが、剣城は問題ないというように告げた。
――同時刻。総理大臣である財前総介が苦渋の決断をしたことを、このとき誰も知らなかった。
☆☆☆☆☆
翌日の早朝、瑞貴はまたうなされていた。
『守! 待って!』
黒い空間の中、前方で背を向けている円堂を追いかける瑞貴。しかし走っているのに一向に追いつく気配がなく、それどころかどんどん円堂は瑞貴から離れて行った。
走り続けた疲れなのか、足がもつれた瑞貴は思いっきり倒れてしまった。顔を上げると円堂は自分に振り向きもしないどころか、ついに見えなくなってしまう。
『守……なんで……?』
瑞貴はなんとか体を起こすも、円堂がいなくなったショックで座ったままで顔をうつむけて涙を流した。
「っ!」
ガバッ!
「おい、瑞貴!? どうした!?」
「ハァ……ハァ……守……?」
「ああ」
前と同じ悪夢を見てしまい、勢いよく起きた衝撃で隣に寝ていた円堂も目を覚ましたようだ。瑞貴が円堂の手を取って見ると確かに感触があって、それにホッと息を吐く。
「嫌な夢でも見たのか?」
「うん……守が消えてしまう夢を……」
「!」
まさか『自分が消えるなんて夢』を見たなんて思わなかったのだろう。円堂は驚いて目を見開き、次いで優しく瑞貴の肩を引き寄せて抱きしめる。
「大丈夫だ。ただの夢だ。俺はここにいる……そばにいるから」
「……ありがとう」
その暖かさに身を委ねた瑞貴は一筋の涙を流した。そう……あれはただの夢だと言い聞かせて。
――部活の時間になり、円堂より先に雷門中に来た瑞貴はまず音無春奈に会いに来た。春奈はサッカー部同様に歴史が改変されたときの記憶がなく、最初に瑞貴を見ると大きく目を見開いて……。
「円堂さん! いつの間に瑞貴先輩と子供を作ったんですかー!? 結婚しても子供がいなかったら兄さんとのチャンスがあると思ったのにー!」
「違うから! 話を聞いて!」
この通り大混乱である。まさかそんなことを企てていたとは知らなかったが、瑞貴は春奈を落ち着かせることを最優先し、これまでの事情を話すとだんだん落ち着いてくれた。
「じゃあ本当に、瑞貴先輩なんですか……?」
「うん。いきなりこんな話をして混乱すると思うけど――」
ガバッ!
「きゃー! 可愛いです! まさに私が憧れ始めた瑞貴先輩そのまま! 写真やビデオじゃなくて実物にまた会えるなんて感激ですー!」
「だから落ち着いてー!」
別の意味で暴走を始めたので、瑞貴は何枚か春奈に写真を撮られてしまうのだった。しかしいつもの(?)春奈が戻って来たと思うと嬉しくなり、瑞貴は最後までされるがままにすることにした。
――やっと解放された瑞貴はロッカールームに行き、円堂が来るまで天馬たち雷門中サッカー部と今日の練習についてミーティングをしようとしたが……。
「みなさん大変です! 大変なことになりました!」
「火来校長……?」
「どうしたんですか?」
ホーリーロードのあと雷門中校長に復職した火来伸蔵が急にやって来たので、神童や天馬たちは問いかけた。よほど慌てて来たのか、火来は流れる汗をハンカチで必死に拭っている。
「政府が今日の国会で――『サッカー禁止令』を可決したんですよ!」
「サッカー禁止令?」
「そうです! サッカーをすることが、法律で禁止されてしまったのです!」
「「「「「ええぇぇえええ!?」」」」」
サッカーが法律によって禁止されたという突然の展開に、瑞貴や天馬たちは驚きの声を上げた。
☆コーチの 今日の格言☆
考えることはいつだってできるけど、それを行動に移すのは練習だろうと本番だろうとこの瞬間は一度きりだけ。
以上!!