よみがえれ! 雷門!!

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「その人は俺を助けてくれただけじゃなく、このタイムブレスレットをくれた。これがあれば、時間を移動できる」

「だから優一くんは、この時代に来れたってことね」


この時代の優一はまだ幼い少年で、十八歳の彼がここにいることはおかしいと思っていた瑞貴。だが、タイムブレスレットで時空を超えて来たと聞けば納得がいった。


「よくわかんないけど、サッカーを守るために戦ってるってことだよな?」

「そうです!」


ほとんど話の内容に追いつけない円堂だが、『サッカーを守る』という要点は理解したらしい。天馬たちが戦っているならと声を上げる。


「なら、俺も戦いたいぞ!」

「円堂くんがやらなきゃいけないことは、サッカー部を作ることよ。それがサッカーを守るってことになるんじゃない?」

「はい、そうです! 円堂さんがサッカー部を作ったら、サッカーが喜びます!」

「お前、面白い奴だな!」


秋の言う通り、この時代の円堂のやるべきことは『雷門中サッカー部を作ること』である。それに天馬も同意すると円堂は面白そうに笑った。


「さあ、諸君! この感動を胸に抱き、いざ元の時代に戻るべし!」

「はい!」

「タイムジャンプだね」

「もう行っちゃうのか?」

「円堂くんの時代の危機を防いだことで、あとの時代がどう変化しているのか確認しなきゃ。優一さんのためにもね」


そうしてタイムジャンプをするべく、優一も加えてキャラバンに乗り込む。最後に乗ろうとした天馬に円堂が声をかけた。


「天馬」

「はい?」

「雷門中サッカー部、絶対作ってみせる。約束するぜ!」

「俺も、サッカー守ってがんばります!」

「オウッ! でもって、もしまた会えたら!」


拳を差し出す円堂に天馬は一瞬目を見開いたが、その意図を察して自分も拳を差し出し、二人はコツンとぶつけ合った。


「「サッカーやろうぜ!」」


新旧キャプテン同士の熱い約束に瑞貴も思わず微笑んでしまう。


「あっ、そうだ! そこの君!」

「!」

瑞貴って言ったっけ? お前ともまたサッカーやろうぜ!」

「えっ! あの、その……」


どう答えるべきか瑞貴は迷った。来年には自分はこの世界にトリップして円堂と相棒になるし現代では夫婦になっている。

デュプリには幾人か女子もいたから自分もその内の一人程度だと思っていた。しかし円堂にはそれ以上に認識が強かったようで、混乱していると瑞貴の肩にポンッと手が置かれた。


「大丈夫です。ほら、行って来てあげてください」

「あっ」


次に背中をポンッと押されたため瑞貴はキャラバンを出ると、円堂が天馬と同じように拳を差し出した。そして戸惑いながらも瑞貴も拳を出してコツンと合わせる。


「また一緒にサッカーやろうぜ!」

「っ、うん!」


そして今度こそ瑞貴と天馬もキャラバンに乗り込み、ワンダバが操作したことで宙に浮かぶ。


「5秒前! 4…3…2…1…タイムジャーンプ!」


そうしてワームホールの中に消えたキャラバンを最後まで見送った円堂と秋。さっきの試合と言い不思議なことばかりでまだ胸が高鳴っていた。


「まだ夢見てるみたい……!」

「天馬って奴、きっとまた会える。そんな気がする! それと――……あれ?」

「円堂くん?」

「木野、試合でシュートを決めた女子のこと覚えているか?」

「えっ? そりゃあもちろん――……あれ?」


円堂は次いで瑞貴のことを思い出そうとしたが、何故か試合活躍はおろかさっきの約束すらも思い出せなかった。それは秋も同じである。

――ワームホールの中に進んでいる間、十一年前の目印にしておいたサッカー部の看板が光の粒となって消えていくので天馬は驚いた。


「看板が!」

「アーティファクトは歴史が変わってここにあることに都合が悪くなると、本来あるべき時間に戻るんだよ」

「円堂監督の時間、ってことだよね?」

「わかってきたね!」

「円堂監督が一年生でゴッドハンドを覚えちゃったけど、歴史は大丈夫なの?」

「私も、結局最後は挨拶を交わしちゃったし……」


二人の会話を優一と並んで座っていた瑞貴も不安そうに問いかける。だけどフェイは問題ないというように笑った。


「大丈夫さ。パラレルワールドがもたらす時空の変化は、君たちが思う以上に不思議で面白いものなんだ」

「面白いかもしれないけど、ちょっとややこしいよね……」

「だね……」


複雑だなと両腕を組んで首を傾げる瑞貴を見て優一はフッと笑った。それに気づいた瑞貴は顔を上げて不思議そうに見る。
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