サッカーが消えた!?
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「じ、じゃあ! 春奈…先生に一つ年上の先輩で『井上瑞貴』っていう人を知りませんか!?」
「知っているわよ。当時はかなり有名だったもの」
「どんな人!?」
今はともかく昔の自分のことまで忘れていないとわかり、さっそく聞き出すべく瑞貴は詰め寄ると、春奈はびっくりして少し後ずさりをした。
「どんな人って……――いつも一人でサッカーボールを蹴っていた変な人よ」
「!」
ピッシャ――ンッ!!
またも瑞貴は頭上に雷が走ったような衝撃を受けるのだった。自分の知る当時と違うことだけでなく、懐いてくれた後輩に『変な人』と認識されたことも含めて。
☆☆☆☆☆
それからさらに春奈に尋問される前に、瑞貴は持ち前の足の速さでなんとか雷門中から逃げた。しかし自分が中学生の姿になり、雷門中サッカー部がなく、自分の存在が事実と違う……昨日までと何もかも違うことに思考が追い付かない。
だが、携帯を開いて電話帳を見れば現雷門中サッカー部や当時の雷門中サッカー部だけでなく、神崎シンの連絡先まで消えていた。
「いったい何がどうなっているの? ――ん?」
溜息をつきながら河川敷を歩いていると、階段に座り込んでいる雷門中の生徒を見つける。しかし、あの独特な髪型を見間違えるわけもない。
「天馬!」
「えっ!?」
大きな声で呼んだせいか驚かれたが、確かに自分を確認してくれた天馬。しかし立ち上がった彼は瑞貴の姿を見ると首を傾げる。
「あ、あの……どちらさまですか?」
「えっと、私、雷門中サッカー部の――」
「サッカー部を知ってるんですか!?」
「みぎゃ!?」
答えようとしたら天馬がいきなり自分の両肩つかんだので瑞貴は驚く。その瞳は懇願と希望が入り交じっており、逆に瑞貴が驚かされる番でもあった。
「知ってるよ。三ヶ月前はホーリーロードで優勝して、天馬は修也のサッカー教育プログラムのために全国を回っていたもんね」
「そ、そこまで知って……?」
「信じられないかもしれないけど、私は雷門中サッカー部コーチ・円堂瑞貴なの」
「えっ? 瑞貴さん? でも……」
「お願い、私の話を聞いて!」
「は、はい!」
それから瑞貴は今朝の家のことや雷門中に来るまでの出来事を、天馬に事細かく話した。昨日までは確かにあったサッカー部のことも話すと「やっぱり昨日はちゃんとあったんだ……」と肩を落とした天馬は再び階段に座り、瑞貴も隣に座った。
天馬の話では、選手全員と空野葵と会ってみたが全員サッカー部に所属しておらず、それどころかサッカーに興味すら持っていなかったと言う。春奈への対応でいっぱいいっぱいだった瑞貴にとっても、天馬の話はまた衝撃を受けていた。
「昨日の今日で、いったいどうなっているんだろう……」
「サッカー部がなくなっただけじゃない、みんなサッカーのことを忘れてしまっているんです……」
二人が見降ろすグラウンドも、サッカー用に引いていた白線がなくなってただの芝生となっている。
「なんで……。みんなサッカーのこと、あんなに好きだったのに……。なんで、サッカーを忘れられるんでしょう……」
「まるで、サッカーが消えた……」
「――ノー、サッカーは消えていない」
「「!」」
第三者の声に二人がうしろを振り向くと、妙な格好をした紫色の髪をした少年がいた。
「サッカーの消去は不完全だ」
「君は……?」
「あっ! あのときの!」
「もしかして、さっき瑞貴さんが言っていた?」
「うん。私を封印するとか言っていた少年だよ。やっぱり夢じゃなかったんだ……!」
不思議そうにする天馬と違い、瑞貴は雷門中に来る前に出会った少年だと思い出した。二人は階段から立ち上がって少年と対峙すると、少年は瑞貴を一瞥したあと天馬を見る。
「松風天馬、これよりお前からもサッカーを消去する」
「サッカーを、消去……?」
「私はアルファ。我が使命はサッカーの消去。残る痕跡は円堂瑞貴を除けば……松風天馬、お前だけだ」
「痕跡……?」
「俺だけ……?」
最初は少年――アルファの言うことに瑞貴も天馬もわからなかったが、二人の脳裏に春奈や雷門中サッカー部だったみんなの姿が浮かぶ。
「知っているわよ。当時はかなり有名だったもの」
「どんな人!?」
今はともかく昔の自分のことまで忘れていないとわかり、さっそく聞き出すべく瑞貴は詰め寄ると、春奈はびっくりして少し後ずさりをした。
「どんな人って……――いつも一人でサッカーボールを蹴っていた変な人よ」
「!」
ピッシャ――ンッ!!
またも瑞貴は頭上に雷が走ったような衝撃を受けるのだった。自分の知る当時と違うことだけでなく、懐いてくれた後輩に『変な人』と認識されたことも含めて。
☆☆☆☆☆
それからさらに春奈に尋問される前に、瑞貴は持ち前の足の速さでなんとか雷門中から逃げた。しかし自分が中学生の姿になり、雷門中サッカー部がなく、自分の存在が事実と違う……昨日までと何もかも違うことに思考が追い付かない。
だが、携帯を開いて電話帳を見れば現雷門中サッカー部や当時の雷門中サッカー部だけでなく、神崎シンの連絡先まで消えていた。
「いったい何がどうなっているの? ――ん?」
溜息をつきながら河川敷を歩いていると、階段に座り込んでいる雷門中の生徒を見つける。しかし、あの独特な髪型を見間違えるわけもない。
「天馬!」
「えっ!?」
大きな声で呼んだせいか驚かれたが、確かに自分を確認してくれた天馬。しかし立ち上がった彼は瑞貴の姿を見ると首を傾げる。
「あ、あの……どちらさまですか?」
「えっと、私、雷門中サッカー部の――」
「サッカー部を知ってるんですか!?」
「みぎゃ!?」
答えようとしたら天馬がいきなり自分の両肩つかんだので瑞貴は驚く。その瞳は懇願と希望が入り交じっており、逆に瑞貴が驚かされる番でもあった。
「知ってるよ。三ヶ月前はホーリーロードで優勝して、天馬は修也のサッカー教育プログラムのために全国を回っていたもんね」
「そ、そこまで知って……?」
「信じられないかもしれないけど、私は雷門中サッカー部コーチ・円堂瑞貴なの」
「えっ? 瑞貴さん? でも……」
「お願い、私の話を聞いて!」
「は、はい!」
それから瑞貴は今朝の家のことや雷門中に来るまでの出来事を、天馬に事細かく話した。昨日までは確かにあったサッカー部のことも話すと「やっぱり昨日はちゃんとあったんだ……」と肩を落とした天馬は再び階段に座り、瑞貴も隣に座った。
天馬の話では、選手全員と空野葵と会ってみたが全員サッカー部に所属しておらず、それどころかサッカーに興味すら持っていなかったと言う。春奈への対応でいっぱいいっぱいだった瑞貴にとっても、天馬の話はまた衝撃を受けていた。
「昨日の今日で、いったいどうなっているんだろう……」
「サッカー部がなくなっただけじゃない、みんなサッカーのことを忘れてしまっているんです……」
二人が見降ろすグラウンドも、サッカー用に引いていた白線がなくなってただの芝生となっている。
「なんで……。みんなサッカーのこと、あんなに好きだったのに……。なんで、サッカーを忘れられるんでしょう……」
「まるで、サッカーが消えた……」
「――ノー、サッカーは消えていない」
「「!」」
第三者の声に二人がうしろを振り向くと、妙な格好をした紫色の髪をした少年がいた。
「サッカーの消去は不完全だ」
「君は……?」
「あっ! あのときの!」
「もしかして、さっき瑞貴さんが言っていた?」
「うん。私を封印するとか言っていた少年だよ。やっぱり夢じゃなかったんだ……!」
不思議そうにする天馬と違い、瑞貴は雷門中に来る前に出会った少年だと思い出した。二人は階段から立ち上がって少年と対峙すると、少年は瑞貴を一瞥したあと天馬を見る。
「松風天馬、これよりお前からもサッカーを消去する」
「サッカーを、消去……?」
「私はアルファ。我が使命はサッカーの消去。残る痕跡は円堂瑞貴を除けば……松風天馬、お前だけだ」
「痕跡……?」
「俺だけ……?」
最初は少年――アルファの言うことに瑞貴も天馬もわからなかったが、二人の脳裏に春奈や雷門中サッカー部だったみんなの姿が浮かぶ。