プロローグ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
国内外の人々が多く入り交じる空港――トランクを転がしながら通路を進む男性が、誰かを探すように周りを見渡す女性を見つけて微笑むと、相手もこちらを見つけて笑顔になる。
「お帰りなさい――守」
「ただいま――瑞貴」
十年前に異世界からトリップした井上瑞貴は成長し、当時からの相棒である円堂守と結婚して円堂瑞貴になった。瑞貴は日本の女子プロリーグで、円堂は海外のプロリーグで活躍していた。
だが円堂が試合で負傷してしまった。怪我は完治したものの療養で日本に戻ってきたのだ――もう一つの目的と共に。
駐車場に停めてあった車に二人は乗り込むと、助手席の円堂が「そうだ」と運転席に座る瑞貴に声をかける。
「向こうとは話がついた」
「っ、じゃあ!」
「ああ、俺は日本にいる。瑞貴と一緒に暮らせる」
グイッ――ギュッ。
円堂は瑞貴の手首を引くと優しく抱きしめた。抱きしめられた瑞貴も嬉しそうに円堂の背に腕を回す。お互いこの暖かさが久しぶりなのだ。そして二人の左手の薬指は結婚指輪が嵌めてあり、手入れもしているのでキラリと輝いている。
「変だよね、私たちが暮らせるのは本当の目的があるのに……守と毎日いれるのがスゴく嬉しいの」
「それは俺だって同じだ。瑞貴と一緒にいれるのがスッゲー楽しみだった。連絡を受けたときから、今日という日をどれほど待ち望んだか」
しばらく堪能した二人は体を離してシートベルトを閉めると、瑞貴が車を発進させて自宅へと向かった。
――二人の自宅は瑞貴が共にトリップした家である。十年も経っているのでさすがにリフォームもしたが、円堂の実家も近いし瑞貴も元の世界と共にやってきた家なのでとても大切にしている。
円堂がソファに座って久しぶりの自宅にホッとしていると、瑞貴がコーヒーを淹れたマグカップを手渡した。
「サンキュ」
「どういたしまして」
瑞貴も自分のマグカップをテーブルに置いて隣に座ると、円堂が肩を引いて自分のそばに寄せた。空港は感極まったこともあったので平気だったが、自宅とはいえ瑞貴は顔を赤くする。
「ま、守!? ここは日本だよ!? 外国のようなスキンシップはしなくていいんだよ!?」
「しばらくこうしてゆっくりできるなんてなかっただろ? だから堪能させてくれ」
円堂は瑞貴を前にすると伝説のキーパーとは思えないほど愛妻家ぶりを見せる。プロになってからは離ればなれになったせいか、再会する度に我慢した分を発散させるように瑞貴に甘えるのだ。
もともと自分に対する恋愛に疎かった瑞貴は当然免疫もなく、つき合ってから今でも一向に慣れないでいた。まあ昔は抱きつかれたら真っ赤になってワタワタしていたが、今は顔が赤くなるだけで済んでいる。そして――。
ビシッ!
「イテッ!」
「ここまで! 報告しなくちゃならないことがたくさんあるんだから!」
「子供ができたとか!?」
「違う!」
暴走する夫を制することもできるようになった。円堂も本来の目的をわかっているからこそ、渋々離してくれた。
瑞貴がまとめた報告書を円堂は見ていく。その姿はさっきと違って真剣そのもので、熱血キャプテンだった少年時代から大人になって落ち着いた雰囲気が出るので瑞貴は見惚れることもある。
「……どんどん進行がヒドくなってるな」
「うん。雷門も久遠監督が保ってきたけど、この間シードが入ったせいで部員の選手は新入生の二人を合わせて十一人だけ。他にも希望者がいたみたいだけど……内申目当てだって」
「お帰りなさい――守」
「ただいま――瑞貴」
十年前に異世界からトリップした井上瑞貴は成長し、当時からの相棒である円堂守と結婚して円堂瑞貴になった。瑞貴は日本の女子プロリーグで、円堂は海外のプロリーグで活躍していた。
だが円堂が試合で負傷してしまった。怪我は完治したものの療養で日本に戻ってきたのだ――もう一つの目的と共に。
駐車場に停めてあった車に二人は乗り込むと、助手席の円堂が「そうだ」と運転席に座る瑞貴に声をかける。
「向こうとは話がついた」
「っ、じゃあ!」
「ああ、俺は日本にいる。瑞貴と一緒に暮らせる」
グイッ――ギュッ。
円堂は瑞貴の手首を引くと優しく抱きしめた。抱きしめられた瑞貴も嬉しそうに円堂の背に腕を回す。お互いこの暖かさが久しぶりなのだ。そして二人の左手の薬指は結婚指輪が嵌めてあり、手入れもしているのでキラリと輝いている。
「変だよね、私たちが暮らせるのは本当の目的があるのに……守と毎日いれるのがスゴく嬉しいの」
「それは俺だって同じだ。瑞貴と一緒にいれるのがスッゲー楽しみだった。連絡を受けたときから、今日という日をどれほど待ち望んだか」
しばらく堪能した二人は体を離してシートベルトを閉めると、瑞貴が車を発進させて自宅へと向かった。
――二人の自宅は瑞貴が共にトリップした家である。十年も経っているのでさすがにリフォームもしたが、円堂の実家も近いし瑞貴も元の世界と共にやってきた家なのでとても大切にしている。
円堂がソファに座って久しぶりの自宅にホッとしていると、瑞貴がコーヒーを淹れたマグカップを手渡した。
「サンキュ」
「どういたしまして」
瑞貴も自分のマグカップをテーブルに置いて隣に座ると、円堂が肩を引いて自分のそばに寄せた。空港は感極まったこともあったので平気だったが、自宅とはいえ瑞貴は顔を赤くする。
「ま、守!? ここは日本だよ!? 外国のようなスキンシップはしなくていいんだよ!?」
「しばらくこうしてゆっくりできるなんてなかっただろ? だから堪能させてくれ」
円堂は瑞貴を前にすると伝説のキーパーとは思えないほど愛妻家ぶりを見せる。プロになってからは離ればなれになったせいか、再会する度に我慢した分を発散させるように瑞貴に甘えるのだ。
もともと自分に対する恋愛に疎かった瑞貴は当然免疫もなく、つき合ってから今でも一向に慣れないでいた。まあ昔は抱きつかれたら真っ赤になってワタワタしていたが、今は顔が赤くなるだけで済んでいる。そして――。
ビシッ!
「イテッ!」
「ここまで! 報告しなくちゃならないことがたくさんあるんだから!」
「子供ができたとか!?」
「違う!」
暴走する夫を制することもできるようになった。円堂も本来の目的をわかっているからこそ、渋々離してくれた。
瑞貴がまとめた報告書を円堂は見ていく。その姿はさっきと違って真剣そのもので、熱血キャプテンだった少年時代から大人になって落ち着いた雰囲気が出るので瑞貴は見惚れることもある。
「……どんどん進行がヒドくなってるな」
「うん。雷門も久遠監督が保ってきたけど、この間シードが入ったせいで部員の選手は新入生の二人を合わせて十一人だけ。他にも希望者がいたみたいだけど……内申目当てだって」