天まで届け! みんなのサッカー!!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
パンッ!
「「「「「!」」」」」
「それじゃあ、俺たちのキャプテンを胴上げだ!」
「えっ!?」
一度手を叩いて空気を止めた三国が出した提案に、天馬が驚く間もなくみんなが集まって来た。――そんな風に喜び合う雷門中サッカー部を、豪炎寺と千宮路と虎丸もまた眺めている。
「彼らの表情が見えますか?」
「ああ…忘れていた……。限界まで力を出し切り、勝利した者だけが得られるモノ……あの表情だけは、管理サッカーでは生み出せないモノだ……。プレーする機会を平等に与えていたつもりが、あの表情を奪っていたとはな……」
「…………」
「どこで掛け違えてしまったのだろう……」
胴上げされる天馬を中心に雷門中サッカー部の溢れんばかりの笑顔を見て、千宮路は自分の志した管理サッカーが間違いだと気づいた千宮路に、豪炎寺は静かに頷いた。
「サッカーは幸せだな」
「はい」
「これだけ多くの者たちに愛されてきたのだから」
「私も愛しています。これまでも、これからも!」
「ああ……!」
そう告げた豪炎寺に、千宮路もまた笑顔を浮かべるのだった。
そしてアマノミカドスタジアムが元の大きさに戻る頃、少年サッカー日本一とは別のもう一つの結果発表――聖帝選挙が行われる。残りの票は全て響木正剛に入り、豪炎寺を超えることができた。
《サッカー界の総責任者、新しい聖帝は響木正剛氏となりました――っ!!》
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」
《それでは、新聖帝・響木正剛氏による就任演説です》
ホーリーロード開会式と同じように、アナウンスのあとにテラスから現れた響木。そしてスタジアム全員に見えるようにホログラムが映し出された。
《サッカーは平等なものなどではありません》
「!」
先ほどまで敗北した悔しさが拭えず顔をうつむけていた大和が、響木の言葉に驚いて顔を上げる。
《サッカーは強くなりたいと願い、多くの汗と涙を流した者が勝利を勝ち取る。力を出し切ることができなかった者は敗北し悔しさで涙する……そこにあるのは平等などではない、驚くほどシビアで辛い現実である。しかし若者たちが思いと思いをぶつけ合って心の底から熱くなれる……その熱こそ、長く人生を生きていかねばならない全ての若者たちの勇気になることでしょう》
響木の演説はスタジアムにいる者たちだけでなく、テレビを通じて自宅や病院にいる者たちにも届いている。この言葉をどう受け止め、どう生かしていくのかを、誰もが全員の課題となることだろう。
《ここに、フィフスセクターの解散を宣言する。全てのサッカーを愛する者たちよ、サッカーを自由にプレーしてほしい!》
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」
響木のフィフスセクター解散とサッカーを自由にプレーにできるという宣言に、スタジアム全体が沸き上がった。
すると虎丸と並んで響木の言葉を聞いていた豪炎寺の隣に、円堂と瑞貴が並んで立った。
「円堂……。瑞貴……」
「ありがとな、豪炎寺。サッカーを取り戻してくれて」
「取り戻したのはお前だろ」
「ハハッ、そうかな。知ってるんだぜ? サッカーのせいで学校が潰れたりしないように、サッカーの教育システムや支援基金の設立にお前が動いていたこと。そして――この革命を始めたのは、お前だ」
「いつもは遅いくせに、今回は修也が早かったね」
円堂に続いてイタズラっ子のような表情を浮かべる瑞貴に、豪炎寺もまたフッと笑い円堂と体を向き合わせる。
「豪炎寺。また一緒に、サッカーやろうぜ!」
「ああ!」
円堂が差し出した手を豪炎寺もまた握り返し、二人は再び共にサッカーすることを約束した。