決戦! アマノミカドスタジアム!!
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「今まで、俺のために辛い思いをさせてすまなかった」
「そんなこと……!」
「時間がかかるかもしれないが、俺は必ずもう一度フィールドに立ってみせる。そして瑞貴さんとの約束を、今度こそ『俺たち二人』で果たすんだ」
「!」
十年前に交わした『また一緒にサッカーをやろう』という約束……それを兄弟二人で果たせるときが確実になったのだ。あとは優一の努力次第だろう。
「京介。決勝戦は誰のためでもない、自分自身のためにプレーして来い。お前の大好きなサッカーをな」
「兄さん……――ああ!」
自分の肩に優しく手を置いてくれた優一を、剣城は目線を合わせてしっかり頷いた。
「よかったな、剣城」
優一が手術を受けられるようになって、剣城は何も気にすることなく思いっきりサッカーができる――それが天馬も嬉しく思った。
――その後、天馬は神童の病室に向かって剣城兄弟のことを伝えに来た。
「剣城のお兄さん、『また走れるようにがんばる』って言ってました。早く二人が、一緒にサッカーできる日が来るといいなぁ……」
「そうか。剣城も、やっと心の重荷が取れたんだな」
「はい! 俺、それが一番嬉しかったです!」
「『嬉しい』か……それがお前のいい所だ」
「えっ?」
チームメイトとはいえ他人のことなのに、まるで自分のことのように喜べるのはいいことだ。天馬自身が気づいていないが、それが逆に天馬らしいと神童は思ってフッと笑う。
「チームの状態はどうだ?」
「あっ……ああ、はい! えーと……みんな、がんばってます!」
「頼んだぞ、キャプテン」
「へっ? はい!」
神童から『キャプテン』と呼ばれて緊張しているのか、天馬は背筋を伸ばして返事をした。すると神童は顔を少しうつむけて悲しそうに笑う。
「悔しいな……みんなと決勝を戦えないなんて……」
「いいえ。キャプテンも一緒です!」
「!」
「ずっと一緒に戦ってきたんです。その仲間の想いは、どこにいても俺たちの胸の中にあります」
笑顔で心臓の位置へ拳を握ってトンッと当てて告げた天馬に、神童は目を見開くも次いでフッと笑う。
「ああ」
神童もまた、笑顔で返したのだった。
☆☆☆☆☆
運命の日となる翌日、カーテンを開けた瑞貴は晴天とも言える空に微笑んだ。
「いい天気……最高の試合ができる前兆かな?」
「おはよう、瑞貴」
「あっ。おはよう、守」
リビングに入って挨拶してきた円堂に瑞貴も返事をすると、さっそく朝食の仕上げに入る。円堂もまた食器を出し終えるとテレビを点けて新聞を広げた。予想通りというか、どちらも今日行われるホーリーロード全国大会決勝戦の話題でもちきりだ。
「……なんでだろうな」
「えっ?」
「俺は監督であって選手じゃない。だけど、このワクワクが止まらない高揚感は昔と同じなんだ。変だろ? 今日は大事なことが決まる運命の日だってのに」
朝食を並べていく瑞貴は苦笑する円堂を見て、一瞬目をパチクリしたものの面白そうに笑う。
「おかしくないと思うよ。だって、試合は選手だけでなく監督も――チーム全員が戦っているものだからね。その高揚感は守に『大切なことを忘れるな』って告げているんじゃない」
「大切なこと……?」
「サッカーの未来がどうとかよりも以前に、ホーリーロードはもともと『中学サッカー日本一』を決める戦いなんだよ。そして一番大事なことは――サッカーを楽しむこと、でしょ?」
全て並べ終えて向かいに座って笑う瑞貴に、今度は円堂が目を見開く番だった。しかし妻の言う通りなので円堂はまた苦笑する。今度は少し照れくさそうに。
「そんなこと……!」
「時間がかかるかもしれないが、俺は必ずもう一度フィールドに立ってみせる。そして瑞貴さんとの約束を、今度こそ『俺たち二人』で果たすんだ」
「!」
十年前に交わした『また一緒にサッカーをやろう』という約束……それを兄弟二人で果たせるときが確実になったのだ。あとは優一の努力次第だろう。
「京介。決勝戦は誰のためでもない、自分自身のためにプレーして来い。お前の大好きなサッカーをな」
「兄さん……――ああ!」
自分の肩に優しく手を置いてくれた優一を、剣城は目線を合わせてしっかり頷いた。
「よかったな、剣城」
優一が手術を受けられるようになって、剣城は何も気にすることなく思いっきりサッカーができる――それが天馬も嬉しく思った。
――その後、天馬は神童の病室に向かって剣城兄弟のことを伝えに来た。
「剣城のお兄さん、『また走れるようにがんばる』って言ってました。早く二人が、一緒にサッカーできる日が来るといいなぁ……」
「そうか。剣城も、やっと心の重荷が取れたんだな」
「はい! 俺、それが一番嬉しかったです!」
「『嬉しい』か……それがお前のいい所だ」
「えっ?」
チームメイトとはいえ他人のことなのに、まるで自分のことのように喜べるのはいいことだ。天馬自身が気づいていないが、それが逆に天馬らしいと神童は思ってフッと笑う。
「チームの状態はどうだ?」
「あっ……ああ、はい! えーと……みんな、がんばってます!」
「頼んだぞ、キャプテン」
「へっ? はい!」
神童から『キャプテン』と呼ばれて緊張しているのか、天馬は背筋を伸ばして返事をした。すると神童は顔を少しうつむけて悲しそうに笑う。
「悔しいな……みんなと決勝を戦えないなんて……」
「いいえ。キャプテンも一緒です!」
「!」
「ずっと一緒に戦ってきたんです。その仲間の想いは、どこにいても俺たちの胸の中にあります」
笑顔で心臓の位置へ拳を握ってトンッと当てて告げた天馬に、神童は目を見開くも次いでフッと笑う。
「ああ」
神童もまた、笑顔で返したのだった。
☆☆☆☆☆
運命の日となる翌日、カーテンを開けた瑞貴は晴天とも言える空に微笑んだ。
「いい天気……最高の試合ができる前兆かな?」
「おはよう、瑞貴」
「あっ。おはよう、守」
リビングに入って挨拶してきた円堂に瑞貴も返事をすると、さっそく朝食の仕上げに入る。円堂もまた食器を出し終えるとテレビを点けて新聞を広げた。予想通りというか、どちらも今日行われるホーリーロード全国大会決勝戦の話題でもちきりだ。
「……なんでだろうな」
「えっ?」
「俺は監督であって選手じゃない。だけど、このワクワクが止まらない高揚感は昔と同じなんだ。変だろ? 今日は大事なことが決まる運命の日だってのに」
朝食を並べていく瑞貴は苦笑する円堂を見て、一瞬目をパチクリしたものの面白そうに笑う。
「おかしくないと思うよ。だって、試合は選手だけでなく監督も――チーム全員が戦っているものだからね。その高揚感は守に『大切なことを忘れるな』って告げているんじゃない」
「大切なこと……?」
「サッカーの未来がどうとかよりも以前に、ホーリーロードはもともと『中学サッカー日本一』を決める戦いなんだよ。そして一番大事なことは――サッカーを楽しむこと、でしょ?」
全て並べ終えて向かいに座って笑う瑞貴に、今度は円堂が目を見開く番だった。しかし妻の言う通りなので円堂はまた苦笑する。今度は少し照れくさそうに。