決戦! アマノミカドスタジアム!!
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――夕方になって少し早目に練習が終了し、円堂からの言葉を聞くために全員姿勢を正す。
「明日はいよいよ決勝戦だな。試合で最高の力を発揮できるようにコンディションを整えてくれ」
「「「「「はい!」」」」」
円堂からそう伝えられるも、天馬は体がウズウズしてしょうがないと言うように剣城に小声で話しかける。
「行こう、剣城」
「!」
「今日こそ絶対に完成させよう」
天馬の意気込みが伝わって来たのか、剣城もまたフッと笑った。……そしてまた、瑞貴はコソコソと話す二人の様子をしっかり見ていた。
(あの二人、やっぱり何か隠している……?)
明日の試合とは違った異様なやる気を見せる天馬と剣城に、瑞貴はその理由がわからず首を傾げた。
――そして部員全員が雷門中から帰り、監督部屋で円堂は書類のチェックをし、瑞貴は窓から薄暗くなって星も出てきた空を見上げている。
「いよいよ明日だね」
「そうだな。管理サッカーにしろ、自由なサッカーにしろ、全てが決まる日だ」
周りから見れば少年サッカー日本一を決める大会だが、関係者たちにとっては少年サッカー界の命運を賭けた戦いになるのだ。
「俺たちにできることは今日までに全てやり尽くした。あとはあいつらを信じることだ」
「うん。……本当にみんな、今日までよくやってくれたね。初めて見たときとは全然別人だよ」
「ああ。みんな、いい目をしている」
栄都学園戦で瑞貴と円堂はコッソリとその試合を観客席で見ていた。しかしそれは『サッカー』と呼ぶのにふさわしくない試合であり、怒りと悲しみがゴチャ混ぜになっていたのを今でも覚えている。
だけど天馬が風を起こし、みんなの心に火を点け、一人二人とどんどん本気のサッカーを目指してくれた。彼らがその想いを抱き続けられるように円堂も瑞貴も守ってきた。
円堂は椅子から立ち上がり、窓の外を見続ける瑞貴をうしろからそっと抱きしめた。瑞貴もまたいきなりのことに驚いたが、身を委ねて自分の前に回って来た腕に手を当てる。
「勝とうね、守。試合はグラウンドにいるメンバーだけじゃなく、今まで戦ってきた相手チームの思いも背負っているんだ」
「ああ、瑞貴。みんなのためにも、絶対に勝とう」
二人は空を見上げながら、明日への決勝戦へと想いを馳せていた。
☆☆☆☆☆
一方、河川敷で天馬と剣城はファイアトルネードDD(ダブルドライブ)の特訓をしていた。しかし、高度な技故に二人で何度もチャレンジを試みるがうまくいかず、少しだけでもと休憩をとることにした。
「なあ、どうして俺だったんだ? この技をやる相手」
「……お前が、俺にサッカーへの道を示してくれた」
夜風を感じながら閉じていた目を開いた剣城は天馬の顔を見ずに告げたが、それだけの言葉で天馬は嬉しくなって同じように空を見上げた。
♪ピリリリ、ピリリリリ♪
バッグから着信音が聞こえてきたので、その発信源である携帯を取り出した剣城は通信を繋げる。
「もしもし。はい……――えっ! 今から、病院に!?」
「!」
それは病院からの連絡であり、ユニフォームから制服に着替えた二人は急いで病院へと向かって行った。
――受付からリハビリ室に行くように言われ、剣城は慌てて駆け込んで来た。
「兄さん!」
「京介! ……っ!」
「おっと」
「兄さん!」
リハビリをしていた剣城優一は弟の登場に驚いてバランスを崩したが、リハビリの担当医に支えられて倒れることを免れた。それから剣城の支えもあって優一は車椅子に座り、同時に一緒に病院に来た天馬も出入口に立つ。
「何かあったのか!? 急に呼ばれたから……!」
「京介、俺――手術を受けられることになったんだ」
「えっ!?」
優一の足を完全に治すには海外での高い医療技術が必要だった。そのための資金は高く、手術自体をあきらめていた。だが、それを受けれると目を見開いた剣城に担当医が説明をする。
「誰かはわからないが、支援金を集めてくれた人がいてね。優一くんの手術に使ってほしいそうだ」
「じゃあ……じゃあ兄さんの足は、治るんですね!?」
「ああ。手術のあとリハビリを続ければ、歩けるようになるだろう」
「っ! っ……よかった……!」
「京介……」
「本当に……よかった……」
それを聞いた剣城は目に涙を溜め、膝から崩れ落ちると床に着く。
数年前に自分のムチャが優一からサッカーを奪ってしまったことを、剣城はずっと負い目に感じていた。そのためにフィフスセクターにも入ったし、優一から背中を押してもらったとはいえ自分だけサッカーをやることにも思う所があったのだ。
「明日はいよいよ決勝戦だな。試合で最高の力を発揮できるようにコンディションを整えてくれ」
「「「「「はい!」」」」」
円堂からそう伝えられるも、天馬は体がウズウズしてしょうがないと言うように剣城に小声で話しかける。
「行こう、剣城」
「!」
「今日こそ絶対に完成させよう」
天馬の意気込みが伝わって来たのか、剣城もまたフッと笑った。……そしてまた、瑞貴はコソコソと話す二人の様子をしっかり見ていた。
(あの二人、やっぱり何か隠している……?)
明日の試合とは違った異様なやる気を見せる天馬と剣城に、瑞貴はその理由がわからず首を傾げた。
――そして部員全員が雷門中から帰り、監督部屋で円堂は書類のチェックをし、瑞貴は窓から薄暗くなって星も出てきた空を見上げている。
「いよいよ明日だね」
「そうだな。管理サッカーにしろ、自由なサッカーにしろ、全てが決まる日だ」
周りから見れば少年サッカー日本一を決める大会だが、関係者たちにとっては少年サッカー界の命運を賭けた戦いになるのだ。
「俺たちにできることは今日までに全てやり尽くした。あとはあいつらを信じることだ」
「うん。……本当にみんな、今日までよくやってくれたね。初めて見たときとは全然別人だよ」
「ああ。みんな、いい目をしている」
栄都学園戦で瑞貴と円堂はコッソリとその試合を観客席で見ていた。しかしそれは『サッカー』と呼ぶのにふさわしくない試合であり、怒りと悲しみがゴチャ混ぜになっていたのを今でも覚えている。
だけど天馬が風を起こし、みんなの心に火を点け、一人二人とどんどん本気のサッカーを目指してくれた。彼らがその想いを抱き続けられるように円堂も瑞貴も守ってきた。
円堂は椅子から立ち上がり、窓の外を見続ける瑞貴をうしろからそっと抱きしめた。瑞貴もまたいきなりのことに驚いたが、身を委ねて自分の前に回って来た腕に手を当てる。
「勝とうね、守。試合はグラウンドにいるメンバーだけじゃなく、今まで戦ってきた相手チームの思いも背負っているんだ」
「ああ、瑞貴。みんなのためにも、絶対に勝とう」
二人は空を見上げながら、明日への決勝戦へと想いを馳せていた。
☆☆☆☆☆
一方、河川敷で天馬と剣城はファイアトルネードDD(ダブルドライブ)の特訓をしていた。しかし、高度な技故に二人で何度もチャレンジを試みるがうまくいかず、少しだけでもと休憩をとることにした。
「なあ、どうして俺だったんだ? この技をやる相手」
「……お前が、俺にサッカーへの道を示してくれた」
夜風を感じながら閉じていた目を開いた剣城は天馬の顔を見ずに告げたが、それだけの言葉で天馬は嬉しくなって同じように空を見上げた。
♪ピリリリ、ピリリリリ♪
バッグから着信音が聞こえてきたので、その発信源である携帯を取り出した剣城は通信を繋げる。
「もしもし。はい……――えっ! 今から、病院に!?」
「!」
それは病院からの連絡であり、ユニフォームから制服に着替えた二人は急いで病院へと向かって行った。
――受付からリハビリ室に行くように言われ、剣城は慌てて駆け込んで来た。
「兄さん!」
「京介! ……っ!」
「おっと」
「兄さん!」
リハビリをしていた剣城優一は弟の登場に驚いてバランスを崩したが、リハビリの担当医に支えられて倒れることを免れた。それから剣城の支えもあって優一は車椅子に座り、同時に一緒に病院に来た天馬も出入口に立つ。
「何かあったのか!? 急に呼ばれたから……!」
「京介、俺――手術を受けられることになったんだ」
「えっ!?」
優一の足を完全に治すには海外での高い医療技術が必要だった。そのための資金は高く、手術自体をあきらめていた。だが、それを受けれると目を見開いた剣城に担当医が説明をする。
「誰かはわからないが、支援金を集めてくれた人がいてね。優一くんの手術に使ってほしいそうだ」
「じゃあ……じゃあ兄さんの足は、治るんですね!?」
「ああ。手術のあとリハビリを続ければ、歩けるようになるだろう」
「っ! っ……よかった……!」
「京介……」
「本当に……よかった……」
それを聞いた剣城は目に涙を溜め、膝から崩れ落ちると床に着く。
数年前に自分のムチャが優一からサッカーを奪ってしまったことを、剣城はずっと負い目に感じていた。そのためにフィフスセクターにも入ったし、優一から背中を押してもらったとはいえ自分だけサッカーをやることにも思う所があったのだ。