｢｢｢うおおぉぉおおお！　魔帝グリフォン！｣｣｣


なんと三体の化身が合体して一つの化身となった。黄金色に輝く翼、鎖、剣と盾……それぞれの化身の象徴が表れており、その姿にスタジアムにいる誰もが驚きを隠せない。


《な、なんと！　三体の化身が合体し、新たな化身として生まれ変わった――っ!!》

｢｢｢貫け、太陽！｣｣｣

「ああ！　うおおぉぉおおお！」


雨宮もまた、仲間の声援を受けて飛びこんで来た。太陽神アポロ対魔帝グリフォンの一騎打ちが始まる。


「神童！　負けたらいかんぜよ！」

「！」

「踏ん張れ！　剣城くん！」

「！」

「がんばれ天馬ー！」

「っ、ああ！」


錦や輝や信助の声援が……いや、雷門中サッカー部全員の想いを受けた魔帝グリフォンが勝利し、シュートはそのままゴールへ一直線に。


｢｢｢いっけぇぇえええ！｣｣｣

「止める！　ギガンティック――」


佐田が必殺技を出す暇もなく、むしろ弾き飛ばされるほどの強威力を持つシュートがゴールに突き刺さった。


《ゴ、ゴォ――ルッ!!　復活した雨宮の化身シュートを合体した神童、剣城、松風の化身で撃ち返してのゴール!!　逆転！　雷門逆転だ――っ!!》

「やった！」

「ああ！」

「い～～やったー！」

「うおっ！」


４対３と表示される電光掲示板を剣城と神童は感慨深げに見る。すると逆転した感情を抑えきれなかった天馬は、剣城に思いっきり抱きついて二人そろって倒れ込んだ。神童はその様子を微笑ましそうに笑っていた。


「化身の合体か……やっぱりあいつらは……！」

「スゴい！　スゴいよー！」

「まっこと、どえらい奴らぜよ！」

「やった！　やりましたよ！」

「シュートを撃ち返すだけでなくゴールに入れるとは……この土壇場でも、揺るぎない自信があるということだな」

「うん！　本当にスゴい……！　これだから雷門は目が離せないんだよね！」


霧野と信助と錦を始めとするピッチにいる者たち、春奈と鬼道と瑞貴を始めとするベンチにいる者たち、雷門中のみんながこの瞬間に喜びと興奮が抑えきれなかった。

そして同時に、試合終了のホイッスルがとうとう鳴り響く。


《ここで試合終了のホイッスル!!　壮絶な試合を紙一重で制したのは雷門中だ――っ!!　雷門、決勝進出――っ!!》

「負けたか……僕たちが……――っ」

｢｢！｣｣

「た、太陽！」


雷門中サッカー部が喜び合う中、雨宮の体がフラついて仰向けに倒れてしまった。佐田や根淵たちも気づき、天馬も慌てて雨宮の元へ駆け寄る。


「太陽！　大丈夫!?」

「フフッ……フフフッ……」

「？」

「全力を出し切った！　もう動けないや……」

「太陽……」

「知らなかった……こんなに気持ちのいい試合があるなんて。……あなたが僕に教えようとしてくれていたのは、これだったんですね。ありがとうございました」


雨宮は聖帝用の特別室にいるイシドシュウジに顔を向けると、彼も笑って頷いていた。そして心からの礼を告げると空を見上げる。