ついに開幕! ホーリーロード!!
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あれから一週間。ついにホーリーロード開会式の日がやってきた。その日の朝、円堂と瑞貴はサッカー棟で冬海卓と対面している。
「いいですか。ホーリーロードというのは単に中学サッカー日本一を決める大会じゃありません。少年サッカーの指導者・聖帝の選挙でもあるんです。我々が支持するのは現聖帝・イシドシュウジ様です」
「「…………」」
フィフスセクターの聖帝・イシドシュウジは、もちろん瑞貴と円堂も以前行われた聖帝選挙の様子をビデオで見ていたのでどんな人物か知っている。いや、『昔から』知っているのだ。
「彼が聖帝であり続けるためにもフィフスセクターの指示は絶対です。私も理事長も君らを見張るため、今回の試合は観戦させていただきますよ。久遠くんの二の舞でいたくなければ――君たちも逆らわないでくださいね」
ニヤリと笑った冬海はチラッと瑞貴をみた。まだトラウマがあるのか彼女が首を傾げると、ビクッと肩を震わせて部屋から出て行った。それを見届けた円堂と瑞貴は溜息わ吐く。
「一時期はサッカー部の顧問もしていたのに、本当に愛着がないんだな」
「上にペコペコする姿は相変わらずみたいだね。まあ、私たちはサッカー部を信じて戦うしかない」
「まずは一回戦だな」
二人は頷き合うと移動バスで選手たちを待つため、必要な物を持って行動を開始した。
――ホーリーロードスタジアムで選手たちが入場する中、円堂と瑞貴は離れた場所で行進を見守っていた。
《中学サッカーの頂点を決めるホーリーロード、ついに開幕!! 関東地区予選の参加チームが続々と入場しています。激戦区として知られる、ここ関東地区。勝者は全国大会優勝候補と言われています!!》
「監督とコーチは、本当に勝つつもりなんでしょうか?」
「そうだとしたら、どうかしているぞ!」
「俺の進学…俺の人生……。おしまいです…全部おしまいです……」
「監督やコーチがなんと言おうが、俺たちはフィフスセクターの指示通りにやる」
「それしかないか」
霧野と車田と速水と南沢の会話はもちろん同じ列にいる信助と天馬にも聞こえている。完全に円堂と瑞貴を敵視しており、フィフスセクターの指示が全てと言わんばかりだ。
「先輩たち、やっぱり負ける気なんだ……」
「信助、俺たちは俺たちでがんばろ。なんとかなるさ!」
「そうだね!」
選手たちがそれぞれの思惑で会話している中、瑞貴と円堂は施設内に通じる窓を見上げていた。
「あそこに『彼』が……」
「いずれ俺は、接触の機会を狙おうと考えている。まずは試合に勝つことだ」
「うん……」
二人は一回戦に集中することにして、再び選手たちに視線を移す。……その様子をフィフスセクターの聖帝・イシドシュウジに見られているなど知らずに。
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天河原中に移動して一回戦が始まる。観客席からの歓声と実況である雷門中学一年生・角馬歩の声が、グラウンドに響き渡っていた。
《ホーリーロード関東地区予選・第一戦、雷門中対天河原中!! 優勝を目指すにはまずこの一戦から! さあ昨年全国大会準優勝の雷門と、名門天河原! 栄光のロードへと駒を進めるのはどっちだ!?》
「礼!」
「「「「「よろしくお願いします!」」」」」
雷門中サッカー部と天河原中サッカー部がそれぞれ一列になって向かい合い、試合前の挨拶をしたが……。
「いやいや、初戦敗退とは気の毒なこった」
「「「「「っ!」」」」」
勝敗指示はもちろん天河原中にも伝わっている。だからこそバカにする安藤恒之の言葉に、雷門中サッカー部は顔をしかめる。その様子を見て嫌味な口調で西野空与一も同意する。
「おいおい、絡むなよ安藤。去年準優勝した雷門に勝てるんだ。機嫌よくいこうよ」
「そうだな。まっ、雷門中のみなさん。試合が盛り下がらないよう、せいぜい上手に負けてくださいよ」
「「「「「っ……!」」」」」
「安藤!」
尚もバカにする安藤にキャプテン・喜多一番が叱咤するが、彼らは物ともしないでポジションに向かった。
「メンバーの失礼を許してくれ。残念だ……君とは本気の勝負がしたかった」
彼は神童の実力を知っているかはこそ敬意を払っているんだろう。一回戦はフィフスセクターの指示が滅多にないので本気の試合ができると思ったのかもしれない。