解き放たれる太陽の化身!
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ザアアァァアアア――……。
するとまた流砂が起こった。思った以上に早く身動きが取りにくいので天馬は歯を食いしばる。
「クッ!」
「へぇ、こんな風に砂が動くのか。僕もさっき初めて知った」
「えっ?」
「なら僕は――こうするよ!」
雨宮は誰もいない所にボールを蹴り上げたと思ったが、自由になったのですぐに流砂から脱出してボールを取りに行った。そしてボールが流砂に流れる前に見事追いついてドリブルする。
《雨宮太陽! 砂の動きを利用してボールをキープ!》
(僕だって、いつか太陽の下に出るんだ! 誰にも邪魔させやしない!)
雨宮はディフェンスラインを翻弄して、狩屋に続いて霧野も天城大地も抜いて行く。そして三国と一対一となる。
(保(モ)ってくれ、僕の体! ホーリーロード優勝するその時まで!)
ゴールの前で雨宮はオーラを解き放ち、形を作って神々しい輝きを放つ四本腕の化身を出現させる。
「太陽神アポロ!」
「クッ!」
「ふっ!」
「フェンス・オブ・ガイア!」
雨宮はそのまま化身シュートを撃ち三国も対抗するが、打ち砕かれてしまった。
《ゴォ――ルッ!! 新雲学園、先取点! なんと雨宮太陽一人で得点! さすが十年の一人の天才と呼ばれる逸材だ!!》
「雨宮太陽……」
「あっという間に砂のフィールドをモノにしていたね……」
鬼道が呟く中、瑞貴は雨宮を見つめる。初めてこのフィールドの仕掛けを知ったにも関わらず、どうしたら脱出するか、どう利用すればいいか、全てを瞬時に把握してゴールしたのだ。
三国は信助を始めとするDFたちの前で、自らの両手を見つめていた。まだその手応えが残っているらしい。
「クッ! なんてパワーなんだ……!」
「三国先輩……」
「雨宮太陽は強い……。あいつを止めるには――お前たちの力が必要だ!」
一人では止められなくてもみんなで止められる可能性はある。三国の言葉にDF組は全員力強く頷いた。そして神童もまた攻撃組にかけ声をかけると、それに伴うようにみんなも返事をする。
「まだ1点だ! 取り返すぞ!」
「「「「「はい/オウッ!」」」」」
雷門のキックオフで試合再開。剣城からボールを受け取った倉間がドリブルするも――。
ザアアァァアアア――……。
砂が動き始めてしまい、今度は飲み込まれなかったが足止めされてしまう。それに加え新雲学園は雨宮を攻撃に移し、他のみんなは自陣で万全の構えを取る。
倉間、錦龍馬、浜野の順でパスを繋いで行くが、浜野が神童にパスをすると根淵にカットされてしまった。
「太陽!」
「雨宮を徹底マークだ!」
根淵が前線に走る雨宮にパスを回したため、三国はDFに指示を出すと三人掛かりで止めに行った。さすがの雨宮も抜けずにいるが、ボールは常にキープしている。
(この展開は予想していたよ!)
しかしそれは雨宮に読まれていた。新雲学園にもわかっていたのか、両サイドから根淵と真住が上がって行く。
「信助は10番をマークだ!」
「はい!」
三国の指示で信助は根淵をマークする。雨宮はなんとか隙を見つけて真住にボールを回し、真住はそのままシュートを撃つと正面だったので三国がしっかりキャッチした。
《止めた――っ!! 三国、今度はガッチリキャッチ!》
(DFをコーチングして守備を立て直すなんて……! こういう所も覚えていかなくちゃ!)
GKとしてしっかりと周りの状況を把握して指示を出す三国に、信助は憧れと尊敬の目を向けていた。
「サッカーには二人の司令塔がいる。攻撃を指揮するゲームメーカー……そして守備を統率し、チーム全体に指示を出すGK……」
「守備の要だからこそ、キーパーは『守護神』と呼ばれるの」
「あとは攻撃が機能してくれれば……!」
攻撃と守備――それぞれの司令塔がチームのバランスを取っているので、どちらも必要不可欠な存在なのだ。鬼道と瑞貴の言葉に春奈は頷くと、次のステップになかなか進めていないのをわかっていた。