解き放たれる太陽の化身!
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すると遅れて入場して来たのは新雲学園のユニフォームを着た選手だった。砂の感触を調べていた天馬は顔を向けるとうしろ姿しか見えないが、佐田たちが嬉しそうな表情でその人物を受け入れる。
「おっ、来たのか! 試合、出られるんだな?」
「ああ。大丈夫」
「そうか。お前がいれば、勝ちはより確実になったぜ。――太陽!」
「太陽……?」
「ん?」
聞き覚えのある名前に天馬と瑞貴は目をパチクリすると、背を向けていた選手がこちらに振り向いた。なんと最近まで入院していたはずの雨宮太陽だ。
「太陽くん!」
「えっ!? 瑞貴さん、太陽を知っているんですか!?」
「親友の紹介でね。でもまさか、太陽くんが新雲学園の生徒だったなんて知らなかったけど……」
「けど、太陽は……」
『太陽くん……小さい頃から病気で、本当は激しい運動を禁じられているの。だからサッカーは……』
「サッカーしちゃいけないんじゃ……?」
「病気のことは聞いていたけど、完治したわけじゃなさそうだし……」
天馬と瑞貴は雨宮の担当看護師だった久遠冬花から事情を聞いている。しかし彼はユニフォームを着てここにいることに、二人は不思議そうに顔を見合わせた。
しかし反対に、雨宮のことを知らない霧野は春奈に尋ねる。
「音無先生、あの選手は?」
「雨宮太陽くん、一年。ここまでホーリーロードの出場はないわ」
「『雨宮』……どこかで聞いたような……?」
「待って。他に情報がないか調べてみる」
彼の名前に神童が何か引っかかっていると、春奈はパソコンを起動して雨宮のことを調べてみる。その間に選手たちはピッチに入ってウォーミングアップを始めた。
《ホーリーロード準決勝・雷門中対新雲学園!! 全員サッカーで苦しみながらも勝ち抜いてきた、鬼道監督率いる雷門! 対象的に攻撃守備共に充実危なげなく勝ち上がって来た、狩部監督率いる新雲学園! 決勝に駒を進めるのはどちらのチームか!?》
「ふっ!」
「あっ」
パス練の中で雨宮が頷くと了承した佐田が天馬に向かってボールを高く蹴った。反射的にジャンプして取ろうとした天馬だが、それより先に飛び込んで来たのが雨宮だった。彼は佐田にボールを返すと、天馬と向き合う。
「やあ、天馬」
「太陽。君、サッカーしちゃいけないんじゃ……?」
「聞いちゃったんだ……。そうだよ。僕の体はサッカーみたいな激しいスポーツには耐えられない。でもね、サッカーが好きなんだ。だから隠れて練習をしていた……うまくなっていくのが嬉しかった。でも、病気が悪化して医者にサッカーを止められてしまったんだ」
隙を見つけてはコッソリとボールを蹴っていた。そのせいで病気が悪化しても、雨宮がサッカーを嫌いになるなんてことはなかった。
「そんなとき見たんだ。雷門のサッカーを――君のプレーを。僕の中にサッカーへの想いが溢れて、もう止めることができなかった! あんな衝撃を受けたのは人生で二度目だったよ」
「二度目……?」
「一度目は、十年前のイナズマジャパン――瑞貴さんのプレーさ。『女子だから』だけじゃない、あの人のプレーから目を離すことができなかった。病院で偶然冬花さんと話しているのを見て、僕は会わせてもらえるように頼んだんだ」
今まで何度か会っていた冬花から頼まれ、雨宮と会ったのが帝国学園戦後だったのだ。それからも瑞貴が会えるときに話してたりしたが、その時間もまた雨宮にとってはサッカーをするのと同じくらい楽しかった。
「僕は雷門に勝つ。勝って優勝するんだ。その夢を手にするためなら、病気だってなんだって跳ね返してみせる!」
「そんなにまで俺たちと……! でも、俺は負けるわけにはいかない!」
その熱意が伝わった天馬は真剣に返した。それもまた、雨宮にとって望む所でもあり楽しみでもあるのだった。
今回も正GKは三国太一に決まり信助はDFに回ることになった。試合まで信助が何度も特訓に励んでいた葵は少し残念そうに信助に話しかける。
「残念だったね、信助。あんなにがんばったのにキーパーじゃなくて……」
「当然だよ。僕、まだまだだもん。キーパーとして覚えなければいけないこと、たくさんあるし。でもね、僕、三国先輩と約束したんだ。――必ず三国先輩に追いついてみせるって!」
今の信助にとって三国もまた目標になっていた。そのためにも彼の後継者になれるように、雷門のゴールを守れるように励むつもりだ。
「おっ、来たのか! 試合、出られるんだな?」
「ああ。大丈夫」
「そうか。お前がいれば、勝ちはより確実になったぜ。――太陽!」
「太陽……?」
「ん?」
聞き覚えのある名前に天馬と瑞貴は目をパチクリすると、背を向けていた選手がこちらに振り向いた。なんと最近まで入院していたはずの雨宮太陽だ。
「太陽くん!」
「えっ!? 瑞貴さん、太陽を知っているんですか!?」
「親友の紹介でね。でもまさか、太陽くんが新雲学園の生徒だったなんて知らなかったけど……」
「けど、太陽は……」
『太陽くん……小さい頃から病気で、本当は激しい運動を禁じられているの。だからサッカーは……』
「サッカーしちゃいけないんじゃ……?」
「病気のことは聞いていたけど、完治したわけじゃなさそうだし……」
天馬と瑞貴は雨宮の担当看護師だった久遠冬花から事情を聞いている。しかし彼はユニフォームを着てここにいることに、二人は不思議そうに顔を見合わせた。
しかし反対に、雨宮のことを知らない霧野は春奈に尋ねる。
「音無先生、あの選手は?」
「雨宮太陽くん、一年。ここまでホーリーロードの出場はないわ」
「『雨宮』……どこかで聞いたような……?」
「待って。他に情報がないか調べてみる」
彼の名前に神童が何か引っかかっていると、春奈はパソコンを起動して雨宮のことを調べてみる。その間に選手たちはピッチに入ってウォーミングアップを始めた。
《ホーリーロード準決勝・雷門中対新雲学園!! 全員サッカーで苦しみながらも勝ち抜いてきた、鬼道監督率いる雷門! 対象的に攻撃守備共に充実危なげなく勝ち上がって来た、狩部監督率いる新雲学園! 決勝に駒を進めるのはどちらのチームか!?》
「ふっ!」
「あっ」
パス練の中で雨宮が頷くと了承した佐田が天馬に向かってボールを高く蹴った。反射的にジャンプして取ろうとした天馬だが、それより先に飛び込んで来たのが雨宮だった。彼は佐田にボールを返すと、天馬と向き合う。
「やあ、天馬」
「太陽。君、サッカーしちゃいけないんじゃ……?」
「聞いちゃったんだ……。そうだよ。僕の体はサッカーみたいな激しいスポーツには耐えられない。でもね、サッカーが好きなんだ。だから隠れて練習をしていた……うまくなっていくのが嬉しかった。でも、病気が悪化して医者にサッカーを止められてしまったんだ」
隙を見つけてはコッソリとボールを蹴っていた。そのせいで病気が悪化しても、雨宮がサッカーを嫌いになるなんてことはなかった。
「そんなとき見たんだ。雷門のサッカーを――君のプレーを。僕の中にサッカーへの想いが溢れて、もう止めることができなかった! あんな衝撃を受けたのは人生で二度目だったよ」
「二度目……?」
「一度目は、十年前のイナズマジャパン――瑞貴さんのプレーさ。『女子だから』だけじゃない、あの人のプレーから目を離すことができなかった。病院で偶然冬花さんと話しているのを見て、僕は会わせてもらえるように頼んだんだ」
今まで何度か会っていた冬花から頼まれ、雨宮と会ったのが帝国学園戦後だったのだ。それからも瑞貴が会えるときに話してたりしたが、その時間もまた雨宮にとってはサッカーをするのと同じくらい楽しかった。
「僕は雷門に勝つ。勝って優勝するんだ。その夢を手にするためなら、病気だってなんだって跳ね返してみせる!」
「そんなにまで俺たちと……! でも、俺は負けるわけにはいかない!」
その熱意が伝わった天馬は真剣に返した。それもまた、雨宮にとって望む所でもあり楽しみでもあるのだった。
今回も正GKは三国太一に決まり信助はDFに回ることになった。試合まで信助が何度も特訓に励んでいた葵は少し残念そうに信助に話しかける。
「残念だったね、信助。あんなにがんばったのにキーパーじゃなくて……」
「当然だよ。僕、まだまだだもん。キーパーとして覚えなければいけないこと、たくさんあるし。でもね、僕、三国先輩と約束したんだ。――必ず三国先輩に追いついてみせるって!」
今の信助にとって三国もまた目標になっていた。そのためにも彼の後継者になれるように、雷門のゴールを守れるように励むつもりだ。