硝子細工の天才
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休憩がてらベンチに移動した信助と立向居。名前を名乗らなかったので信助は彼の正体がわからないが、GKをしていると聞いた。
「あなたもGKなんですね」
「ああ。懐かしいな……俺もあのマシンで特訓したよ。円堂さんを目指してね」
「えっ! 円堂監督と知り合いなんですか!?」
「ああ。あの人の大きさ…強さ…そして優しさ……全てが俺の目標だった」
「でも、僕には遠過ぎます……」
「そうだな。あの人は遠い――でも、だからこそ目標にする意味があるんじゃないか?」
「…………?」
彼の言っている意味がわからなくて、信助はキョトンとした。
「俺のボールを受けてみないか?」
「えっ?」
「嫌かい?」
「いえ! お願いします!」
近しいモノを感じたのか、申し出たのは立向居なのに信助自身も頼むのだった。
「準備はいいかい?」
「はい!」
立向居が最初に狙ったのはゴールの右端。それを信助は追って正面になるも、ボールごとゴールに入れられてしまった。
「いい反応だ」
「全然ダメです……こんなんじゃ……」
「でも君は、ボールを正面で捉えた。ちゃんと反応で来てる証拠だよ。もう一度やってみよう」
「はい!」
続いて立向居は左端に狙ってシュートを撃った。今度は正面までにいかないものの、信助は横っとびジャンプして思いっきり手を伸ばした。しかし手に弾くだけで止められない。
「クッ! ダメか……!」
「スゴいじゃないか!」
「えっ?」
「ボールを見る目、瞬発力、そして身のこなしの軽さ。確かに君にはGKの素質があるよ!」
「本当ですか!?」
素質自体もないと思っていた信助だが、立向居に褒められたことで少し自信がついたようだ。
「いくぞ!」
さらに蹴ったシュートを、信助はなんと真正面で捉えただけでなくガッチリキャッチすることができたのだ。
「やった!」
「よし! もう一度!」
「はい!」
それからも何度も何度も練習をしていた。取れたり取れなかったりしているが、いつの間にか弱音を吐くことなく夢中でボールを追いかける信助。そして観客席の陰で、瑞貴と春奈もコッソリ練習の様子を見ていた。
「まさか勇気を呼んでいるとは思わなかったよ」
「すみません。瑞貴先輩もGKをやってたのに、円堂監督がいない今、思いついたのが彼だったので……」
「全然。気にすることなんてないって。それに、思い立って実際に行動しても継続するのは難しい……そんなとき経験者の言葉が効きやすいんだよ」
さすがに体力の限界が来たのか、信助はゴールポストを背にして座り肩で息をする。そんな彼に立向居はドリンクを渡した。
「ありがとうございます……!」
「どうだい? 見えてきたかい?」
「何がですか?」
立向居も信助の隣に座り込み、ゴールからフィールドへ目を映した。
「GKは他のプレーヤーと違う……。味方と敵と、フィールドの全部を自分に取り込まなくちゃならない」
「キーパーって大変なんですね……」
「俺たちGKが活躍するのは、いつだってピンチのときだ」
「はい」
それは信助もわかる。DFが突破されたとき、三国は最後の砦として守ってくれた。しかし時には点を取られることもある。GKの行動が得点を左右していると言っても過言ではない。
「でも楽しいよ」
「楽しい?」
「チームのためにたった一人でゴールを守るなんて最高だと思わないかい!? 最後はストライカーと一騎撃ちだ!」
立ち上がって両手を前に突き出す立向居。そしてGKに転向してから幾度も受けていた両手を見つめる。
「そして、敵と味方……フィールドにいるみんなの思いがこもったボールを、この手で受け止めるんだ!」
「思いのこもったボール……」
「やりがいのあるポジションだと俺は思うな」
「はい! あの、練習もう少し見てもらっていいですか?」
「ああ!」
「ありがとうございます!」
立向居の言葉を聞いてかなり前向きに思えるようになった信助。瑞貴と春奈は顔を見合わせて微笑むのだった。
「あなたもGKなんですね」
「ああ。懐かしいな……俺もあのマシンで特訓したよ。円堂さんを目指してね」
「えっ! 円堂監督と知り合いなんですか!?」
「ああ。あの人の大きさ…強さ…そして優しさ……全てが俺の目標だった」
「でも、僕には遠過ぎます……」
「そうだな。あの人は遠い――でも、だからこそ目標にする意味があるんじゃないか?」
「…………?」
彼の言っている意味がわからなくて、信助はキョトンとした。
「俺のボールを受けてみないか?」
「えっ?」
「嫌かい?」
「いえ! お願いします!」
近しいモノを感じたのか、申し出たのは立向居なのに信助自身も頼むのだった。
「準備はいいかい?」
「はい!」
立向居が最初に狙ったのはゴールの右端。それを信助は追って正面になるも、ボールごとゴールに入れられてしまった。
「いい反応だ」
「全然ダメです……こんなんじゃ……」
「でも君は、ボールを正面で捉えた。ちゃんと反応で来てる証拠だよ。もう一度やってみよう」
「はい!」
続いて立向居は左端に狙ってシュートを撃った。今度は正面までにいかないものの、信助は横っとびジャンプして思いっきり手を伸ばした。しかし手に弾くだけで止められない。
「クッ! ダメか……!」
「スゴいじゃないか!」
「えっ?」
「ボールを見る目、瞬発力、そして身のこなしの軽さ。確かに君にはGKの素質があるよ!」
「本当ですか!?」
素質自体もないと思っていた信助だが、立向居に褒められたことで少し自信がついたようだ。
「いくぞ!」
さらに蹴ったシュートを、信助はなんと真正面で捉えただけでなくガッチリキャッチすることができたのだ。
「やった!」
「よし! もう一度!」
「はい!」
それからも何度も何度も練習をしていた。取れたり取れなかったりしているが、いつの間にか弱音を吐くことなく夢中でボールを追いかける信助。そして観客席の陰で、瑞貴と春奈もコッソリ練習の様子を見ていた。
「まさか勇気を呼んでいるとは思わなかったよ」
「すみません。瑞貴先輩もGKをやってたのに、円堂監督がいない今、思いついたのが彼だったので……」
「全然。気にすることなんてないって。それに、思い立って実際に行動しても継続するのは難しい……そんなとき経験者の言葉が効きやすいんだよ」
さすがに体力の限界が来たのか、信助はゴールポストを背にして座り肩で息をする。そんな彼に立向居はドリンクを渡した。
「ありがとうございます……!」
「どうだい? 見えてきたかい?」
「何がですか?」
立向居も信助の隣に座り込み、ゴールからフィールドへ目を映した。
「GKは他のプレーヤーと違う……。味方と敵と、フィールドの全部を自分に取り込まなくちゃならない」
「キーパーって大変なんですね……」
「俺たちGKが活躍するのは、いつだってピンチのときだ」
「はい」
それは信助もわかる。DFが突破されたとき、三国は最後の砦として守ってくれた。しかし時には点を取られることもある。GKの行動が得点を左右していると言っても過言ではない。
「でも楽しいよ」
「楽しい?」
「チームのためにたった一人でゴールを守るなんて最高だと思わないかい!? 最後はストライカーと一騎撃ちだ!」
立ち上がって両手を前に突き出す立向居。そしてGKに転向してから幾度も受けていた両手を見つめる。
「そして、敵と味方……フィールドにいるみんなの思いがこもったボールを、この手で受け止めるんだ!」
「思いのこもったボール……」
「やりがいのあるポジションだと俺は思うな」
「はい! あの、練習もう少し見てもらっていいですか?」
「ああ!」
「ありがとうございます!」
立向居の言葉を聞いてかなり前向きに思えるようになった信助。瑞貴と春奈は顔を見合わせて微笑むのだった。