硝子細工の天才
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――彼女は信助を誘ってサッカー棟に入ると、屋内グラウンドに通じる扉から出て来たのは瑞貴だった。
「おっ、ちょうどよかった」
「瑞貴さん!?」
「瑞貴先輩、どうでしたか?」
「全然OKだよ。メンテナンスが今もちゃんとしてあるおかげで、問題なく使用できる」
「ありがとうございます!」
「あの……なんのことですか?」
「「それは見てのお楽しみ!」」
ウィンクをする瑞貴と春奈を見て、信助はますます首を傾げるのだった。
そして二人に続いて屋内グラウンドに入ると、その中央に懐かしのガトリング式の特訓マシンがあった。
「これは……!?」
「GK用の練習マシンだよ。いろんなシュートを撃ち出せるようになってるの」
「これがあれば一人でキーパーの特訓ができるわ」
「はい……」
まだ決断もできていない状態なので、複雑そうな顔をする信助を見て、瑞貴はさらに言葉を続ける。
「実を言うと、これ守が雷門中の選手だったときに使ってたの」
「えっ!? 円堂監督が!?」
「年代物だけど、試してみる?」
「っ、もちろんです!」
憧れの円堂守がやっていた特訓を自分もできることの喜びなのか、今度は迷いもなくそう答えた。
「君を見てるとあの頃のことを思い出すわ。壁にぶつかったり悩んだり、でもみんなガムシャラに練習して、それを乗り越えて行った……」
そんな信助に春奈は特訓マシンを見ながら昔を懐かしむ。しかし、それはまるで昨日のことのように思い出せるほど色鮮やかな日々だ。
「いけない! 練習を始めなきゃね!」
「はい!」
信助がGK用のグローブを取り付けて瑞貴に操作の説明をしてもらった。そんな彼女を見て、信助はふと思い出したように尋ねる。
「あの、瑞貴さんってオールプレーヤーって聞きましたが……もしかしてGKもやってたんですか?」
「うん、そうだよ。といっても、公式戦で出たのはたった一回だったけどね」
「どうして全部のポジションをやろうと?」
「うーん……雷門中に来る前は、ほとんど一人でサッカーやってたせいもあるからね。でも、親友がマネージャーをやってくれたから、一人って言い難いけど」
部活は辞めても『サッカーが好き』と気持ちはなくならず、一度ボールを蹴れば夢中になっていた。遊び半分もあったがいろんなポジションを経験することに損はないと思っていた。
「当時の雷門中サッカー部は、守以外にGKの経験者がいなかった……。だから最初は『経験のある私がやらなきゃ!』って思ったけど、特訓するに連れて『私がやりたい!』って思えるようになったの」
「それで、GKの練習を……」
「うん。フィールドプレーヤーとしての瞬発力を生かしたり、逆にGKとしての判断力を生かしたり……違うポジションでも、経験したことが全てムダというわけじゃないって気づいたよ。――だから、信助のDFとしての経験が生かされると思う」
「…………」
まだ実感が湧かないのか、両手を見つめてグーパーする信助に、瑞貴はポンッと頭に手を乗せる。
「私たちがいないほうが伸び伸びできるでしょ。今回はお試しということでやってみて」
「はい!」
瑞貴は春奈と共にグラウンドを去り、信助はさっそくゴールの前に立った。
同時刻――雷門中の校門の前に、とある男性がやって来た。彼は雷門中の看板を見て懐かしそうに言う。
「ここに来るのも久しぶりだな」
「おっ、ちょうどよかった」
「瑞貴さん!?」
「瑞貴先輩、どうでしたか?」
「全然OKだよ。メンテナンスが今もちゃんとしてあるおかげで、問題なく使用できる」
「ありがとうございます!」
「あの……なんのことですか?」
「「それは見てのお楽しみ!」」
ウィンクをする瑞貴と春奈を見て、信助はますます首を傾げるのだった。
そして二人に続いて屋内グラウンドに入ると、その中央に懐かしのガトリング式の特訓マシンがあった。
「これは……!?」
「GK用の練習マシンだよ。いろんなシュートを撃ち出せるようになってるの」
「これがあれば一人でキーパーの特訓ができるわ」
「はい……」
まだ決断もできていない状態なので、複雑そうな顔をする信助を見て、瑞貴はさらに言葉を続ける。
「実を言うと、これ守が雷門中の選手だったときに使ってたの」
「えっ!? 円堂監督が!?」
「年代物だけど、試してみる?」
「っ、もちろんです!」
憧れの円堂守がやっていた特訓を自分もできることの喜びなのか、今度は迷いもなくそう答えた。
「君を見てるとあの頃のことを思い出すわ。壁にぶつかったり悩んだり、でもみんなガムシャラに練習して、それを乗り越えて行った……」
そんな信助に春奈は特訓マシンを見ながら昔を懐かしむ。しかし、それはまるで昨日のことのように思い出せるほど色鮮やかな日々だ。
「いけない! 練習を始めなきゃね!」
「はい!」
信助がGK用のグローブを取り付けて瑞貴に操作の説明をしてもらった。そんな彼女を見て、信助はふと思い出したように尋ねる。
「あの、瑞貴さんってオールプレーヤーって聞きましたが……もしかしてGKもやってたんですか?」
「うん、そうだよ。といっても、公式戦で出たのはたった一回だったけどね」
「どうして全部のポジションをやろうと?」
「うーん……雷門中に来る前は、ほとんど一人でサッカーやってたせいもあるからね。でも、親友がマネージャーをやってくれたから、一人って言い難いけど」
部活は辞めても『サッカーが好き』と気持ちはなくならず、一度ボールを蹴れば夢中になっていた。遊び半分もあったがいろんなポジションを経験することに損はないと思っていた。
「当時の雷門中サッカー部は、守以外にGKの経験者がいなかった……。だから最初は『経験のある私がやらなきゃ!』って思ったけど、特訓するに連れて『私がやりたい!』って思えるようになったの」
「それで、GKの練習を……」
「うん。フィールドプレーヤーとしての瞬発力を生かしたり、逆にGKとしての判断力を生かしたり……違うポジションでも、経験したことが全てムダというわけじゃないって気づいたよ。――だから、信助のDFとしての経験が生かされると思う」
「…………」
まだ実感が湧かないのか、両手を見つめてグーパーする信助に、瑞貴はポンッと頭に手を乗せる。
「私たちがいないほうが伸び伸びできるでしょ。今回はお試しということでやってみて」
「はい!」
瑞貴は春奈と共にグラウンドを去り、信助はさっそくゴールの前に立った。
同時刻――雷門中の校門の前に、とある男性がやって来た。彼は雷門中の看板を見て懐かしそうに言う。
「ここに来るのも久しぶりだな」