運命の再会
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――イシドの車で鉄塔広場に移動したときは、夕方になりかけていた。剣城がイシドとこうして会話するのは帝国戦の前以来だが、今とは別の緊張感がある。
イシドは稲妻町を眺めて剣城から背を向けているが、それでも構わず剣城は疑問を晴らすために言葉を紡ぐ。
「俺には松風の言うこともわかる。だから敢えて聞きます。ひったくりを倒したシュート……松風とは別の意味で衝撃を受けました」
「…………」
「あのシュートスタイルを過去に見たことがあります。あれは俺と兄さんが憧れたモノ……あなたは豪炎寺修也! 違いますか?」
「…………」
何も答えないイシドだが、剣城は兄・剣城優一と共に長年憧れて何度も彼の試合を見ていたし研究もしていた。だからこそ、十年以上の友人である瑞貴たちとは別の見方で気づいたのだ。
「あなたが豪炎寺さんなら円堂監督と瑞貴さんと親友ですよね。やっとわかったんです! あなたの本当の目的が!」
「……そうか。だからどうした」
「恐らく瑞貴さんは気づいていると思いますが、どうして松風に話さないんですか?」
「まだそのときではない。話せばこれまでやってきたことが壊れてしまう」
「!」
イシド自身の立場もそうだが、素直な天馬だからこそ真相を知れば本当の力を引き出せなくなってしまうかもしれない。『知るために戦う』のと『知りながら戦う』とは、力の出し方も意味も違う。
それに気づいた剣城は天馬には確かに今のままがいいと思った。――しかし真実を知った自分だからこそ、やれることがあるとも。
「……確かに、このままのほうがいいかもしれません。では、俺からお願いがあります」
「…………」
初めて剣城のほうを見たイシドは、彼が真剣な表情を向けていることに気づいた。
☆☆☆☆☆
同時刻――雷門中へ戻って来た瑞貴は鬼道と共に対新雲学園のための練習メニューを作っていた。すると鬼道は瑞貴の表情が晴れやかなものだと気づく。
「何かいいことがあったのか?」
「ん?」
「顔がニヤけている」
「えっ!? 嘘っ!?」
「嘘だ」
慌てて両手で赤くなった頬を押さえた瑞貴だが、それが鬼道の冗談だとわかるとガクッと肩を落とす。対して鬼道はニヤリと笑っていた。
「で、そのニヤけた顔の原因はなんだ? 円堂から連絡でもあったのか?」
「さっき嘘だって言ったくせに……。ううん、守からは何も。でもね、雷門中(ココ)に来る前に聖帝に会ったの」
「っ! あいつに?」
瑞貴は鬼道に河川敷で起こったこと、天馬とイシドの会話を伝えた。それを聞いた鬼道はどこかホッとした表情をする。
「なるほどな……ということは、やはり学校潰しはイシドシュウジの指示ではなかったということか」
「うん。彼が聖帝になって私は今まで直接対面したことはなかったけど……彼のサッカーへの思いは何も変わっていなかった。本当に」
何もかもとは言わないが、イシドの意図がなんとなくでもわかっただけで、目を閉じるだけで昔の日々が甦って来るようだ。あの頃のようにサッカーをする日々が、また戻って来るとどこか確信もしていた。
イシドは稲妻町を眺めて剣城から背を向けているが、それでも構わず剣城は疑問を晴らすために言葉を紡ぐ。
「俺には松風の言うこともわかる。だから敢えて聞きます。ひったくりを倒したシュート……松風とは別の意味で衝撃を受けました」
「…………」
「あのシュートスタイルを過去に見たことがあります。あれは俺と兄さんが憧れたモノ……あなたは豪炎寺修也! 違いますか?」
「…………」
何も答えないイシドだが、剣城は兄・剣城優一と共に長年憧れて何度も彼の試合を見ていたし研究もしていた。だからこそ、十年以上の友人である瑞貴たちとは別の見方で気づいたのだ。
「あなたが豪炎寺さんなら円堂監督と瑞貴さんと親友ですよね。やっとわかったんです! あなたの本当の目的が!」
「……そうか。だからどうした」
「恐らく瑞貴さんは気づいていると思いますが、どうして松風に話さないんですか?」
「まだそのときではない。話せばこれまでやってきたことが壊れてしまう」
「!」
イシド自身の立場もそうだが、素直な天馬だからこそ真相を知れば本当の力を引き出せなくなってしまうかもしれない。『知るために戦う』のと『知りながら戦う』とは、力の出し方も意味も違う。
それに気づいた剣城は天馬には確かに今のままがいいと思った。――しかし真実を知った自分だからこそ、やれることがあるとも。
「……確かに、このままのほうがいいかもしれません。では、俺からお願いがあります」
「…………」
初めて剣城のほうを見たイシドは、彼が真剣な表情を向けていることに気づいた。
☆☆☆☆☆
同時刻――雷門中へ戻って来た瑞貴は鬼道と共に対新雲学園のための練習メニューを作っていた。すると鬼道は瑞貴の表情が晴れやかなものだと気づく。
「何かいいことがあったのか?」
「ん?」
「顔がニヤけている」
「えっ!? 嘘っ!?」
「嘘だ」
慌てて両手で赤くなった頬を押さえた瑞貴だが、それが鬼道の冗談だとわかるとガクッと肩を落とす。対して鬼道はニヤリと笑っていた。
「で、そのニヤけた顔の原因はなんだ? 円堂から連絡でもあったのか?」
「さっき嘘だって言ったくせに……。ううん、守からは何も。でもね、雷門中(ココ)に来る前に聖帝に会ったの」
「っ! あいつに?」
瑞貴は鬼道に河川敷で起こったこと、天馬とイシドの会話を伝えた。それを聞いた鬼道はどこかホッとした表情をする。
「なるほどな……ということは、やはり学校潰しはイシドシュウジの指示ではなかったということか」
「うん。彼が聖帝になって私は今まで直接対面したことはなかったけど……彼のサッカーへの思いは何も変わっていなかった。本当に」
何もかもとは言わないが、イシドの意図がなんとなくでもわかっただけで、目を閉じるだけで昔の日々が甦って来るようだ。あの頃のようにサッカーをする日々が、また戻って来るとどこか確信もしていた。