運命の再会
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シュバンッ!
「「!」」
男にさっきまで天馬が持っていたボールがぶつかったのだ。撃った方向を見ればイシドがシュートしたようで、その姿に天馬は過去に自分を助けてくれた人物の姿と重なる。
「そんな……!」
そしてひったくり犯は居合わせた警官を見て慌てて自転車に乗って逃げて行った。瑞貴もとりあえず女性に手を差し出す。
「ありがとうございます」
「いえ、怪我はありませんか?」
「はい。ありがとう、大丈夫?」
「はい……」
女性は瑞貴に礼を言って次に天馬に礼を言う。天馬はバッグを渡しながらも目線はイシドを見ていたが、女性は再度二人に「ありがとう」と礼を言った。
(まさか……あなたは……!)
「?」
信じられないように瞳を揺らす天馬を見て、瑞貴は首を傾げて天馬とイシドを交互に見る。天馬は確かにイシドを見る目が変わっているのだ。
女性は事情聴取のために警察官と共に行き、天馬と瑞貴は再びグラウンドへ降りてイシドと対面する。
「あなたなんですね。俺をあの海辺の資材置き場で助けてくれたのは……!」
「…………」
天馬は十年前に沖縄にいた頃、幼いサスケを助けるために資材置き場へ向かった。しかしその衝撃で木材が次々倒れていき、思わず動けない天馬をサッカーボールで救ったのだ。
フードを被っていたのでハッキリと誰かはわからなかったが、天馬は彼が蹴った稲妻マーク入りのボールを宝物にしている。その恩人が今、敵として目の前にいるのだ。
「あれから俺、サッカー始めたんです! あなたが残したボールを見て、雷門中でサッカーするのが夢でした! なんでサッカーをこんな風に……あなたは、誰よりもサッカーが好きなんですよね!? 俺にはわかります!」
「……だからこそ私はサッカーを管理すると決めた。サッカーを守るために管理しているのだ」
「管理することが、どうして守ることになるんですか!? あのときのボールだって、今のボールだって、サッカーが好きな人じゃ撃てないはずです! それなのに、なんで……!」
「答えを知りたければ……――ホーリーロードを勝ち抜いていくことだ」
「!」
「どういう意味なんですか……?」
イシドの言葉に瑞貴は目を見開いたが、天馬はその意図がわからなかった。そしてイシドもまた答えずにその場を去って行くので、瑞貴は彼と擦れ違いざまに小さくもハッキリと言う。
「助けてくれて、ありがとう」
「…………!」
まさか礼を言われると思っていなかったのか、イシドは微かに反応した。しかしそれも一瞬のことですぐにグラウンドを去って行くのだった。