運命の再会
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駅から降りた瑞貴は雷門中へ向かおうとすると、窓の外の河川敷のグラウンドでボールを持った天馬がいることに気づいた。この時間帯は部活のはずなのにおかしいと思い、駅を出て彼の元へ向かう。
「てーんま!」
「あっ、瑞貴さん……」
「サボリ……ってわけでもなさそうだね。どうしたの?」
「実は――」
天馬はゆっくりとした口調でも瑞貴に話した。――ただサッカーが好きだからサッカーをやってきた。しかしそのせいで廃校になったり、中学サッカー界の未来を背負うことになって、モヤモヤした気持ちになったから雷門中から飛び出して来たと。
「そっか。他の学校のこと、天馬たちも聞いたんだね」
「はい……。信助や先輩たちは前向きに考えているのに、俺は勝つことが怖くなってきました……」
「なんだか逆だね」
「えっ?」
「最初は拓人くんたちが勝利することが怖かったのに、今じゃ天馬が怖がっているんだもの」
「そうか……あのときキャプテンたちはこんな気持ちだったんだ……」
勝ちたいけど勝てない、やりたいけどやれない、自分の行動で周りに迷惑をかけてしまうのではないか……理想と現実が違うことに葛藤する気持ちを天馬は味わって、当時の先輩たちの気持ちに気づいた。
「私と……――ううん、私たちと同じだね」
「同じ……ですか?」
「私も守も、ただ最初は自由なサッカーを取り戻したいって思ってたの。本気のプレーでホーリーロードを勝ち進めば、自然と周りも同じことを思ってくれるって。それがすでに革命を起こす行動だって、レジスタンスに行ったとき初めて知ったよ」
「あっ! それ、円堂監督も同じことを言ってました」
レジスタンスの存在を知ったあと、同じようにこのグラウンドで円堂は天馬にこう言った。
『俺も瑞貴も、ただ本当のサッカーを取り戻したくてやってきただ。それがこんな大きなことになってるとはな』
「お二人は本当に似ていますね」
「ありゃ、私は守と天馬が似ていると思っているけどね」
「それを言うなら、俺は円堂監督に瑞貴さんみたいって言われましたよ」
今は円堂がどこで何をしているかわからないが、瑞貴や天馬だけでなく雷門の心の支えになっていたのは確かだ。それで鬼道が新監督になったときは、かなり戸惑ったものである。
お互い明るい話をして少しだけスッキリしたせいか、表情が柔らかくなった。すると天馬は思い出したように言う。
「あっ。それで、ここに来たら高校生くらいのお姉さんが『会わせたい人がいる』って言われたんで……」
「天馬の知ってる人?」
「いえ。でも、向こうは俺のことを知っていました。名前は確か『ユウカ』って……」
「っ! ユウカ……!?」
瑞貴は天馬の口から告げた名前に目を見開いた。その様子に天馬はキョトンとして問いかける。
「瑞貴さん、知っているんですか?」
「いや、同じ名前かもしれないけど。でも、もし私が知っている子と同一人物だったら――」
コツ――。
「「!」」
靴音が聞こえて二人は階段の上を見ると、赤いスーツを着た男が現れた。しかしその男は天馬もホーリーロードの全国大会開会式で見たことがある。フィフスセクターの聖帝・イシドシュウジ。
「あ、あなたは……! イシドシュウジ……!」
(っ、修也……!)
そしてその正体は瑞貴がよく知る男でもある。実際にこうして対面していると落ち着いていられず、胸に手を当てた拳をギュッと握った。