謎の敵! 幻影学園!!
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「あのときからか? 円堂さんのことを大切な人だって自覚してたの」
「いや、一人の男性って自覚したのはずいぶんあとのことだよ。……でも、大切な人だってことは当たっている。守は恩人だからね」
……トリップする前、瑞貴は選手が男子しかいないサッカー部に入部した。女子ということで与えられた試験もクリアし、マネージャーになった幼馴染であり親友とサッカー部のみんなと一緒に楽しく過ごせる、そう思っていた。
しかしある試合に出て瑞貴のいじめが始まった。それは自分の采配を相手チームにバカにされた、サッカー部の監督が流した噂からだったが、その一件で瑞貴に対する不満が爆発したように、サッカー部のメンバーそろって瑞貴をいじめだした。
「それに伴ってクラスのみんなも便乗して、あることないこと言われて辛かった……。サッカー部を辞めてしまうくらいにね……たった一人だけ、親友を除いて」
彼女は瑞貴のために誤解を解かし、犯人が監督であることも突き止めてくれた。それを機に瑞貴へのいじめはなくなり『サッカー部に戻って来ないか』と言われたが、行く気にはなれなかった。
「そんな目にあったのに、よくサッカーに戻ったな」
「サッカー自体は一人でやっていたけど、仲間を作ってやることはなかったの。こっちの世界に来てサッカー部に入れたのは、守のおかげだよ。あんなあきらめの悪い人……見たことがなかったからね」
当時無敵の帝国学園が練習相手に申し込んで来たとき、円堂は人数をそろえるために学校を駆け回り、それだけじゃなく自分の特訓も欠かさなかった。
どんなときでも仲間を見捨てず…絶体絶命のときでもあきらめない……そんな円堂に瑞貴は感化されて、心からサッカーを楽しむことができたのだ。
「もちろん、征矢のおかげでもあるよ」
「俺?」
「征矢、有人、春奈ちゃん……守だけじゃなくみんながいたから、私はサッカーを続けていける。仲間がいるってことほど、これ以上に心強いことは他にないからね」
「そうか……」
(その中には、修也もいるんだけどね……)
今じゃイシドシュウジと名乗る彼が、どうして管理サッカーの聖帝の座にいるのかわからなかった。仮説はいろいろあるが、きっと円堂たちが調査の結果を出してくれるだろう。
「はい、お待ち」
すると飛鷹はラーメンだけでなく餃子も瑞貴の前に出す。自分が頼んだのはラーメンだけだったので瑞貴は目を見開いた。
「征矢。私、餃子は頼んでないよ?」
「サービスだ。確かにお前はあの頃と違って今の選手と同じポジションでいられない。だけど、コーチとして監督補佐としてできることもたくさんある。まずはそこからだろ。サッカーも基礎をなくしては実力が出せないさ」
「うん……そうだね! ありがとう!」
飛鷹に向けて微笑んだ瑞貴は、熱々の餃子をさっそくひと口かじった。その姿に飛鷹はつい微笑んでしまう。――かつて好きだった女性が大切な人と結ばれて、サッカーを続けることで、とても幸せな姿をしているからだ。
☆☆☆☆☆
翌日。フィフスセクターから次の対戦相手の連絡が来たので、瑞貴は鬼道有人と音無春奈と共にデータを整理し、ミーティングルームへ向かう。
「次の相手はかなり厄介だな……」
「そうだね。フィフスセクターの指示に従っているとはいえ、選手たちの力は強力だもの。こっちも対策を考えなきゃ。ねっ、春奈ちゃ――……ん?」
鬼道に次いで瑞貴は春奈に顔を向けると、彼女はなんだか嬉しそうな顔をしていた。
「春奈ちゃん?」
「は、はい! ごめんなさい、気づかなくて!」
「いや、それはいいんだけど……」
「お前が瑞貴の声に反応しないなんて珍しいな。何かいいことでもあったのか?」
「あっ、うん。もうここまで来たんだなって思ったら嬉しくて。……去年は準優勝したとはいえ、本当の実力じゃないから」
「「…………」」
春奈はサッカー部の顧問として去年のホーリーロードにも参加していた。しかし決勝以外はフィフスセクターの勝敗指示に従っていたため実力で来たとは言いにくい。
もちろん、雷門なら実力でも勝てると確信していた試合もいくつかあったが、勝敗指示があれば内心穏やかではいられなかったのだろう。
「いや、一人の男性って自覚したのはずいぶんあとのことだよ。……でも、大切な人だってことは当たっている。守は恩人だからね」
……トリップする前、瑞貴は選手が男子しかいないサッカー部に入部した。女子ということで与えられた試験もクリアし、マネージャーになった幼馴染であり親友とサッカー部のみんなと一緒に楽しく過ごせる、そう思っていた。
しかしある試合に出て瑞貴のいじめが始まった。それは自分の采配を相手チームにバカにされた、サッカー部の監督が流した噂からだったが、その一件で瑞貴に対する不満が爆発したように、サッカー部のメンバーそろって瑞貴をいじめだした。
「それに伴ってクラスのみんなも便乗して、あることないこと言われて辛かった……。サッカー部を辞めてしまうくらいにね……たった一人だけ、親友を除いて」
彼女は瑞貴のために誤解を解かし、犯人が監督であることも突き止めてくれた。それを機に瑞貴へのいじめはなくなり『サッカー部に戻って来ないか』と言われたが、行く気にはなれなかった。
「そんな目にあったのに、よくサッカーに戻ったな」
「サッカー自体は一人でやっていたけど、仲間を作ってやることはなかったの。こっちの世界に来てサッカー部に入れたのは、守のおかげだよ。あんなあきらめの悪い人……見たことがなかったからね」
当時無敵の帝国学園が練習相手に申し込んで来たとき、円堂は人数をそろえるために学校を駆け回り、それだけじゃなく自分の特訓も欠かさなかった。
どんなときでも仲間を見捨てず…絶体絶命のときでもあきらめない……そんな円堂に瑞貴は感化されて、心からサッカーを楽しむことができたのだ。
「もちろん、征矢のおかげでもあるよ」
「俺?」
「征矢、有人、春奈ちゃん……守だけじゃなくみんながいたから、私はサッカーを続けていける。仲間がいるってことほど、これ以上に心強いことは他にないからね」
「そうか……」
(その中には、修也もいるんだけどね……)
今じゃイシドシュウジと名乗る彼が、どうして管理サッカーの聖帝の座にいるのかわからなかった。仮説はいろいろあるが、きっと円堂たちが調査の結果を出してくれるだろう。
「はい、お待ち」
すると飛鷹はラーメンだけでなく餃子も瑞貴の前に出す。自分が頼んだのはラーメンだけだったので瑞貴は目を見開いた。
「征矢。私、餃子は頼んでないよ?」
「サービスだ。確かにお前はあの頃と違って今の選手と同じポジションでいられない。だけど、コーチとして監督補佐としてできることもたくさんある。まずはそこからだろ。サッカーも基礎をなくしては実力が出せないさ」
「うん……そうだね! ありがとう!」
飛鷹に向けて微笑んだ瑞貴は、熱々の餃子をさっそくひと口かじった。その姿に飛鷹はつい微笑んでしまう。――かつて好きだった女性が大切な人と結ばれて、サッカーを続けることで、とても幸せな姿をしているからだ。
☆☆☆☆☆
翌日。フィフスセクターから次の対戦相手の連絡が来たので、瑞貴は鬼道有人と音無春奈と共にデータを整理し、ミーティングルームへ向かう。
「次の相手はかなり厄介だな……」
「そうだね。フィフスセクターの指示に従っているとはいえ、選手たちの力は強力だもの。こっちも対策を考えなきゃ。ねっ、春奈ちゃ――……ん?」
鬼道に次いで瑞貴は春奈に顔を向けると、彼女はなんだか嬉しそうな顔をしていた。
「春奈ちゃん?」
「は、はい! ごめんなさい、気づかなくて!」
「いや、それはいいんだけど……」
「お前が瑞貴の声に反応しないなんて珍しいな。何かいいことでもあったのか?」
「あっ、うん。もうここまで来たんだなって思ったら嬉しくて。……去年は準優勝したとはいえ、本当の実力じゃないから」
「「…………」」
春奈はサッカー部の顧問として去年のホーリーロードにも参加していた。しかし決勝以外はフィフスセクターの勝敗指示に従っていたため実力で来たとは言いにくい。
もちろん、雷門なら実力でも勝てると確信していた試合もいくつかあったが、勝敗指示があれば内心穏やかではいられなかったのだろう。