キャプテンの資格
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「……わかったよ。一回だけだぞ」
「ありがとうございます! 信助も呼んでいいですよね!?」
「ああ、いいよ」
許可をもらえて天馬は嬉しそうに笑う。管理サッカーのことを知って尚もあきらめず、前向きなその姿に神童は苦笑した。
「サッカー、本当に好きなんだな」
「はい!」
河川敷に集合と約束して天馬は神童にボールを返して部屋から出て行った。それを見届けて残った神童は手にあるボールを見つめる。
『お姉ちゃんの名前は井上瑞貴。雷門中サッカー部の副キャプテンだよ』
脳裏に幼い頃の記憶が鮮明に蘇ってくる。それほど神童にとっては心に残る出来事だったからだ。
子供の遊びで始めたサッカーだったのに、瑞貴に出会って以来ピアノと両立させる条件まで付けてサッカーを極めてきた。霧野と共に雷門中に入学したのも、瑞貴がいた場所でプレーしたかった理由もあるからだ。
「管理サッカーを受け入れる俺の姿を、あの人にだけは見せたくなかった……」
☆☆☆☆☆
夕方になり、ロッカールームにいる円堂の元に天馬から連絡が届いた。信助と共に神童とサッカーすること、フォルテシモを見せてくれることを――。
「河川敷でやるらしい。ここが神童のサッカーに対しての分かれ目になるだろう」
「そっか……」
〈決まった――っ!! 雷門、ついに1点返した! 2対1!!〉
ちょうどモニターで見ていたのは去年のホーリーロード決勝戦。フィフスセクターの指示がない両チーム共に本気の試合だ。瑞貴はそれを見ていたが、その瞳には悲しい気持ちが出ていた。
「どうした?」
「この間の栄都戦と違って、みんながイキイキとプレーしているなって思って」
「確かに勝敗指示があるとないとでは違うな」
「プレーは心の表れ、心が乱れればプレーも乱れる。だからこそどれだけの気持ちで望んでいるかがわかるの」
だが、強制してしまえばフィフスセクターとやり方は同じ。だからこそ自分たちの意思で本気のサッカーをやろうと思ってほしいのだ。
――二人が河川敷に到着すると、グラウンドで神童と天馬と信助がサッカーをしていた。しかし神童の様子が荒れて、シュートを撃ってもゴールポストに弾かれる。
「天馬!」
「よしっ!」
空中で拾った信助が天馬にパスすると、ボールを取るため神童が追って来る。
「本当のサッカーがないなんて、そんなことないです! 俺たちが本当のサッカーをしてくれるの、サッカーだって待ってます!」
「その思いが本物なら、俺を抜いてみせろ!」
天馬がドリブルで神童と対峙するバックパスの要領で取られる前にうしろにボールを蹴り、一度距離を取るが神童のマークは続く。
「天馬、がんばれ!」
「まだまだだな」
「っ!」
神童のマークから離れるためにも、天馬はしっかりボールをキープしているが神童を突破できない。もう一度大きく距離を取り、天馬は足でボールを押さえて止まった。
「俺はやるんだ……――本当のサッカーになる!」
「えー!? 自分がなっちゃうの?」
「そんくらいの気持ちでやるんだ!」
(俺もお前みたいに、楽になれたらな……)
迷いがなく真っ直ぐな天馬を見て神童はそう思った。天馬がドリブルで突っ走って来たので神童はそれに迎え撃つと――。
シュン……!
「「「!」」」
天馬をまとうオーラを、神童も円堂も瑞貴も見えた。
「ありがとうございます! 信助も呼んでいいですよね!?」
「ああ、いいよ」
許可をもらえて天馬は嬉しそうに笑う。管理サッカーのことを知って尚もあきらめず、前向きなその姿に神童は苦笑した。
「サッカー、本当に好きなんだな」
「はい!」
河川敷に集合と約束して天馬は神童にボールを返して部屋から出て行った。それを見届けて残った神童は手にあるボールを見つめる。
『お姉ちゃんの名前は井上瑞貴。雷門中サッカー部の副キャプテンだよ』
脳裏に幼い頃の記憶が鮮明に蘇ってくる。それほど神童にとっては心に残る出来事だったからだ。
子供の遊びで始めたサッカーだったのに、瑞貴に出会って以来ピアノと両立させる条件まで付けてサッカーを極めてきた。霧野と共に雷門中に入学したのも、瑞貴がいた場所でプレーしたかった理由もあるからだ。
「管理サッカーを受け入れる俺の姿を、あの人にだけは見せたくなかった……」
☆☆☆☆☆
夕方になり、ロッカールームにいる円堂の元に天馬から連絡が届いた。信助と共に神童とサッカーすること、フォルテシモを見せてくれることを――。
「河川敷でやるらしい。ここが神童のサッカーに対しての分かれ目になるだろう」
「そっか……」
〈決まった――っ!! 雷門、ついに1点返した! 2対1!!〉
ちょうどモニターで見ていたのは去年のホーリーロード決勝戦。フィフスセクターの指示がない両チーム共に本気の試合だ。瑞貴はそれを見ていたが、その瞳には悲しい気持ちが出ていた。
「どうした?」
「この間の栄都戦と違って、みんながイキイキとプレーしているなって思って」
「確かに勝敗指示があるとないとでは違うな」
「プレーは心の表れ、心が乱れればプレーも乱れる。だからこそどれだけの気持ちで望んでいるかがわかるの」
だが、強制してしまえばフィフスセクターとやり方は同じ。だからこそ自分たちの意思で本気のサッカーをやろうと思ってほしいのだ。
――二人が河川敷に到着すると、グラウンドで神童と天馬と信助がサッカーをしていた。しかし神童の様子が荒れて、シュートを撃ってもゴールポストに弾かれる。
「天馬!」
「よしっ!」
空中で拾った信助が天馬にパスすると、ボールを取るため神童が追って来る。
「本当のサッカーがないなんて、そんなことないです! 俺たちが本当のサッカーをしてくれるの、サッカーだって待ってます!」
「その思いが本物なら、俺を抜いてみせろ!」
天馬がドリブルで神童と対峙するバックパスの要領で取られる前にうしろにボールを蹴り、一度距離を取るが神童のマークは続く。
「天馬、がんばれ!」
「まだまだだな」
「っ!」
神童のマークから離れるためにも、天馬はしっかりボールをキープしているが神童を突破できない。もう一度大きく距離を取り、天馬は足でボールを押さえて止まった。
「俺はやるんだ……――本当のサッカーになる!」
「えー!? 自分がなっちゃうの?」
「そんくらいの気持ちでやるんだ!」
(俺もお前みたいに、楽になれたらな……)
迷いがなく真っ直ぐな天馬を見て神童はそう思った。天馬がドリブルで突っ走って来たので神童はそれに迎え撃つと――。
シュン……!
「「「!」」」
天馬をまとうオーラを、神童も円堂も瑞貴も見えた。