監督・鬼道の不安
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「……次からは俺を呼べ」
「えっ?」
「俺でなくても春奈でもいい。都合が合えばあいつも飛んで行くだろう。……円堂がいなくても、今のお前は一人じゃないんだ」
「うん……そうだね」
「俺の言いつけをきちんと守っているんだ。それぐらいの褒美はやる」
「私はそこまで子供じゃないよ! もう!」
大口で雷雷丼を食べていく姿はもういつもの瑞貴だ。それを見てホッとした鬼道もひと口食べるのだった。
そして瑞貴はちゃんと雷雷丼を完食できて、鬼道と共に残りの作業へと入った。
☆☆☆☆☆
翌日の放課後――屋外グラウンドでストレッチしているのは天馬と錦と剣城だけ。他のみんなはいつもの時間より遅い。
「神さまたち、遅い……」
「来ねぇんじゃねぇのか。監督やコーチがあんなんだし」
神童を始め他のみんなの姿がいないので茜は心配し、水鳥は天城や輝や信助たちみたいにリタイアが出たのだと思った。しかし……。
ダダダダッ!
「!」
こちらに向かって駆け寄る複数の足音に天馬は顔を上げると、待ち望んでいた人物たちを見て自然と顔がほころんだ。
「練習の厳しさなんて、サッカーができない辛さに比べたらちっぽけなこと!」
「円堂監督と瑞貴さんは俺たちの心に、革命の芽を出させてくれた。でも、それを育てるのは俺たち自身! 頼りきって成長するんじゃなくて、自分で道を決めて成長しなくちゃな!」
「オウッ! どデカくなって驚かせてやるぜよ!」
「はい!」
三国や神童が考えて出した答えに錦も声を上げる。天馬は『芽』や『成長』がなんのことかわからないが、前向きな気持ちで彼らが練習に参加することが伝わった。
「――うおー! 戦うド! 戦うド! 戦うド!」
「――わあっ!」
続いて現れたのは輝と、その肩に腕を回して引きずっている天城だ。走りながら叫んでいた内容に車田はキョトンとする。
「戦うって……?」
「練習最後までやりきって、鬼道監督を見返してやるド! なあ、影山!」
「は、はい!」
輝は文字通り『鬼道と戦う』のかと思ったが、鬼道の出す練習に打ち勝つこと『戦い』をするのだとわかって心底ホッとした。
周りを見渡した神童は、雷門中サッカー部のメンバーがあと一人だということに気づく。
「あとは信助だけか」
「信助は来ます! 必ず!」
「だドも、この様子じゃ……」
「信じてるんです! 俺!」
昨日一緒にいた天城は信助の様子を見て来ないと思っているが、それでも天馬は信助が来ると信じていた。そして……。
「天馬ー!」
「信助!」
神童たちがいる反対側の土手から信助が現れた。ユニフォームを着ており、さらにその目は昨日までと違ってやる気に満ち溢れている。
「僕も、僕も天馬とサッカーがしたい!」
「うん!」
「サッカーが好きなんだ! 天馬や先輩たちとプレーするようになって、もっと好きになった! だからサッカーから逃げない……鬼道監督や瑞貴さんからも!」
そして最後に鬼道と瑞貴と春奈が現れた。ここにいる誰もがどんなに厳しい練習でも逃げずにやり遂げると誓っている。
「新しい練習メニューを発表する。一人一人個別の練習メニューだ」
「今から各自にプリントを渡すね」
鬼道の宣言に伴って、瑞貴は一人一人にプリントを渡した。それを各自が真剣に読む。
「え~……今までより種類が増えてる……」
「回数が減ったのもあるな。これでは……」
「厳しいな」
速水や神童や霧野は練習メニューがいつもと違うことに気づく。今までやったメニューにくわえ、それをアレンジしたのもあり、達成できるか不安もあったがやるしかない。
「鬼道監督。練習を全てクリアしたら、話を聞いていただけますか? ――雷門中サッカー部の、これからについて」
「…………」
鬼道は口では答えなかったものの、しっかりと了承の意味を込めて頷いた。次いで神童は瑞貴を見ると……。
「…………」
やはり何も答えなかった。しかし、それも練習を全て達成できたらわかることだと神童はどこか確信していた。
「えっ?」
「俺でなくても春奈でもいい。都合が合えばあいつも飛んで行くだろう。……円堂がいなくても、今のお前は一人じゃないんだ」
「うん……そうだね」
「俺の言いつけをきちんと守っているんだ。それぐらいの褒美はやる」
「私はそこまで子供じゃないよ! もう!」
大口で雷雷丼を食べていく姿はもういつもの瑞貴だ。それを見てホッとした鬼道もひと口食べるのだった。
そして瑞貴はちゃんと雷雷丼を完食できて、鬼道と共に残りの作業へと入った。
☆☆☆☆☆
翌日の放課後――屋外グラウンドでストレッチしているのは天馬と錦と剣城だけ。他のみんなはいつもの時間より遅い。
「神さまたち、遅い……」
「来ねぇんじゃねぇのか。監督やコーチがあんなんだし」
神童を始め他のみんなの姿がいないので茜は心配し、水鳥は天城や輝や信助たちみたいにリタイアが出たのだと思った。しかし……。
ダダダダッ!
「!」
こちらに向かって駆け寄る複数の足音に天馬は顔を上げると、待ち望んでいた人物たちを見て自然と顔がほころんだ。
「練習の厳しさなんて、サッカーができない辛さに比べたらちっぽけなこと!」
「円堂監督と瑞貴さんは俺たちの心に、革命の芽を出させてくれた。でも、それを育てるのは俺たち自身! 頼りきって成長するんじゃなくて、自分で道を決めて成長しなくちゃな!」
「オウッ! どデカくなって驚かせてやるぜよ!」
「はい!」
三国や神童が考えて出した答えに錦も声を上げる。天馬は『芽』や『成長』がなんのことかわからないが、前向きな気持ちで彼らが練習に参加することが伝わった。
「――うおー! 戦うド! 戦うド! 戦うド!」
「――わあっ!」
続いて現れたのは輝と、その肩に腕を回して引きずっている天城だ。走りながら叫んでいた内容に車田はキョトンとする。
「戦うって……?」
「練習最後までやりきって、鬼道監督を見返してやるド! なあ、影山!」
「は、はい!」
輝は文字通り『鬼道と戦う』のかと思ったが、鬼道の出す練習に打ち勝つこと『戦い』をするのだとわかって心底ホッとした。
周りを見渡した神童は、雷門中サッカー部のメンバーがあと一人だということに気づく。
「あとは信助だけか」
「信助は来ます! 必ず!」
「だドも、この様子じゃ……」
「信じてるんです! 俺!」
昨日一緒にいた天城は信助の様子を見て来ないと思っているが、それでも天馬は信助が来ると信じていた。そして……。
「天馬ー!」
「信助!」
神童たちがいる反対側の土手から信助が現れた。ユニフォームを着ており、さらにその目は昨日までと違ってやる気に満ち溢れている。
「僕も、僕も天馬とサッカーがしたい!」
「うん!」
「サッカーが好きなんだ! 天馬や先輩たちとプレーするようになって、もっと好きになった! だからサッカーから逃げない……鬼道監督や瑞貴さんからも!」
そして最後に鬼道と瑞貴と春奈が現れた。ここにいる誰もがどんなに厳しい練習でも逃げずにやり遂げると誓っている。
「新しい練習メニューを発表する。一人一人個別の練習メニューだ」
「今から各自にプリントを渡すね」
鬼道の宣言に伴って、瑞貴は一人一人にプリントを渡した。それを各自が真剣に読む。
「え~……今までより種類が増えてる……」
「回数が減ったのもあるな。これでは……」
「厳しいな」
速水や神童や霧野は練習メニューがいつもと違うことに気づく。今までやったメニューにくわえ、それをアレンジしたのもあり、達成できるか不安もあったがやるしかない。
「鬼道監督。練習を全てクリアしたら、話を聞いていただけますか? ――雷門中サッカー部の、これからについて」
「…………」
鬼道は口では答えなかったものの、しっかりと了承の意味を込めて頷いた。次いで神童は瑞貴を見ると……。
「…………」
やはり何も答えなかった。しかし、それも練習を全て達成できたらわかることだと神童はどこか確信していた。