監督・鬼道の不安
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「僕は一生懸命練習してた! でも、鬼道監督は……瑞貴さんすらも……!」
追加メニューもがんばってこなしていたのに、鬼道は褒めることもない。瑞貴だって今までポイントを教えてくれたり、声も掛けてくれたのに、全然やってくれない。
信助の目に涙が浮かび上がったが、天馬は同情しない。
「信助は、鬼道監督や瑞貴さんに認められたいからサッカーするの?」
「……天馬はいいよ。化身が使えるし、鬼道監督から嫌がらせされてない。天馬になんか僕の気持ち――わかるわけない!」
「信助!」
一番の友達の天馬だけはわかってもらえると信助は思った。しかし予想とは逆だったので信助は傷つき、その場を走り去ってしまった。
――チームの空気が悪くなり、神童は三国と車田と共に直接部屋に乗り込んで来た。もちろん練習メニュー変更を求めて……だが。
「練習メニューを変えるつもりはない」
「鬼道監督!」
しかし鬼道はそれを拒否した。さらに話は以上だとパソコン作業に戻ったので、神童たちはもうサッカー棟を出るしかなかった。
「聞く耳持たずか……」
「このままだとチームはバラバラだぞ」
(円堂監督……)
三国や車田だって鬼道のやり方に不満がないわけじゃない。しかしこのままでは悪くなる一方だと思い、神童は厳しくもサッカーへの情熱を忘れない教えをしてくれた円堂の姿を思い浮かべた。
「それにしても、瑞貴さんも瑞貴さんだぜ。円堂監督がいなくなった途端、人が変わるようになってよ」
「おいおい、瑞貴さんまで巻き込むんじゃない」
「音無先生は止めようとしてたじゃねぇか。でも、瑞貴さんは止める所か鬼道監督の肩を持ってばっかりでさ」
「……確かに。鬼道監督の意見に全面的に賛成してたな」
「…………」
車田と三国の会話を聞きながら、神童は瑞貴のことを思い浮かべた。円堂がいた頃は一緒に笑って、励ましてくれて、厳しくもあって……だが、円堂がいなくなって二日とはいえ、その姿は見たことがない。
(瑞貴さんを信じたい……。でも、俺はキャプテンだ……それに……)
幼い頃からの憧れである瑞貴を信じたいのは山々だが、自分の立場上のこともあり、その決意は揺らいでいた。……神童だって、この二日間の練習に納得がいかないからだ。
そして戻って監督の部屋では、瑞貴が新たな資料を鬼道の机に置いた。それまで置いたのもあるのでかなりの量のプリントが机に積まれている。
「はい、追加ね」
「ああ。お前はこっちをまとめてくれ」
「オッケー」
鬼道から何枚かのプリントをもらい、瑞貴は別の机に向かう。その机も別のプリントの束があった。
ガサッ。
「あっ、ごめん!」
机に置いた資料を一部落としてしまい、瑞貴はしゃがんで拾っていくと――。
コンコン。
「「!」」
「話があるの、兄さん! 瑞貴先輩!」
ノックの音が聞こえて扉が開くと、乗り込んで来たのは春奈だった。彼女は顧問として選手を守るため、二人に行ってやろうと来たのだ。
「サッカー部をどうするつもり!?」
「あっ! 春奈ちゃん、足元!」
「わっ! もう、危ないじゃないですか!」
瑞貴が止めるのも遅く、春奈は落ちていた裏返しのプリントに足を軽く滑らせてしまった。それを拾い眼鏡を掛けてプリントの表を見ると――。
「これって、天馬くんのデータ?」
内容を見た春奈は他にも落ちているのを拾ってみると、天馬だけでなく神童や倉間や信助のデータもプリントに記されている。
「全員分、こんなに細かく……」
「拾ってくれてありがと、春奈ちゃん」
プリントを受け取ろうと手を差し出す瑞貴の表情に、春奈は彼女が最初からわかっていたのだと気づくと、鬼道へ顔を向ける。
「兄さん……」
「これが、鬼道監督のやり方なんだよ。――雷門のこれからを導くためのね」
追加メニューもがんばってこなしていたのに、鬼道は褒めることもない。瑞貴だって今までポイントを教えてくれたり、声も掛けてくれたのに、全然やってくれない。
信助の目に涙が浮かび上がったが、天馬は同情しない。
「信助は、鬼道監督や瑞貴さんに認められたいからサッカーするの?」
「……天馬はいいよ。化身が使えるし、鬼道監督から嫌がらせされてない。天馬になんか僕の気持ち――わかるわけない!」
「信助!」
一番の友達の天馬だけはわかってもらえると信助は思った。しかし予想とは逆だったので信助は傷つき、その場を走り去ってしまった。
――チームの空気が悪くなり、神童は三国と車田と共に直接部屋に乗り込んで来た。もちろん練習メニュー変更を求めて……だが。
「練習メニューを変えるつもりはない」
「鬼道監督!」
しかし鬼道はそれを拒否した。さらに話は以上だとパソコン作業に戻ったので、神童たちはもうサッカー棟を出るしかなかった。
「聞く耳持たずか……」
「このままだとチームはバラバラだぞ」
(円堂監督……)
三国や車田だって鬼道のやり方に不満がないわけじゃない。しかしこのままでは悪くなる一方だと思い、神童は厳しくもサッカーへの情熱を忘れない教えをしてくれた円堂の姿を思い浮かべた。
「それにしても、瑞貴さんも瑞貴さんだぜ。円堂監督がいなくなった途端、人が変わるようになってよ」
「おいおい、瑞貴さんまで巻き込むんじゃない」
「音無先生は止めようとしてたじゃねぇか。でも、瑞貴さんは止める所か鬼道監督の肩を持ってばっかりでさ」
「……確かに。鬼道監督の意見に全面的に賛成してたな」
「…………」
車田と三国の会話を聞きながら、神童は瑞貴のことを思い浮かべた。円堂がいた頃は一緒に笑って、励ましてくれて、厳しくもあって……だが、円堂がいなくなって二日とはいえ、その姿は見たことがない。
(瑞貴さんを信じたい……。でも、俺はキャプテンだ……それに……)
幼い頃からの憧れである瑞貴を信じたいのは山々だが、自分の立場上のこともあり、その決意は揺らいでいた。……神童だって、この二日間の練習に納得がいかないからだ。
そして戻って監督の部屋では、瑞貴が新たな資料を鬼道の机に置いた。それまで置いたのもあるのでかなりの量のプリントが机に積まれている。
「はい、追加ね」
「ああ。お前はこっちをまとめてくれ」
「オッケー」
鬼道から何枚かのプリントをもらい、瑞貴は別の机に向かう。その机も別のプリントの束があった。
ガサッ。
「あっ、ごめん!」
机に置いた資料を一部落としてしまい、瑞貴はしゃがんで拾っていくと――。
コンコン。
「「!」」
「話があるの、兄さん! 瑞貴先輩!」
ノックの音が聞こえて扉が開くと、乗り込んで来たのは春奈だった。彼女は顧問として選手を守るため、二人に行ってやろうと来たのだ。
「サッカー部をどうするつもり!?」
「あっ! 春奈ちゃん、足元!」
「わっ! もう、危ないじゃないですか!」
瑞貴が止めるのも遅く、春奈は落ちていた裏返しのプリントに足を軽く滑らせてしまった。それを拾い眼鏡を掛けてプリントの表を見ると――。
「これって、天馬くんのデータ?」
内容を見た春奈は他にも落ちているのを拾ってみると、天馬だけでなく神童や倉間や信助のデータもプリントに記されている。
「全員分、こんなに細かく……」
「拾ってくれてありがと、春奈ちゃん」
プリントを受け取ろうと手を差し出す瑞貴の表情に、春奈は彼女が最初からわかっていたのだと気づくと、鬼道へ顔を向ける。
「兄さん……」
「これが、鬼道監督のやり方なんだよ。――雷門のこれからを導くためのね」