監督・鬼道の不安
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――朝練の時間となり、今日は屋外グラウンドで行うことになった。しかしまだ気持ちの整理ができていないのか、多数の選手が顔をうつむけている。
「今日から練習メニューを変更する」
「各自自分のペースでいいから、ノルマを達成してね」
(やっぱり円堂監督、いないんだ……)
瑞貴の隣が円堂ではなく鬼道となり、天馬たちは改めて円堂が雷門を出て行ったことを実感させられた。
練習はまず腕立て伏せ、次にスクワット、腹筋の要領の足伸ばし……全て基礎練習の量を上げただけだ。
「この練習メニュー……」
「ボール、使ってない……」
「ああ。サッカーの練習だってのにな」
「…………」
空野葵や山菜茜や瀬戸水鳥が不思議に思う中、春奈は練習を眺める鬼道と記録する瑞貴に顔を向けるが、二人の意図はまるで読めなかった。
続けてハードルに使うバーを中心に交互で飛んでいく。すると鬼道が初めて声を上げた。
「西園、お前は倍の高さを跳べ」
「えっ? なんで? 僕だけ?」
「サッカー部を辞めてほしいんじゃないの」
「えっ……」
自分一人だけ動かされて驚く西園信助に、狩屋マサキがそう言う。本人はからかい半分だったかもしれないが、今の信助には不安の材料となった。
さらにタイヤ引き。タイヤに繋げたロープを体に結んで走って行く。
「天城、三倍に増やせ」
「!?」
最初は先頭を走っていた天城大地だが、鬼道の指示でタイヤが三つになったためどんどん遅れを取った。
今度は三角台の上に板を乗せ、さらに自身も乗ってバランスを取る。この練習でも鬼道が発言した。
「浜野、下をボールに変えろ」
「よっ、とと……どわっ!」
三角台は余裕だったのに、ボールに変えられたことでバランスが取れず、浜野海士は板から落ちてしまった。
夕方になった頃は走り込みの練習をしていた。鬼道が止めるまで走り続けるため、どれくらい走ったかわからなくなる。
「な、何周走ったド……?」
「ちゅーか、疲れ過ぎてもうわっかんないス……」
天城も浜野もヘロヘロになっており、ついに天城が足を止めて倒れてしまった。
「走れないド……ハァ…ハァ……」
「天城先輩! っ、監督!」
「続けるんだ」
「……わかりました」
信助を始め神童も剣城京介も天城のそばに寄ったが、鬼道が構わずに続けろということで神童たちは渋々ながらも再び走り出した。
――日が沈んで空が暗くなろうとする中、ついに全員がリタイアするように倒れたり座り込んだりした。全員の様子を確認した瑞貴は鬼道にアイコンタクトを取ると、鬼道は声を上げる。
「練習は以上だ」
『サッカー部を辞めてほしいんじゃないの』
「…………」
そう言い残して去って行く鬼道に、狩屋の言葉を思い浮かべながら信助は顔をしかめていた。――いや、信助だけじゃない。天城も三国も鬼道のやり方に不満を持ち始めている。
「なんか、納得いかないド……」
「これが鬼道監督のやり方なのか……!」
「…………!」
みんなの様子に春奈が鬼道のあとを追って行ったのを見て、瑞貴はパンパンと両手を叩き、全員の意識をこちらに向けさせる。
「はい、各自クールダウンして下校すること」
「瑞貴さん! 今日の練習は――」
「明日に備えて休んでね」
霧野蘭丸が声を上げるも、瑞貴は何も答えようとせずに伝えるだけ伝えて自分も去って行った。
そんな中、狩屋は瑞貴を見て首を傾げていた。それはみんなと同じよう『いつもと違う』や『口数が少ない』などではなく――。
(瑞貴姉さん……――今度は何を考えているんだろう?)
過去の瑞貴との特訓時代を思い出した狩屋は、瑞貴が今思っている内容を考えて再び首を傾げるのだった。
「今日から練習メニューを変更する」
「各自自分のペースでいいから、ノルマを達成してね」
(やっぱり円堂監督、いないんだ……)
瑞貴の隣が円堂ではなく鬼道となり、天馬たちは改めて円堂が雷門を出て行ったことを実感させられた。
練習はまず腕立て伏せ、次にスクワット、腹筋の要領の足伸ばし……全て基礎練習の量を上げただけだ。
「この練習メニュー……」
「ボール、使ってない……」
「ああ。サッカーの練習だってのにな」
「…………」
空野葵や山菜茜や瀬戸水鳥が不思議に思う中、春奈は練習を眺める鬼道と記録する瑞貴に顔を向けるが、二人の意図はまるで読めなかった。
続けてハードルに使うバーを中心に交互で飛んでいく。すると鬼道が初めて声を上げた。
「西園、お前は倍の高さを跳べ」
「えっ? なんで? 僕だけ?」
「サッカー部を辞めてほしいんじゃないの」
「えっ……」
自分一人だけ動かされて驚く西園信助に、狩屋マサキがそう言う。本人はからかい半分だったかもしれないが、今の信助には不安の材料となった。
さらにタイヤ引き。タイヤに繋げたロープを体に結んで走って行く。
「天城、三倍に増やせ」
「!?」
最初は先頭を走っていた天城大地だが、鬼道の指示でタイヤが三つになったためどんどん遅れを取った。
今度は三角台の上に板を乗せ、さらに自身も乗ってバランスを取る。この練習でも鬼道が発言した。
「浜野、下をボールに変えろ」
「よっ、とと……どわっ!」
三角台は余裕だったのに、ボールに変えられたことでバランスが取れず、浜野海士は板から落ちてしまった。
夕方になった頃は走り込みの練習をしていた。鬼道が止めるまで走り続けるため、どれくらい走ったかわからなくなる。
「な、何周走ったド……?」
「ちゅーか、疲れ過ぎてもうわっかんないス……」
天城も浜野もヘロヘロになっており、ついに天城が足を止めて倒れてしまった。
「走れないド……ハァ…ハァ……」
「天城先輩! っ、監督!」
「続けるんだ」
「……わかりました」
信助を始め神童も剣城京介も天城のそばに寄ったが、鬼道が構わずに続けろということで神童たちは渋々ながらも再び走り出した。
――日が沈んで空が暗くなろうとする中、ついに全員がリタイアするように倒れたり座り込んだりした。全員の様子を確認した瑞貴は鬼道にアイコンタクトを取ると、鬼道は声を上げる。
「練習は以上だ」
『サッカー部を辞めてほしいんじゃないの』
「…………」
そう言い残して去って行く鬼道に、狩屋の言葉を思い浮かべながら信助は顔をしかめていた。――いや、信助だけじゃない。天城も三国も鬼道のやり方に不満を持ち始めている。
「なんか、納得いかないド……」
「これが鬼道監督のやり方なのか……!」
「…………!」
みんなの様子に春奈が鬼道のあとを追って行ったのを見て、瑞貴はパンパンと両手を叩き、全員の意識をこちらに向けさせる。
「はい、各自クールダウンして下校すること」
「瑞貴さん! 今日の練習は――」
「明日に備えて休んでね」
霧野蘭丸が声を上げるも、瑞貴は何も答えようとせずに伝えるだけ伝えて自分も去って行った。
そんな中、狩屋は瑞貴を見て首を傾げていた。それはみんなと同じよう『いつもと違う』や『口数が少ない』などではなく――。
(瑞貴姉さん……――今度は何を考えているんだろう?)
過去の瑞貴との特訓時代を思い出した狩屋は、瑞貴が今思っている内容を考えて再び首を傾げるのだった。