監督・鬼道の不安
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白恋中に勝利し三回戦へ駒を進めた雷門中サッカー部。しかし、吹雪士郎からフィフスセクターのとある情報を受けた円堂守は、円堂瑞貴に雷門を出ることを告げたあと、次いで鬼道有人にも伝える。
「……今、雷門を任せられるのはお前と瑞貴しかいない。でも瑞貴は自ら辞退したんだ」
「雷門にとって私は支える立場が形になっているの。お願い、有人」
「頼む、鬼道」
「お前たち……」
その真意を鬼道は詳しくは聞かなかった。だが、十年の付き合いなのだ……二人の真剣な瞳を見て何かを感じ取り、鬼道は雷門の監督になることを了承するのだった。
☆☆☆☆☆
その翌日――いつも通りの朝がやってきて、朝食も食べ終わってあとは雷門中へ向かうだけ。だが、二人の空気はどことなく重かった。
「雷門のみんなに伝えたら、そのまま調査に向かうんだよね」
「ああ。……これから瑞貴と会えなくなると思うと、胸が押し潰されそうだ」
「プロ時代と違って、万が一のことも考えているから連絡も取れないもんね。――ねぇ、守」
「ん?」
「私は全力で有人やみんなをサポートする。ホーリーロードを勝ち進んで行けば、革命の成功にも繋がっていくし、守に成長したみんなを見せたいから」
「ああ、楽しみにしているな!」
円堂は瑞貴の頬に手を添えると、ゆっくり顔を近づけてきた。朝に出かける恒例とはいえ瑞貴がいつも恥ずかしがるのだが、今回の瑞貴は伴うように目を閉じた。
調査がどれくらいで終わるかわからないため、再び会える日まで忘れないようにお互いの唇の感触と温かさを覚えるようだった。
――ロッカールームに集まった雷門中サッカー部は、円堂から衝撃的な知らせを受ける。
「みんな、すまない。俺は雷門を出ていく」
「なんでですか!?」
「雷門の監督は、鬼道に引き継いでもらう」
「そんな………」
疑問の声を上げる松風天馬だが、円堂は答えずに報告するだけで扉に向かって行く。
「監督!」
「監督!」
「監督!」
神童拓人や霧野蘭丸や三国太一を始め、みんなが引き止めるように声を上げるが、何も言わない円堂がロッカールームを出ると無情にも扉が閉まった。
気持ちの整理も必要だろうと、瑞貴と鬼道と音無春奈は生徒たちを残して出て行った。
「でも信じられません。昨日の今日で、円堂さんが出て行ってしまうなんて……」
「一日でも早いほうがいいからね。そのほうが時間あるし、タイミングも大事だし」
春奈には瑞貴が昨日連絡をしておいた。真意を教えると納得してくれたが、かなり驚かれた。
「瑞貴、練習メニューのチェックをするぞ」
「うん。春奈ちゃん、またあとでね」
「はい……」
これから春奈は職員会議があるので、朝練の時間までは別行動である。鬼道がパソコンに向かって練習メニューの作成をしていると、棚から資料を集めている瑞貴を見て昨日のことを思い出した。
『瑞貴が断ったとはいえ、何故、俺なんだ?』
『……俺さ、みんなのいいとこしか見えないんだよな。ハハハッ』
自嘲気味に笑う円堂は、それが自分のいい所であり悪い所だと自覚している。今まで瑞貴や鬼道がアドバイスしてくれても、教えるとなると本当に難しいのだ。
『ってことでやっぱり、監督は鬼道――お前しかいない』
帝国学園で監督をやっていたとはいえ、どこか鬼道自身も不安があった。コーチとして見るのと監督としての見るのは別物だ。うまく雷門を導いて行けるのかと……。
ドサッ!
「!」
机にファイルや本が置かれた音がして顔を上げると、置いた本人であろう瑞貴がいた。
「有人は有人のやり方でやればいいんだよ」
「瑞貴……」
「誰にだって教え子を成長へ導くやり方はいろいろある。守と同じじゃなくていい……有人なりに雷門を導こう。私も全力でサポートするから。ねっ!」
ニコッと笑う瑞貴に鬼道は十年前の姿と重なって見えた。一番前を走るタイプではないが、敢えて一歩うしろに下がって付いて来る者たちと前を進むリーダーを繋げる……彼女のやり方も変わっていない。
「瑞貴」
「ん?」
「これから、よろしく頼む」
「こちらこそ」
椅子から立ち上がった鬼道は手を差し出すと、瑞貴も手を重ねた。
「……今、雷門を任せられるのはお前と瑞貴しかいない。でも瑞貴は自ら辞退したんだ」
「雷門にとって私は支える立場が形になっているの。お願い、有人」
「頼む、鬼道」
「お前たち……」
その真意を鬼道は詳しくは聞かなかった。だが、十年の付き合いなのだ……二人の真剣な瞳を見て何かを感じ取り、鬼道は雷門の監督になることを了承するのだった。
☆☆☆☆☆
その翌日――いつも通りの朝がやってきて、朝食も食べ終わってあとは雷門中へ向かうだけ。だが、二人の空気はどことなく重かった。
「雷門のみんなに伝えたら、そのまま調査に向かうんだよね」
「ああ。……これから瑞貴と会えなくなると思うと、胸が押し潰されそうだ」
「プロ時代と違って、万が一のことも考えているから連絡も取れないもんね。――ねぇ、守」
「ん?」
「私は全力で有人やみんなをサポートする。ホーリーロードを勝ち進んで行けば、革命の成功にも繋がっていくし、守に成長したみんなを見せたいから」
「ああ、楽しみにしているな!」
円堂は瑞貴の頬に手を添えると、ゆっくり顔を近づけてきた。朝に出かける恒例とはいえ瑞貴がいつも恥ずかしがるのだが、今回の瑞貴は伴うように目を閉じた。
調査がどれくらいで終わるかわからないため、再び会える日まで忘れないようにお互いの唇の感触と温かさを覚えるようだった。
――ロッカールームに集まった雷門中サッカー部は、円堂から衝撃的な知らせを受ける。
「みんな、すまない。俺は雷門を出ていく」
「なんでですか!?」
「雷門の監督は、鬼道に引き継いでもらう」
「そんな………」
疑問の声を上げる松風天馬だが、円堂は答えずに報告するだけで扉に向かって行く。
「監督!」
「監督!」
「監督!」
神童拓人や霧野蘭丸や三国太一を始め、みんなが引き止めるように声を上げるが、何も言わない円堂がロッカールームを出ると無情にも扉が閉まった。
気持ちの整理も必要だろうと、瑞貴と鬼道と音無春奈は生徒たちを残して出て行った。
「でも信じられません。昨日の今日で、円堂さんが出て行ってしまうなんて……」
「一日でも早いほうがいいからね。そのほうが時間あるし、タイミングも大事だし」
春奈には瑞貴が昨日連絡をしておいた。真意を教えると納得してくれたが、かなり驚かれた。
「瑞貴、練習メニューのチェックをするぞ」
「うん。春奈ちゃん、またあとでね」
「はい……」
これから春奈は職員会議があるので、朝練の時間までは別行動である。鬼道がパソコンに向かって練習メニューの作成をしていると、棚から資料を集めている瑞貴を見て昨日のことを思い出した。
『瑞貴が断ったとはいえ、何故、俺なんだ?』
『……俺さ、みんなのいいとこしか見えないんだよな。ハハハッ』
自嘲気味に笑う円堂は、それが自分のいい所であり悪い所だと自覚している。今まで瑞貴や鬼道がアドバイスしてくれても、教えるとなると本当に難しいのだ。
『ってことでやっぱり、監督は鬼道――お前しかいない』
帝国学園で監督をやっていたとはいえ、どこか鬼道自身も不安があった。コーチとして見るのと監督としての見るのは別物だ。うまく雷門を導いて行けるのかと……。
ドサッ!
「!」
机にファイルや本が置かれた音がして顔を上げると、置いた本人であろう瑞貴がいた。
「有人は有人のやり方でやればいいんだよ」
「瑞貴……」
「誰にだって教え子を成長へ導くやり方はいろいろある。守と同じじゃなくていい……有人なりに雷門を導こう。私も全力でサポートするから。ねっ!」
ニコッと笑う瑞貴に鬼道は十年前の姿と重なって見えた。一番前を走るタイプではないが、敢えて一歩うしろに下がって付いて来る者たちと前を進むリーダーを繋げる……彼女のやり方も変わっていない。
「瑞貴」
「ん?」
「これから、よろしく頼む」
「こちらこそ」
椅子から立ち上がった鬼道は手を差し出すと、瑞貴も手を重ねた。