キャプテンの資格
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「キャプテン、スゴいんですね!」
「何が……?」
「あっ、ピアノ弾けるなんてスゴいです! 神のタクトの原点なのかなって感動しました!」
「っ!」
「神のタクト、俺もっと見たいです! 去年の決勝戦、やっぱり本気だ――」
ダーンッ!
「違う!」
鍵盤に両手を押さえて立ち上がった神童は声を荒げた。その迫力に天馬は思わず口を閉じる。
「あれは、フィフスセクターが自由な試合を許可したからだ! 結局、奴らの言いなりってことだろ!?」
「キャプテン……」
フィフスセクターが勝敗指示を提示したら『従う』、フィフスセクターが自由なサッカーを許可したら『従う』、どちらにしろフィフスセクターの指示通りなのは間違いないと神童は言う。
「俺はもう、キャプテンじゃない……」
「俺、キャプテンとサッカーやりたいです! 神のタクトの采配でプレーしたいです!」
「やめろ! これ以上サッカー部にいたら、俺はきっと――サッカーを本当に嫌いになる!」
強く声を上げる神童に天馬はボールを拾い上げる。
「キャプテンは、『サッカーを好き』って気持ちを守ったんだと思うんです」
「何言ってるんだ……?」
「だから辞めるって言ったんですよね。でも辞めたら、大好きなサッカーが悲しんじゃいます」
「サッカーを友達みたいに言うのはやめろ! 俺たちは栄都戦でフィフスセクターの決定に逆らったんだぞ! それが学校全体にどれだけ迷惑をかけることになるか、わかってるのか!?」
「俺は間違ったことなんかしてません!」
尚も意見をぶつける天馬に、神童は天馬の手からボールを上に弾いて自分の手に治める。
「どんなに喚いてもムダだ。今のサッカーに価値はない」
「そんなことないです! 俺、あの栄都戦ってスッゴく大事な1点だと思ってます!」
「っ、大事な1点……」
神童たちにとっては無失点の指示を出したフィフスセクターに逆らったことによって、波乱と迷惑をかけた1点だと思っているが、天馬は全然違うことを考えていた。
「今のサッカーになんの価値がある? 支配されたんだよ、サッカーは……。サッカーのことなんか、これっぽちも愛してない奴らに!」
「でも円堂監督と瑞貴さんとなら、本当のサッカーやれるって思うんです! 昨日、河川敷にみんな来てたんです!」
「だったら、尚更俺がキャプテンじゃなくてもいいだろ。誰がやったって同じだ。それに……」
神童はボールを強く投げると、天馬は驚きながらも受け止めた。
「円堂監督だって、いつかはフィフスセクターの言いなりになる! 井上コーチもだ!」
「!」
「もう帰れ……」
「あっ……」
そう言って背を向ける神童に、これ以上サッカー部に戻って来てほしいと説得しても今はムダだとわかったのか、天馬は悲しそうな顔をした。
「わかりました……帰ります。生意気言ってすみませんでした」
「…………」
「最後に一つ、お願いがあります。フォルテシモを見たいんです! そうだ、信助も呼んで三人でサッカーやりましょう! あいつもビデオを見てスッゴく感動してたんです!」
またしてもサッカーに誘う天馬に、神童も顔を向けて声を荒げた。
「帰れって言ってるだろ!」
「帰りません」
「まだ俺を責め立てるのか……」
「えっ?」
「栄都戦のときのお前のパス、俺にこう言ってるようだった……『サッカーに向き合え』ってな」
真っ直ぐで素直なパスだからこそ、神童はそれから背を向けたかったのか、いい加減にしてほしかったのか、シュートを決めてしまった。
「俺、そんなつもりは……」
「もう俺はお前のパスは受けない」
「やりたいんです! キャプテンと!」
「しつこいんだよ、お前は!」
「キャプテンじゃなきゃダメなんです! キャプテンと一緒に、やりたいんです! お願いします!」
「……っ!」
必死に食い下がった挙げ句に頭を下げる天馬に神童は目を見開いたが、了承するまで帰らないとわかったのかあきらめるように言う。
「何が……?」
「あっ、ピアノ弾けるなんてスゴいです! 神のタクトの原点なのかなって感動しました!」
「っ!」
「神のタクト、俺もっと見たいです! 去年の決勝戦、やっぱり本気だ――」
ダーンッ!
「違う!」
鍵盤に両手を押さえて立ち上がった神童は声を荒げた。その迫力に天馬は思わず口を閉じる。
「あれは、フィフスセクターが自由な試合を許可したからだ! 結局、奴らの言いなりってことだろ!?」
「キャプテン……」
フィフスセクターが勝敗指示を提示したら『従う』、フィフスセクターが自由なサッカーを許可したら『従う』、どちらにしろフィフスセクターの指示通りなのは間違いないと神童は言う。
「俺はもう、キャプテンじゃない……」
「俺、キャプテンとサッカーやりたいです! 神のタクトの采配でプレーしたいです!」
「やめろ! これ以上サッカー部にいたら、俺はきっと――サッカーを本当に嫌いになる!」
強く声を上げる神童に天馬はボールを拾い上げる。
「キャプテンは、『サッカーを好き』って気持ちを守ったんだと思うんです」
「何言ってるんだ……?」
「だから辞めるって言ったんですよね。でも辞めたら、大好きなサッカーが悲しんじゃいます」
「サッカーを友達みたいに言うのはやめろ! 俺たちは栄都戦でフィフスセクターの決定に逆らったんだぞ! それが学校全体にどれだけ迷惑をかけることになるか、わかってるのか!?」
「俺は間違ったことなんかしてません!」
尚も意見をぶつける天馬に、神童は天馬の手からボールを上に弾いて自分の手に治める。
「どんなに喚いてもムダだ。今のサッカーに価値はない」
「そんなことないです! 俺、あの栄都戦ってスッゴく大事な1点だと思ってます!」
「っ、大事な1点……」
神童たちにとっては無失点の指示を出したフィフスセクターに逆らったことによって、波乱と迷惑をかけた1点だと思っているが、天馬は全然違うことを考えていた。
「今のサッカーになんの価値がある? 支配されたんだよ、サッカーは……。サッカーのことなんか、これっぽちも愛してない奴らに!」
「でも円堂監督と瑞貴さんとなら、本当のサッカーやれるって思うんです! 昨日、河川敷にみんな来てたんです!」
「だったら、尚更俺がキャプテンじゃなくてもいいだろ。誰がやったって同じだ。それに……」
神童はボールを強く投げると、天馬は驚きながらも受け止めた。
「円堂監督だって、いつかはフィフスセクターの言いなりになる! 井上コーチもだ!」
「!」
「もう帰れ……」
「あっ……」
そう言って背を向ける神童に、これ以上サッカー部に戻って来てほしいと説得しても今はムダだとわかったのか、天馬は悲しそうな顔をした。
「わかりました……帰ります。生意気言ってすみませんでした」
「…………」
「最後に一つ、お願いがあります。フォルテシモを見たいんです! そうだ、信助も呼んで三人でサッカーやりましょう! あいつもビデオを見てスッゴく感動してたんです!」
またしてもサッカーに誘う天馬に、神童も顔を向けて声を荒げた。
「帰れって言ってるだろ!」
「帰りません」
「まだ俺を責め立てるのか……」
「えっ?」
「栄都戦のときのお前のパス、俺にこう言ってるようだった……『サッカーに向き合え』ってな」
真っ直ぐで素直なパスだからこそ、神童はそれから背を向けたかったのか、いい加減にしてほしかったのか、シュートを決めてしまった。
「俺、そんなつもりは……」
「もう俺はお前のパスは受けない」
「やりたいんです! キャプテンと!」
「しつこいんだよ、お前は!」
「キャプテンじゃなきゃダメなんです! キャプテンと一緒に、やりたいんです! お願いします!」
「……っ!」
必死に食い下がった挙げ句に頭を下げる天馬に神童は目を見開いたが、了承するまで帰らないとわかったのかあきらめるように言う。