立ちはだかる白い悪魔!
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氷里樹がスローイングし、今度こそ受け取った射月に天馬はボールを奪いに駆け出す。
(あんたがいたから強くなれた……! あのときは、そう思った)
そのうしろを追う雪村は、過去を思い出しながらフッと笑った。
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――コーチとして就任した吹雪が、自主練を雪の中でも練習に付き合ってもらって雪村はサッカーがさらに好きになった。吹雪との練習がとても楽しくてたまらない。
休憩にしてベンチに座ると雪村は水稲から暖かいお茶を注ぎ、吹雪に差し出す。
『吹雪先輩』
『なんだい?』
『俺……こんな雪の中、真剣に練習に付き合ってくれた人は今までいなかったです。俺、もっと強くなりたいです!』
『うん!』
雪が降る中で練習することも、強くなりたいって思うことも、笑うことなく吹雪は雪村を鍛えてくれた。それに雪村は『初めて信じられる人と出会った』と、心から思った。
『エターナルブリザード!』
何度も失敗が続いていたが、あきらめずに練習したことで雪村は吹雪のエターナルブリザードを習得した。
『できた……! できました、先輩!』
『うん! よくやったね! ――だけど、これが始まりだよ』
『始まり……?』
『僕を超える必殺技を、いつか君自身で編み出すんだ』
教え子に超えられる不安ではなく、むしろ成長を吹雪自身も楽しみにしているのだ。雪村はそれに応えようとしていた。
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ラインの外に行く前にギリギリでボールを返した雪村は、吹雪を思い切り睨みつけた。
(それなのに! あんたは俺を見捨てた!)
(違う……! 違うんだ、雪村!)
紛れもない敵意と裏切られたと思う悔しさを、雪村の視線から感じ取った吹雪。以前に会って説得しようとしたが失敗に終わったので、この誤解は口で言っても通用することはない。
「「…………」」
ただならぬ様子を雪村と吹雪から感じ取り、円堂は吹雪を、瑞貴は雪村に目をやった。
雷門は防戦一方で氷のフィールドに苦戦している。一行に慣れることなく攻撃に移ることができず、せいぜい相手の攻撃を防ぐのが精一杯だ。
「難しいな、このフィールドは……」
「ああ……」
「何かポイントを見つけないと……」
円堂と鬼道と瑞貴は、雷門が白恋のように自由自在に動くためにも、ただ慣れるだけではいけないと思った。
「うわあっ!」
「ふっ!」
駆け出した天馬が氷に足を取られてコケてしまうと、雪村はその上をボールごとジャンプして天馬を突破した。
「行かせるもんか!」
「っ、こいつ!」
だが、起き上がった天馬は雪村を追いかけるとボールを見事に奪う。
「キャプテン! うわっ!」
「オウッ! ――っ!」
蹴り上げたあと転んでしまった天馬だが、ボールは間違いなく神童の元へと向かって行く。そこへ留萌頃彦が立ち塞がるのを見て、神童は飛んでボールを空中で取った。
「渡すものか! ふっ!」
「クッ!」
「甘いんだよ!」
神童からのヘディングパスを受け取ろうとした剣城だが足を取られてしまい、そこへ即座に雪村がボールを奪った。そのまま攻撃へ移る。